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佐土原人形「塩谷判官」(えんやはんがん)


新春「土人形展」に手持ちの土人形を中心に登場してもらうことにした。ギャラリー野の苑の新春企画だ。新しい年に古い土人形を展示することになる。
「土人形」と言うと、一般にはなじみがない言葉かもしれないが、「原型---人形型---素焼き」という工程をへて、それに絵付けされた人形だ。全盛期は明治・大正期だろうか。全国的に同じような傾向だ。
宮崎の土人形と言えば、佐土原人形だ。展示会では、その佐土原人形を中心に、これはと思うもの約20点ほど展示するつもりだ。産地も年代も分からないものもあるが、どれも残しておきたいものばかりだ。
案内ハガキには、節句人形など数あるジャンルの中から歌舞伎人形を選んだ。人形名は「塩谷判官」。仮名手本忠臣蔵に登場する人物だ。忠臣蔵で言えば、浅野内匠頭(あさのたくみのかみ)。本当は、この人形には相方の人形があるはずだ。佐土原の歌舞伎人形は、歌舞伎のシーンを再現するため、2体、あるいは3体で一組というのが一般的だ。そのため、大胆にデフォルメされた形態と絡み合う目線などを特徴としている。首は胴体にグイッと差し込まれ、手も同じく差し手の技法で表現を豊かにしている。「塩谷判官」と対の人形は、宮崎県総合博物館蔵の「高師直」(こうのもろなお)人形かもしれない。いつの日か、合わせてみたい気もする。
佐土原人形は、一般的に「どこか素朴で懐かしく温かく」などと評されるが、「塩谷判官」をみれば、そればかりでないことは一目瞭然だろう。佐土原で盛んだった歌舞伎芝居を背景に、腕を振るった人形師たちがいたのだ。乞うご期待である。
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