◇本年度(2024年)の二級建築士試験の問題文と正答表が公表されています。
◇公表された試験問題を参照しながら、本解説を進めていきます。
◇問題文と正答表は、「財団法人建築技術教育普及センター」のホームページをご参照ください。
◇「No.9、No.10、No.11」の問題のキーワードは「火災時の延焼抑制と避難時間の確保」・・・はて?
◇以前、大阪の北新地のクリニックで、悲惨な火災事故があった事は、まだ記憶に新しいと思います!
◇延焼防止する防火区画、人命保護の避難誘導施設(2方向の階段)・・・こんなもの、あったらいいのに!
◇と、そんな思いを馳せる火災事故だったのではないでしょうか?
◇「規制値を守ればいい!」というものではない事の理解が必要なのは、勿論なのですが・・・
◇特に、2方向の避難動線があればと強く思うところで、試験の出題傾向からも重視傾向が見て取れます!
◇法36条で、安全上、防火上、衛生上の技術的基準は政令(令19条~令129条の5)に定めると規定!
◇試験問題では、その中でも重要と思われる事項について、的を絞って出題されていると推察しています!
◇出題傾向から防火区画では竪穴区画(令112条11項~13項)、建築物の防火間仕切り(令114条)の2点!
◇避難施設では、2以上の直通階段設置(令121条)の規定の重要性に集中している事が見て取れます!
◇北新地の火災事故でも、この二つが、規定を度外視して措置されていれば、起こらなかった災害では?
◇加えて、表は未作成ですが、内装制限は特殊建築物への規制に集中していることにも注意です!
◇余計な話、一級建築士試験では、木造建築物の防火区画、耐火構造と準耐火構造の意味を問う問題!
◇また、非常用進入口の問題(正答出題)は、面白いところを突いてきましたね!・・・正直、悩む!
◇防火設備に関して、遮炎性能(60分、20分、10分)の用途上の適用に関するところを突いてきましたね!
◇という事で、今年(R6年)の二級建築士試験「No.9、No.10、No.11」の問題についての解説を記述します。
「No.9」正答1
1.誤り。法27条2項二号、法別表第1(6)項(に)欄、令112条18項:自動車庫部分が150㎡以上のものは、異種用途区画の対象となるので、1時間準耐火構造の壁・床と60分遮炎性
能の特定防火設備で区画する必要がある。
2.正しい。令112条11項ただし書き二号:200㎡以内の戸建て住宅は、3階建てであっても、竪穴区画をしなくてもよいとしている。
3.正しい。令113条四号:条文参照。
4.正しい。令114条1項:条文参照。
5.正しい。令114条4項:延べ面積がそれぞれ200㎡を超え、桁行が4mを超える木造の小屋組みの渡り廊下の場合には、小屋裏に準耐火構造の隔壁が必要と規定している。
「No.10」正答2
1.正しい。令117条:長屋は、別表第1に規定する特殊建築物でもなく、階数が3以上でもないので、避難施設の規定を適用する建築物に該当せず、令119条の廊下幅の規定の適
用はない。
2.誤り。令121条1項五号、同2項:旅館における宿泊施設の床面積が100㎡を超えるものは、原則、2以上の直通階段を必要とするが、主要構造部を不燃材料とした場合には2
倍に緩和されるので、200㎡を超えるものが規制対象となり、200㎡のものには、2以上の直通階段を設けなくてもよい。
3.正しい。令126条の7第二号:条文参照。
4.正しい。令126条1項:条文参照。
5.正しい。令126条の4の主文のかっこ書き:原則、避難上の通路、階段等には、非常用の照明設備の設置義務があるが、条文のかっこ書きで「採光上有効に直接外気に開放さ
れた通路を除く。」としている。
「No.11」正答2
1.正しい。令19条1項、令115条の3第一号、法別表第1(2)項、令128条の4第1項一号の表:3階以上の部分を当該用途(令19条により児童福祉施設等と定義され、令115条の3第
一号に基づき、法別表第1(2)項に該当する)に供する床面積が300㎡の老人福祉施設が対象であり、2階建てのものは内装制限の規制を受けない。
2.誤り。令128条の4第4項:住宅の用途以外の建築物の調理室等には、原則、内装制限の規制が及ぶが、条文のかっこ書きで「主要構造部を耐火構造としたものを除く」と規
定しているので、内装制限の規制を受けない。
3.正しい。令128条の5第2項:前条(128条の4)第1項二号に規定する自動車修理工場は、前項(令128条の5第1項)第二号に規定する仕上げ(準不燃材料)とすることと規定してい
る。
4.正しい。法別表第1(1)項、令128条の4第1項一号の表(1)項:1時間準耐を除く準耐火構造の場合、客席の床面積が100㎡を超えるものが内装制限の対象である。
5.正しい。令115条の3第三号、法別表第1(4)項、令128条の4第1項三号、令128条の5第3項:前条(128条の4)第1項三号に規定する地階に設ける料理店(令115条の3第三号によ
り法別表第1(4)項に該当する)は、前項(令128条の5第1項)第二号に規定する仕上げ(準不燃材料)とすることと規定している。
2024年9月17日 by SHRS(シュルズ)建築基準適合判定資格者、一級建築士
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます