イソシギと同じ白州で、コサギと中サギです。
博物館、宝物館、伝統資料館等の展示品にふさわしい技術や技能をどのように継承するかは、学術的な意味合いでの修復や、現代産業への衣替え等との可能性が十分採算に合えば、自然と継承できるのであり、国を挙げての助成や、支援が国民の納得がいけば可能性もあるが、単なるノスタルジーだけでは継承は困難であろう。
後継者不足の問題については前者のような、業種の問題と若干異なる面がある。専門技術・技能者が大量に定年を迎え退職したことによって、後釜を補充できなかったこと、企業内訓練が衰退したこと、給与体系が年功序列型賃金から成果・実績型賃金に移行したこと、情報機器や自動化機器に代替えできる時代になったこと等が理由として考えられる。
この問題は、団塊の世代が一斉に退職時期を迎えるという、年齢構成上の問題であり、定年となる前から予測ができた案件である。それに対して、人事部門等が、適切な対応を取ってこなかったという失策を棚に上げた案件であり、その保証をどうするかなど、低次元の問題すり替えである。ついでに言うが、管理ができていなければ、担当者を変えるしかないであろう。要は、退職後の生産部門の体制づくりには十分な時間があり、もし、退職者の都合で継続雇用が不可能であれば、経験者を追加募集しなければならないであろう。
継続雇用の拒否は職場環境ではなく、処遇にあると推測できる。通常、労働時間は同じで、基準となる給与が半額となれば、躊躇するのは当然であろう。最近は少しではあるが、退職前の給与と同額を保証するという企業も出てきている。今後は年金との関係で、併給調整は避けられないが、雇用条件は改善しつつある。
他の理由は企業の経営方針であり、技術や技能の継承よりも、企業の人件費削減がもたらした結果といえよう。情報機器の導入は、一種の産業革命で、センサー等の電子媒体や、インターネットがもたらした情報革命の影響である。この影響は、情報技術の高度化による技術者・技能者の能力を高め、人材の質と量を大幅に変えたともいえる現象である。その意味では、従来型の多能工から、情報機器操作や、その成果を知った高度熟練工を誕生させている。少数の熟練工の誕生が、新入社員に対し、教育訓練の機会を無くし、企業内教育訓練の形態を変えることに成功した。その方向は、教育訓練を行わないということである。
これによって、未経験者である非正規社員であっても、十分に対応できる体制となっている。したがって、マンツーマンであった企業内職業訓練が衰退しても、生産が極端に低下するという予想に反して、十分とは言えないまでも、対応が取れているのである。