・今回は、過去、必ず出題されてきた、確認申請です。
・二級建築士試験の場合、設問で「全国どこでも」という問いかけをしてきます。
・一級建築士や、木造建築士試験の場合、都市計画区域内での確認申請を問う事も多いです。
・何が違うかというと、分析表を見てわかると思いますが、四号建築物がキーポイントです。
・三号建築物と見せかける設問で、実は四号建築物で、全国どこでも確認が必要というわけではないのです。
・受験対策としては、三号建築物と四号建築物の境界線をしっかり認識する事です。
◇前提条件としての用語の定義
・法2条十三号:建築とは新築、増築、改築、移転をいう。
・法2条十四号、十五号:大規模修繕、大規模模様替は、建築の定義に含まれないことに注意。
◇建築確認制度の基本事項
・建築主(クライアント)は、建築確認申請提出の法的義務がある。(法6条)
⇒検査済証の交付を受ける法的義務(法7条~7条の6)も同様。
・法6条1項一号から三号に掲げる建築物は、全国どこでも確認申請が必要。
⇒今回の法改正で、一号建築物の対象延べ面積が200㎡を超えるものに緩和されたことに注意。
・対象となる行為は、建築(新築、増築、改築、移転)と大規模修繕、大規模模様替えをする場合
⇒増築後に該当する規模になる一号~三号建築物を含む
・四号建築物は、都市計画区域内などが規制対象となり、全国どこでも対象という訳ではない。
・また、建築(新築、増築、改築、移転)に限定され、大規模の修繕、大規模の模様替は含まない。
例題①:次の2つの行為のうち、建築基準法上、全国どの場所においても、確認済証の交付を受ける必要があるものはどれか。ただし、建築等に関する確認済証の交付を受ける必要がない区
域の指定はないものとする。
A:鉄筋コンクリート造平家建て、延べ面積200㎡の事務所の大規模の修繕
B:鉄骨造2階建、延べ面積100㎡の一戸建住宅の大規模の模様替
解答
Aは確認が不要(法6条1項三号、同四号):事務所は特殊建築物ではないので、用途上、一号建築物には該当せず、RC造ではあるが、200㎡を超えていないので、
三号建築物にも該当せず、 四号建築物となるので、都市計画区域内等では規制対象建築物となるが、全国どこでも確認を必要とするわけではない。
Bは確認が必要(法6条1項三号):鉄骨造2階建は、三号に該当する建築物なので、大規模の模様替は、確認済証の交付を受ける必要がある。
◇確認申請の準用規定①(用途変更確認申請)
・法87条による、特殊建築物(200㎡を超えるもの)への用途変更の準用規定(確認が必要)がある。
・対象建築物は、別表第1(対象特殊建築物の用途)、令115条の3(同表に該当する用途)を参照。
・また、用途変更確認申請を必要としない類似用途の定義である「令137条の18」を参照することが重要なポイントです。
・ついでに、用途変更には検査申請の適用はなく、工事完了後の建築主事への工事完了届となる。
◇確認申請の準用規定②(建築設備、工作物の確認申請)
・建築設備への準用規定:法87条の2、令146条を参照。
・工作物への準用規定:法88条、令138条1項、2項を参照
・特に工作物準用規定は、数値の境界線があり出題されやすいので、法令集の索引スピードが大切。
◇確認申請の除外規定
・法6条2項:防火地域、準防火地域外での10㎡以内の増築に関しては、確認申請の規定を適用しない。
例題②:都市計画区域内における次の2つの行為のうち、どちらが、建築基準法上、確認済証の交付を受ける必要があるのか。ただし、建築等に関する確認済証の交付を受ける必要がない区
域の指定はないものとする。
A:鉄骨造、延べ面積100㎡、高さ5m、平家建ての一戸建ての住宅における、鉄骨造、床面積15㎡、平家建ての附属自動車車庫の増築
B:第一種住居地域内において、鉄筋コンクリート造、延べ面積500㎡、地上2階建ての診療所(患者の収容施設があるもの)の、有料老人ホームへの用途変更(大規模の修繕又は大規模の
模様替を伴わないもの)
解答
Aは確認が必要(法6条2項、法6条1項四号)15㎡のものは法6条2項の対象外で、構造規模は四号建築物に該当し、都市計画区域内での増築(建築)は確認が必要。
Bは確認が不要(法87条1項、令137条の18第三号)有料老人ホームは、令19条より児童福祉施設等に該当し、有料老人ホームと児童福祉施設等は、用途変更申請における
類似用途(令137条の18第三号)に該当し、確認は不要。
2020年4月26日 by SHRS(シュルズ)一級建築士、建築基準適合判定資格者