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魅力あるYouたち


TVで「Youは何しに日本へ?」を久しぶりに見た。日本を訪れる外国人たちを、空港や街角などでインタビューする番組だ。アポなしだ。この日のYouの後半は、尾道市に住む南アフリカ共和国のフィリップさんから始まった。昼間の取材から夜の取材へと話は続く。
自転車を押して歩くフィリップさん、うらびれた飲み屋街にある一軒のバーへと入っていく。かなりディープなバーのようだ。するとそこには、たくさんのYou達。その中のひとりにインタビューが始まった。なんと、あのアーサー・ビナードさんだ。アメリカ生まれで広島市在住の詩人であり、随筆家、翻訳家でもある。一冊だけだが、私の本棚にもこの人の本がある。編著『知らなかった、ぼくらの戦争』だ。肌感覚として共感を覚える本だ。記憶に残っているのは、「日本語の『戦後』に遭遇して、初めて『戦後のない国』に自分が育ったとことに気づいた。」という話と、パンプキン爆弾のことなどだ。もう少しこの人へインタビューが続くといいのにと思ったが、次に出てきた青年も実に興味深い人。名前はトーマスというアメリカ出身の青年だ。奥さんは日本人だ。「島で何かやってる・・・」、「みかん小屋・・・」などと要領を得ないことを言う。翌日の昼間か、カメラは「みかん小屋」を訪ねる。尾道市街から300m離れた向島だ。そこから20分だったか、そこには、みかん保存用だった小屋をリノベーションした住宅が建っていた。お気に入りの木製バルコニーも作られ、そこからは瀬戸内海も一望できるようになっていた。
ここまでならありそうな話なのだが、みかん畑だった放棄地を小屋ととも買い取り、理想郷へと改造中なのだ。次のシーンで、トーマスさんは敷地の一角に袋から粘土団子を取り出してばらまいた。すぐに「福岡正信さん」を思い出したが、まさにその通り。野菜の種が練り込まれた粘土団子だった。粘土で包まれた種は、鳥や虫から守ることができ、適度な湿り気があると芽が出てくるというわけだ。さらに出てきたのが元気な羊たち。その羊たちは雑草だらけの耕作放棄地だった所を雑草をきれいにしてくれ、その上、フンは野菜の肥料になるという一石二鳥の仕組みだ。そう、トーマスさんは大学時代に故・福岡正信さんの『わら一本の革命』を読んでいたのだ。福岡さんは、「自然農法」を提唱した人で、粘土団子で砂漠の緑化を成功させたことで知られる世界でも有名な人だ。
その後、自然栽培の野菜を近所や尾道市街で販売するシーンが続いた。自転車の後ろに野菜BOXを引っ張っての売り歩きだ。この日の売り上げ2万円。すごい!。帰宅すると、トーマスさんの野菜などを使った奥さん手作りの夕食。おいしいはずだ。奥さんとは尾道で知り合い、結婚はビニールハウス内であげたという。その時の写真には、ビニールハウス内でたくさんの近所の人たちに囲まれた二人が写っていた。
トーマスさんは福岡さんに憧れて日本にやってきて、提唱の「自然農法」を実践しているのだからすごい。
私の方は、読んだ本の内容も右から左。畑だけは化学肥料や農薬から解放されつつあるが、まだ序の口ならぬ門前の小僧。『知らなかった、ぼくらの戦争』と『わら一本の革命』、読み直してみたい。
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