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東京国立近代美術館で開催中の「柳宗悦没後60周年記念展 民藝の100年」へ。
去年は法事に託けて訪れた遠野、偶然観光することになった盛岡、大雪で諦めた鳥取、この展覧会のチケットを買ったのも昨年の10月だったし、去年は自分で気づいていないだけで民藝に縁があったのかもしれない。
その前に近代美術館2階のラー・エ・ミクニでゆっくりランチ
去年の七草の日に義父がなくなったので、ちょうどもが開けたばかり。事前に予約して展覧会の前にランチにした。前菜・パスタ・メイン・デザート(写真)・コーヒーのランチコースで90分制、お昼ご飯に1時間半ゆっくりかけたのは久しぶり、代官町通りの坂をジョギングしたり散歩する人が行き交う様子、その向こうの江戸城跡と皇居東御苑を見ながら窓際で食事。気持ちよかった〜
食後、美術館へ。音声ガイドのナレーターは俳優の井浦新と声優の玉川砂記子、ボーナストラックで「民藝の100年展がめざすもの」と題した、近代美術館のキュレーターの花井久穂さんのインタビューが含まれていた。
観賞用につくられたのではなく、実際使用するために作られた日用品がこんなに美しいフォルムをもつ、必要最小限のもので満足しないからの文明なのかなぁ、人間ってすごいなぁと思う。あたしが西洋美術史で教わったことの一つに、現代に連なるルネサンス以降の美術とそれ以前を分つものは、「作者」がいるかどうかだということだった。民藝は使用するために作られたものなので、現代でも「作者」がいないことが多い。なのにフォルムの美しさときたら素晴らしい、そりゃ、柳宗悦らが「彼らの技を維持してその技だけで生活が成り立つようにしてあげたい」と思ったのも無理はないと思う。その対極にある思想を持っていたのが北大路魯山人だそうで、民藝を酷評して憚らなかったらしい。
柳宗悦らの目を通して美しいとされたものを、あたしが美しいと感じているだけなのかもしらんけど。ま、あたしの審美眼は無に等しく、ほぼ好きか嫌いかの単純なものなので、「こちら、いかがですかぁ〜?」と示されることは嫌じゃない(苦笑)。などと取り止めのないことを考えながら観る。
ここだけ写真オッケー
6章に分けられた展示をゆっくり見て、もう一つのお目当て、常設展のアンリ・ルソーの「第22回アンデパンダン展に参加するよう芸術家たちを導く自由の女神」を目指した。これ、あたしたち夫婦が好きな原田マハさんが、近代美術館に行くと必ず「会いに行く」作品として挙げていて、それは是非観にいかねばな作品としてリストアップされていた。
中央に自由の女神が飛んでいて、トリコロールの旗とパリ市の旗がひるがえる。無審査で誰でも出品できるアンデパンダン展の会場に、黒い正装を身に纏い作品を抱えた画家が列をなす。正面にはライオンの像がありその右手前でルソーと展覧会の主催者が握手をしている、と、いう当時全くといっていいほど無名だったルソーの妄想(笑)を絵にした作品。
なんかこう、好きなことを追求することのパワーを感じる作品。
主人と「これかっこいいね〜」と立ち止まったのは佐伯祐三の「ガス灯と広告」の前。「郵便配達夫が有名だけど、こんなかっこいい絵描くんだね」と作品を前に上から目線のコメント(笑)。などをはじめとして、コレクションがなかなか充実していて楽しかった。神楽坂まで歩いて東西線に乗ったら竹橋までほんの3駅なのに、何で今まで足が向かなかったんだろう?って感じ。
閉館ギリギリまでいて出てきたらもう外は薄暗い
大手町の合同庁舎などビル群と石垣がなんともいい感じ
鴨の遊ぶお堀と竹橋をパチリ
で、帰宅したのでありました。なかなか充実した1日であった。
民芸の対極にあったのが北大路魯山人。
知らんかったわー。
なるほどね。
常設展も面白いのですね。
ランチも美味しそー。
いつか行きたいな。
母の不貞の息子という壮絶な幼少時代、
学歴もなく叩き上げ、
何度も結婚と離婚を繰り返し
信じられるのは自分だけ、の北大路魯山人に対して、
海軍少将の有名人の多い一族に生まれ
妻は歌手、息子は柳宗理
東大卒で学習院高校時代に白樺に参加し、民藝運動を通じて、
心を動かされる実用品を作る
なもなき作家たちを支えようとした柳宗悦、
対照的だなぁと思いました。
近代美術館のコレクション、ホームページで事前に展示中の作品を確認できますよ
鑑賞後のディナー、もありかも。
目の前は桜並木なので、春は美しいと思います。
一人で 何度も 作者の知らない道具達を見に通った時期を 思い出します。
柳宗悦は倉敷の実業家 大原孫三郎の援助を得て 東京に日本民芸館を作ったのでした。
多くの賛同と反発とがあった・・・それだけの大きな力があるのですね。
あたしたち、そのうち民芸館に行きたいねといいつつ帰宅したのですが、
都立の施設なのでコロナで閉鎖になっちゃうかもしれません・・・。
戦争のための殖産興業の時代、地方の産業を掘り起こすのに有用なため
言論統制下でも政府からかなり自由な活動を許されていた
そういうことにも反発の理由があるのかもしれません。
だから彼らの出版物は額面通りとってはならない、というのも当然です。
でも、純粋に用の美には心が動きます。
日本民芸館は、公益財団法人日本民芸館が運営する施設。
3/20までは「特別展 美の標準 柳宗悦の眼による創作」を開催中。
ホームページを見る限り、その予定に変更はありませぬ。
失礼いたしました。。。
ここのレストランもゆっくりできるし景色はいいしで美術館つきの施設の中でもいいよね~って記憶あり。
駒場の民藝館にはたまに行きますが、確かに生活の中で便利に使いながら「これ」ってフォームに落ち着いた道具たちってホントに美しいと感じます。
竹橋でやってるのね。鉄道博よりこっち方面に行きたかったな~と思ってしまったw
それまで私は民藝と聞いても お土産物のこけしなどを想像していましたが
柳宗悦の民藝は 日常使いであって芸術品の粋ですね。
足立美術館で魯山人の器をいくつか見ましたが
魯山人は民藝を酷評していましたか。自作の自慢はいいとして
人様のものをけなしてはいけません。
東京国立近代美術館が鏑木清方の絵を多数所蔵しており
清方没後50年の今年 3/中旬~5/上旬まで展示会をやるようです。
1便と最終便で日帰りできると思いますが
行けるかなぁ・・。
近代美術館のミクニだけじゃなく、東博はホテルオークラだし
しかも敷地内のロケーションもよかったりして。
囲炉裏の上の自在鉤ひとつとっても素敵だなぁ〜みたいな
美しい民芸のかずかず、駒場に見に行かねば!
今年もいろんな展覧会がありますよね、お出かけしましょう〜
上手ものを見る目がないから下手ものに逃げたくせに、
という主張(?)にまとめられるのかもしれません(笑)。
ご本人の才能、ご苦労、ご努力は認めますが、なんだかねぇ。。。
鏑木清方は、鎌倉に旧居跡に記念美術館があるようですね。
そこも一緒に行ければ素敵かも。
竹橋の近代美術館は東京駅まで近いので、
そこから横須賀線で鎌倉まで乗り換えなし(1時間)
鎌倉駅からは予約必要ですが(だから必ず乗れる)空港行きのバスがあります。
アクセスよさそうですよ、コロナが落ち着いていたら是非お出かけください!