高さ30mを超える「びょうぶ岩」
飼料イネの準備を前に、思い立って小林市にある三之宮峡に行ってきた。ずっと以前に行ったような気もしていたが、記憶はほぼ真っ白。途中の道に少し見覚えがあったが、近くになるにつれ、全く記憶から抜け落ちていた。駐車場に着く数百メートルは、道幅が狭く車1台が通行できる幅。所々にすれ違いできるように広めの部分もあったが、ちょっと要注意。駐車場もガードレールはなく、バック駐車で運転をあやまれば、下の広場に真っ逆さま。というように少し不安だったが、コロナ禍のせいか駐車の車は全くなく、まずまずゆったり駐車。
さて遊歩道。すぐに道の横に複数のマムシグサが迎えてくれた。この仲間には、ムサシアブミやウラシマソウなどあるが、どうもこの手のものは苦手だ。いきなりこれなので気持ちは少し湿り気味。だがこのマムシグサ、よくよくみれば紫の仏炎苞の縦縞がなんだかスッキリしていて魅力的。マムシグサの仏炎苞は、紫のほかにも若草色のものもあった。両方とも清々しい。
縦縞が清々しいマムシグサ
入ると電気がパッと点くトンネル
三之宮峡は、約34万年前の加久藤カルデラ超巨大噴火の火砕流でできた溶結凝灰岩が浸食されてできた渓谷だ。遊歩道はかつてのトロッコ道の跡だという。約1kmの遊歩道に長短11のトンネルがある。長めのトンネルに入っていくと、検知器が作動して天井に取り付けてある電球がパッと点いた。ただ、工事現場の裸電球みたいなもので、一人だとちょっと怖いかもしれない。壁と天井はゴツゴツした岩肌がそのままだった。
トンネルを抜け歩みを進めるにつれ、遊歩道対岸の岩壁に目を見張った。岩壁の上には、木々の新芽が美しく、押しに押されぬ渓谷美を形作っているのだ。私が最も目を見張ったのは、高さ30mを超えるという「びょうぶ岩」。来たかいがあった。このほか、「残したい日本の音風景百選」の一つである「櫓の轟」や、水の浸食によって造られた「千畳岩」、河童伝説の残る50畳敷という「カッパ洞」などがあり、雄大な渓谷美と守るべき植生に出会える場所だった。
以前、多くの観光客が訪れた「陰陽石」からすぐ先だ。霧島ジオサイトのひとつにもなっているから、整備と宣伝が行き届けば、指折りの渓谷になること間違いない。行ってみるべし。