昌栄薬品
渡辺武著わかりやすい漢方薬
第一章漢方薬はなぜ効くか
3 身体のバランスを考える
手の温かい女性にほれるな 昔から「手の冷たい女は、心の温かい女だ」といっています。
手が冷たいか、温かいかということは、漢方では脉(血管)が浮いているか、沈んでいるかという証になるのです。
この浮沈で漢方薬の処方も違ってきます。
脉が浮いている、血管がとび出しているというのは、皮膚表面に血が行って、温かい血液というお湯が通っているのです。だから、手が温かいわけです。
前に述べた、手が湿っているか乾いているかというのと同じく、湿っている人の手は温かいものです。
皮膚表面で血液が消費されて、内臓には血液は申し訳程度しか流れていないのです。
では手の冷たい女性はどうなっているのか、皮膚表面は血液の流れが少ないため、血管は沈んでいます。
血液は下半身と内臓にゆきわたっているということなのです。
脉の浮き沈みは、女性と男性とでは違っています。
女性は男性よりも余分の、子宮という内臓器官を下半身に持っています。
頭や皮膚表面で血液を消費していると、内臓への血行がおろそかになります。
男性は頭に血が上るといいますが、頭脳や腕力に血液を使うようにできています。
女性は頭が少々悪くても、腕力がなくても当たり前です。
血液は下半身と内臓でより多く消費しているのです。
「手の冷たい女性」が「温かい心」の持主というのは、女性らしい女性という意味なのです。
現代医学ではそれを〝常識のウソ〟だという人がいますが、それこそ〝常識のウソ〟です。
ところが、最近は大学進学率では、女性の方が男性より高くなり、やたらに頭を使う女性が多くなりました。
いや、ヘルメットをかぶった中ピ連など、女性上位どころか、女性の男性化が進行しているのです。
頭からポッポッと湯気を出す女性が多くなったことです。
これは社会的にはいいことかも知れませんが、医学的にみると大変に困った現象なのです。
女性で頭を使っている人は、男性型の脉をしています。
血管が浮いて手は温かいのです。
よく私のところに女優さんがやってきますが、たいていの人が男性型の脉をしています。
下の内臓に血液が回らないのですから、生理は不順ですし、セックスも男性化して、不感症に陥っている人が多いのです。
芸能人同志の結婚に離婚が多いというのも、原因は女性の男性化に原因があるようです。
歌舞伎の女形は、舞台に出る前に氷に手を置いて冷たくして出るといいます。
女形の手が温かくては、ラブシーンなどの立ち居振るまいで、本人も相手の役者も気分がのらなくなってしまうのです。
女性の手が冷たいのは健康であるという証なのです。
〝常識のウソ〟ではありません。
女性は、昔から手が冷たく、脉は弱いとされて、桂枝とか麻黄という薬は要りません。
クラシエ薬品でいうと『衝任補血』を飲んでいれば、婦人のたいていの病は治るといわれてきたものですが、現代はそんな手の冷たい女性は少なくなりました。
同時に生理不順や不感症や流産を訴える女性がふえています。
頭や皮膚表面からカッカッと血液を消費して、女性自身が結婚生活に不向きになるように仕向けているのではないでしょうか。
人間の自然である男性と女性の違いは、社会的な意識の向上だけでは、どうにもならない原理を背負っているようです。
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