社長の一言で従業員の給与を下げることができるのか?? 2009年12月22日 00時48分41秒 | 法律 お早うございます。 鹿児島県ナンバー1の社会保険労務士を目指している岩切勝造です。 昨今の景気を考えると多くの中小事業主さんにおいては、業績が振るわず、経営が 苦しいので、従業員の給与を下げたいとか、人件費を削減したいと考えられている と思います。 では、社長が一方的に労働条件を変更することが可能でしょうか?? ずばり、お答えします。 従業員の同意を得ることなく、労働条件を一方的に不利益変更することはできません。 (従業員さんの有利な変更は、大丈夫です。) また、従業員さんの個別の同意によらず、就業規則の変更によって賃金を下げるこ とは、変更後の就業規則を周知させ、その変更が合理的なものと認められる場合で なければできないのです。 就業規則の変更が合理的であるかどうかのポイントは、 ① 従業員の不利益の程度 ② 労働条件の変更の必要性 ③ 変更内容の相当性 ④ 労働組合との交渉(従業員への説明) となっています。 では、合理性か否かの判断は事例によっても異なりますが、判例から合理性を判断 する要素をみていきます。 ① 変更によって被る従業員の不利益はどの程度か?? ② 不利益に変更することに事業を運営する上での必要性があるか?? ③ 変更後の就業規則の内容自体に相当性があるか?? ④ 代償措置の有無、その他の関連する他の労働条件の改善状況はどうなっているか?? ⑤ 従業員や労働組合との話し合いがきちんとなされているか?? ⑥ 他の労働組合や他の従業員への対応はどうなっているか?? ⑦ 同種事項に関するわが国社会の一般的な状況はどうなっているか?? 上記のように判例からみると合理的なものであり、変更に必要性が高いものであれ ば、従業員との個々の同意によることなく、その就業規則の労働条件を変更するこ とができるのです。 最終的には従業員や労働組合等との交渉の中でよく話し合って進めていくことにな ります。 恐らく今後10年間、年功序列の賃金形態や退職金が崩壊になりますので、社会保険 労務士にとって上記の点が、最大の市場ニーズになると考えています。