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令和元年「2級建築士試験」ブログ解説 ①

2019-10-18 09:07:05 | ビジネス・教育学習
◇暫くご無沙汰してしまいましたが、建築法規の令和元年試験問題解説を始めます。
◇今年6月に改正法は施行済ですが、試験は1月時点の施行法令での出題(暗黙の了解???)です。
◇従って、原則、今年(令和元年)の「2級建築士試験・建築法規」の解説を基本とします。
◇ただ、今度の試験は来年ですので、今年の6月に施行された改正法が適用になります。
◇そこで改正部分を考慮し、問題文の修正なり、解説を細かくするなりの対応を図ります。

◇なお問題文は、公益財団法人建築技術教育普及センターのH.P.をご参照ください。
◇実施された二級建築士試験の問題文と正答肢表が公開されています。

〔No.1 〕問題文の記述の誤っているものを選択する問題です。
正答 1
1.誤り。法2条八号かっこ書き:防火性能とは、周囲の火災からの延焼抑制の為に、外壁又は軒裏に必要とされる性能である。外壁だけでは
      不充分で、準防火性能(法23条で定義)は、外壁のみである。
2.正しい。令1条三号:自重、積載荷重を支える最下階の床版は「構造耐力上主要な部分」である。
3.正しい。令1条二号:床面から地盤面までのが、天井高の1/3以上のものが「地階」である。
       設問は、CH「1/2」だから、1/2>1/3なので、正しい。
4.正しい。法2条十六号:条文参照。
5.正しい。令2条1項七号:条文参照。
【解説】防火性能、準防火性能の用語の定義の問題が正答として出題されました。用語の定義と高さ・面積計算の図形問題は、交互に出題さ 
れ、両方出題されることは、過去なかったと思います。図形問題が出題されたH30、H29を除いて、用語の定義の問題では、防火性能と準防
火性能の意味を理解させる問題は、毎年出題されています。特に、今年とH28年は、正答での出題となっています。用語の定義の問題になる
か、図形問題になるか、予想は難しいですが、少なくとも、防火性能と準防火性の違いの理解が重要であることは推察できます。
 また、過去のパターンからいけば、令和2年は、用語の定義の出題傾向なのでしょうが、私は、「地盤面」を理解させる問題を予想していま
す。図形問題で問うとすれば、H30年度の木造建築士試験問題が、参考になると思っています。集団規定においても、地盤面の理解は重要事項
ですので、用語の定義を問う問題であれば、道路中心線からの高さと地盤面からの高さの違いを、文章で問いかけてくる気がしています。
 あと、6月の改正法での「延焼の恐れのある部分」の緩和条項が気にかかります。境界線等の角度がある場合と、同一敷地内の高さ15m以上
の部分の緩和条項を問いかけてくる可能性は否定できないと思っています。

〔No.2 〕全国どの場所においても、確認済証の交付を受ける必要があるものを選択する問題です。
正答 4
1.確認の必要はない。法6条1項、法88条1項(工作物準用)、令138条1項三号:4m以下の記念塔は、確認を必要としない。
2.確認の必要はない。法6条1項:100㎡以内の集会場は、一号建築物に該当する特殊建築物ではなく、木造2階建て、高さ9m以下のものは、二
 号建築物に該当する規模でもなく、四号建築物になるので、全国どこの場所でも確認が必要なわけではない。
3.確認の必要はない。法6条1項:用途的にも、規模的にも、一号~三号に該当しない、四号建築物になるので、全国どこの場所でも確認が必
 要なわけではない。
4.確認が必要。法6条1項:鉄骨造2階建ては、三号建築物に該当するので、建築も大規模修繕・模様替も、確認が必要。
5.確認の必要はない。法6条2項:防火地域、準防火地域外で10㎡以内の「増築、改築。移転」については、確認の適用が除外されているの
 で、全国どの場所においても確認が必要という訳ではない。
【解説】必ず出題されると言っても過言ではない、定番問題のパターンです。設問が、一号建築物なのか、二号建築物なのか、三号建築物なの
か、それ以外は四号建築物になることの判断です。それぞれ、用途・構造種別・面積・階数が絡みますので、以上、超える、以下、未満とい
う、境界線上の数値への注意です。過去の出題傾向から言えば、四号建築物を、一号~三号建築物らしく見せる、微妙な数値で誤答を誘ってきます。しっかり条件を把握することが大切です。
また当たり前ですが、法88条に基づく工作物の確認の有無で、必ず令138条で規制対象の数値を確認することだと思います。
 この問題で改正法に関連することは、一号建築物の規制数値が、100㎡から200㎡に変更になっていることです。例えばこの問題で言えば、肢問2で「木造2階建て、延べ面積100㎡、高さ9mの集会場の新築」とあるのが、200㎡と変更すると、旧法では確認が必要ですが、改正法では、一号建築物に該当せず、確認は不要になります。今後も、改正法での緩和条項には、充分な注意が必要です。

〔No. 3〕各設問の記述について、正しい記述の組合せを選択する問題です。
正答 1:「イとロ」の組合せが正しい。
イ.正しい。法6条9項、規則1条の3表1(い):条文と規則の表1参照。
ロ.正しい。法6条1項、令9条一号、消防法9条の2:条文参照。
ハ.誤り。法7条の3第1項、法7条の4、令11条:中間検査申請は、特定行政庁ではなく、建築主事、又は指定確認検査機関である。
ニ.誤り。法7条の2第4項:工事が完了した日、又は検査の引受けをした日のいずれか遅い日から「7日以内」でよい。
【解説】建築確認申請は、令9条で定める法令への適合義務があり、どんな法律のどんな条項への適合確認をするのかの理解が必要です。従って、令9条を法令集で確認できることが大切です。
 また、検査規定を含めて、各種手続き規定で行政の何処に出すのかの判断が大切です。肢問3では、中間検査申請の申請先の問題ですが、法15条の統計・届出規定では、都道府県知事宛という、建築基準法では異色な感じがする規定も存在します。
 あと気になるのは、検査関連規定における「日数」を問いかけてくる設問です。4日と7日の2種類しかないのですが、良く設問を読んで理解する必要があります。今回の肢問4は、H27以来の手続き日数を問う設問でした。
 中間検査、完了検査規定の手続き日数をまとめると、添付の表のようになると思います。



なお、試験問題と正答肢表については、
公益財団建築技術教育普及センターのホームページで確認してください。
◇二級建築士試験・学科Ⅲ「建築法規」問題集
https://www.jaeic.or.jp/shiken/2k/2k-mondai.files/2k-mondai-r1-gakka1_2.pdf
◇二級建築士試験・学科Ⅲ「建築法規」の正答肢
https://www.jaeic.or.jp/shiken/2k/2k-mondai.files/2k-r1-gakkagoukakukijun.pdf

2019年10月18日 by SHRS(シュルズ)「1級建築士、建築基準適合判定資格者」
コメント
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