たまたまのたまたまだった。知り合いの和紙絵展の案内ハガキを持って、西都市「まちなかギャラリー夢たまご」へ出かけた。西都市は宮崎市の隣町なのだが、わが家からはそう遠くもない。車で行けば、10分そこそこだ。ギャラリー隣接のデパート駐車場に車を止めて、まずデパート内をキョロキョロ。朝から結構にぎやかな様子。中央通路を歩いていると、長身の幼なじみ。声をかけたがマスクのせいで一瞬キョトンとしたようだったが、少しの間をおいて私を認識したようだった。帽子をかぶり、マスクをしているとすぐには分からないようだ。一通りの挨拶の後、色とりどり商品が並ぶメガネ屋さんやシューズ屋さんを過ぎて、外に出て目指すギャラリーへ。
そこで目に入ったのは、入口やウインドウ越しに見える時ならぬ人だかり。ちょっといつもと違う雰囲気を感じながらギャラリー内に入ると、カラフルで個性的な人形たちのオンパレード。展示机の上には人形がいっぱいなのだ。日頃目にするアニメキャラクターなどがあふれていた。どの人形も動きがあり、楽し気だ。写真もOKなので、一通り写真におさめたが、誰がつくっているのか気になった。会場を見回したが、名前の掲示はないので、会場にいた人に尋ねてみた。沢山の作品なので、当初学校かグループの作品かと思ったが、紹介されたのはたった一人の青年。作品は小さいが、数は1,000点ほどもあるのだ。名前をうかがうと、会場にあった小さな展示会案内を手にしたが、そこには名前はなく、開催期間と「第3回 ペーパークレイ フィギュア展」の文字だけ。そのため、ごそごそとポケットを探しはじめたので名刺かと思っていると、取り出したのは免許証。それをカメラに納めるわけにもいかないので、ゆっくり記憶した。
青年の名は曽我和志さんだった。聞けば、西都市在住で、北隣りの高鍋町に勤める会社員。小学校からつくり始め、仕事についた後も毎日4〜5点。最近は新型コロナのせいで会社が休みとなったため、よりたくさんつくってきたようだ。どの作品も特徴がよくとらえられ、とても自由に見えた。紙粘土を手にして、無心につくり続ける彼の姿が目に浮かぶようだった。