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2020年度・二級建築士受験ブログ講座「建築法規」Vol.2:用語の定義

2020-04-24 11:13:05 | ビジネス・教育学習

◇「用語の定義」における過去の出題傾向において、重要事項は2つ。
 (1)「防火性能(法2条八号かっこ書き)と準防火性能(法23条かっこ書き)の違い。
  ・防火性能は、法2条八号の防火構造に必要とされる性能として定義されている。
  ・準防火性能は、法23条で、法22条指定区域内の外壁に必要とされる性能として定義されている。
  ・性能的には、防火性能は30分以上、準防火性能は20分以上の非損傷性、遮熱性能を要求している。
  ・出題傾向に見る一番の違いは、防火性能は外壁と軒裏、準防火性能は外壁のみへの要求としている。
  ・出題事例(R元年№1の設問1)
    建築物の周囲において発生する通常の火災による延焼の抑制に一定の効果を発揮するために外壁に必要とされる性能を、「防火性能」という。
   この設問は、誤り。防火性能とは、周囲の火災からの延焼抑制の為に、外壁、軒裏に必要とされる性能であり、外壁だけでは、不充分である。この設問の記述は、準防火性能のことを記
   述している。
(2)主要構造部(法2条五号)と構造耐力上主要な部分(令1条三号)の違い。
  ・主要構造部は、防火上の重要性から定められており、防火関連規定での用語である。
   (具体例)壁、柱、床、梁、屋根、階段などで、間仕切壁や基礎などは含まれない。
  ・構造耐力上主要な部分は、力学上の重要性から定められており、構造強度の規定での用語である。
   (具体例)壁、柱は共通だが、基礎、基礎ぐい、小屋組み、斜材、土台などがある。
  ・出題事例(R元年№1の設問2)
    建築物の自重及び積載荷重を支える最下階の床版は、「構造耐力上主要な部分」である。
    この設問は正しい。条文参照。
◇改正法絡みの「用語の定義」の重要事項は3つ。
 (1)大規模木造建築物を想定しての準耐火構造の性能基準を新設し、新しい用語を設定。
  ・従来、耐火構造を要求していた法21条の規定の範囲を緩和し、性能基準を導入した。
  ・令109条の5第一号で「通常火災終了時間に基づく準耐火構造(性能基準)」という新設用語を定義。
  ・令109条の5第二号においては、従来の耐火構造の建築物を定義し、選択可能とした。
  ・適用範囲を法21条1項一号から三号に定め、旧法より木造建築物の建築可能範囲が緩和された。
  ・この法21条に定める範囲は、変更事項として出題されやすい事項と推察。
 (2) 「特定避難時間倒壊等防止建築物」という用語がなくなり「特定避難時間に基づく準耐火構造」へ。
  ・法27条、及び法別表第1の読み取り方への変更はなく、用語定義の読み替えで支障はない。
  ・ただし、階数が3で延べ面積200㎡未満のものが、法27条の規制から外れていることに注意。
  ・新設されたこの緩和事項については、防火規定のところで、改めて解説します。
 (3)条文には正式な用語表現として定義されていないが、集団規定での新設用語の定義がある。
  ・確認申請第4面にでてくる「延焼防止建築物」と「準延焼防止建築物」という用語の新設。
  ・主要構造部、防火設備に要求される延焼防止時間以上の建築物として定義。
  ・「延焼防止建築物」は、耐火建築物相当の性能を有する建築物。
  ・「準延焼防止建築物は、準耐火建築物相当の性能を有する建築物。
  ・法53条建蔽率緩和対応と法61条防火地域、準防火地域内建築物への性能基準対応の新設用語。
  ・新設されたこの緩和内容については、対象分野のところで、改めて改めて解説します。
  ・想定問題:次の設問の記述は、正しいか誤っているか。
   問:特殊建築物の構造、建築設備及び用途に応じて当該特殊建築物に存する者の全てが当該建築物から地上までの避難を終了するまでに要する時間を、通常火災終了時間という。
   誤り。通常火災終了時間(法21条)とは、建築物の構造、建築設備及び用途に応じて通常の火災が消火の措置により終了するまでに通常要する時間のことをいい、設問の記述は、特
   定避難時間(令110条一号イ表の枠内)のことをいっている。

2020年4月24日 by SHRS(シュルズ)一級建築士、建築基準適合判定資格者
コメント
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