鳥!連続写真!掲載中!

近くの多摩川に飛来する野鳥の連続写真を中心に、日頃感じた出来事を気ままな随想でご紹介し、読者双方との情報を共有したい。

技術・技能・知識の伝承背景その4

2016年08月02日 00時00分01秒 | 紹介

  現状の技術・技能・知識を概観してきたのであるが、切り口からすると、1.企業内訓練の衰退、2.団塊の世代の大量退職、3.非正規労働者の増加、4.賃金制度、5.情報通信技術の進展等が背景にあることをお示しした。これらの切り口が、継承とどうかかわってくるかは、常に変化する制度やシステムが、問題の発生を解消するというベクトルに向かい、新たに登場した新技術を取り込みながら、転換する姿を見ることができる。

 その意味では、問題解決が契機となり、新たな制度やシステムが構築されていくことにつながってくる。

 

 見方を変えれば、川の流れのごとく、高低差が生じれば、流れが生まれ、広がっていくという物理現象に当て嵌めることができるであろう。そこには、停滞は許されず、流れに対しては抵抗となり、またはよどみとなるため、自然の流れに乱れを生じさせ、流れの方向を変える場合もあるが、落ち着くところといえば、高低差がなくなるような動きとなる。

 

 伝統を継承するということの意味は、流れを止めることなく、包含しながら、必要なものだけを後世へ伝えるのであり、そこには淘汰や改廃が常に付きまとうものである。伝統を温存することは変化に対しての抵抗と見ることもでき、歴史として知る必要はあるが、固執することは流れの逆行を意味する。その原則に立ち返って考えるとおのずと結論が出る。

 

 全面否定しているわけではなく、継承ということは単に古くから行われてきたことをそのまま伝えることではない。また、時代背景が異なれば適合しない部分があるのは当然である。継承する時点では取捨選択がなければ次の世代には重荷となり、いずれはオーバーフローしてしまうであろう。技術・技能の継承とは未来を予見し、取捨選択した再生を意味している。

 

 一例をあげると、技能検定という資格制度がある。試験問題に対して、現場との遊離が指摘され、大幅な変更がないまま存続はしているものの、技能オリンピックなどの国際大会でも、課題には相当抵抗があり、課題作成だけに必要とされるテクニックを新たに学ばなければならないというおかしなことが起きている。これも表面に現れた検定の限界を示すもので、かつては主流であった技術や技能が使われなくなった現代に基礎的課題としても、時代錯誤となる可能性を秘める。現実離れした資格試験として注視しなければならない。検定も時間経過とともに疲弊する。陳腐化した技術技能を検定して何になるか疑念がわくが、根本的な改善が望まれている。