正月も7日が過ぎると晴れやかな気分が続かない。周りは喧騒から隔絶した高齢者の住居地であることにもよるが、年神様も迎えてからの毎日のお世話だけでも疲れが出てくる。いつまで居座るのか定かではないが、昔は15日が小正月(女正月)であり、成人式が行われていた。それが早まったせいで、15日正月をとやかく言う時代ではなくなったようであるが、ひと月は正月といっているので、神様は在宅されているのであろうか?正月飾りは明朝小学生が集めに来て、河原でどんと焼きを行うそうである。今年は喪中だったため、飾り物はない。初詣もいかなかったのでお札はそのままにしてある。
今日の朝食は、七草がゆを食していたが、元旦より餅が続いたため、そろそろご飯に切り替わる準備であり、胃にやさしい七草を炊き込んだ雑炊である。自分はほとんど雑炊とは縁が薄く、好んで食することはないが、しきたりにはそれなりの意味があると思っている。スーパーへ行けばそれ用のセットが売られているがそれを買うのも味気ない。我が家はすでに朝食はパンとコーヒーと決まっている。七草は旧暦の時代の野草であったものが多く、新暦の今ではほとんどないか、成分すら異なってきている。特殊な野草なので、特別に育てる必要があろう。とはいえ、薬膳料理と思えるが、野草も食して見ればその多さがわかるのであろう。
セリは年末に購入して使った根元を植えていたのが大方食べられる長さとなった。あとは冷蔵庫に残ったもので夕飯には自称七種薬膳寿司なるものを作ってみた。食材は、せり、乾燥しいたけ、えのきだけ、湯でタケノコ、ニンジン、こんにゃく、油揚げ、ちくわ、乾燥わかめ、冷凍むきエビ、京都のすぐき漬物であった。分量は適当で、11種にもなってしまった。甘さを抑え、ちらし寿司にした。
薬膳などとは程遠いが、あるもので造るのが台所を任された俄か調理人の腕の見せ所と張り切って作ったのであるが、まずくはないと言われ、今年の初寿司は七種寿司と変身した。ついでに、炊き込む前に10cmぐらいに切っただしコブを炊き上がった炊飯器から取り出し、水を加えてお吸い物を作った。具材は茹でた銀杏の実とかにかまぼこで、卵とじとし、白だしで味をつけた。これも春らしく仕上がり、ちらし寿司には良くマッチした。
文明か文化という名で、食材に対する薬効についてはほとんど顧みられない昨今である。野草に原点があり、少なくとも温野菜か冷野菜ぐらいは知っておきたいと思った次第である。