
愛し妹を いづち行かめと 山菅(やますげ)の 背向(そがひ)に寝しく 今し悔しも
作者未詳(万葉集より)
山菅(やますげ)=ヤブランの花は美しいのに万葉集にはその美しさがうたわれていません。
ほとんどが枕詞です。
葉が四方に広がった乱れた感じが、後ろ向きに寝るという意味の「背向」に
なるからでしょうか?
「愛しい人はどこにも行くはずがないと、安心して背中合わせに寝てしまったが、
まさか死んでしまうとは---。
あの時もっと優しくしておけば良かったと、残念でならない---」
仲の良かった二人が、ある日突然一人になってしまいます。
残された男の悲しみの歌ですね---
ヤブランは藪に生え葉が蘭に似ているので”藪蘭”の名前が付いたようですね。