カラスウリの花は夜に咲きます。幻想的で、不思議な花です。
中途採用についての補充が退職者の代用になるかといえば、そうではない。スムースにいっていない原因は、我が国の企業の体質にある。区分上は同じ職域にあるといっても、同じグループ以外では、同業ではないからである。現在でもヘッドハンティングはあるが、就業で知りえた事柄を他社へ転職後公言することは守秘義務違反に当たる。つまり縛りがあり、そのことが公になれば、採用した企業も罰せられる。同業といっても競争関係にあるし、企業の内容は組織、判断基準等異にするため、中途採用された側も新入社員とほとんど変わらないといえる。したがって、横断的な職種間移動のケースは欧米に比べ少ない。
因みに、欧米の企業の人事権については、産業別組合が介在していて、そこを経由するため、企業間の移動は同一賃金でスムースに行える仕組みがある。いうなれば組合派遣労働者といえるかもしれない。退職者が出れば自動的に組合が補充するため、2007年問題のような危惧は感じられない。技能者も組合が管理する教育施設を使って育成される。技術者はエンジニアとして採用ルートは異なり、我が国のようなグレーカラーは存在していない。制度自体が我が国と異なり、移民問題など別の問題もあるが、後継者についての詳しい資料がないため、詳細は承知していない。
我が国でも低賃金労働者の雇用は、外国人技能実習制度が変則的なチープレーバーとしての補充問題がある。受け入れ組織や団体で行われる事業内訓練も疑わしい部分があり、法的な制度上の問題で、賃金不払い、定住化、脱走による行方不明等後継者問題とは別の側面もある。安易な制度利用はデメリットが露呈している。
労働力の維持は少子高齢化が背景にあり、かたや、人材育成は時間と費用とがかかるため、中小零細企業の根本的な問題解決にはなっていない。国も公共職業安定所が情報発信と、マッチングの機関としてあるので、人材育成についての相談等は各県にある公共職業訓練機関を活用することをお勧めしたい。
指導者の伝承方法も問題としてある。人に教育するにはそれなりの資格が必要である。特に技能については、明確な裏付けもない作業を伝承というあいまいな理由で行われることはあってはならないことであり、時代錯誤や、秘密主義では通じない。教えるに値する人物の選択を見極め、確実な移転を管理しなければ後継者育成は挫折する。幸い、現場で行うOJTは指導環境が整っている。実機があり、抽象的な説明ではなく、実際の生産に直結しているメリットを生かし、安全作業の徹底、操作手順、適正作業手順等が指導できる。TWIに沿った指導は現在もOJTの基本である。