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二級建築士試験2022ブログ講座⑪(2021年試験問題解説)

2022-03-18 10:17:02 | ビジネス・教育学習
2021年(令和3年)の試験問題解説を軸に、過去の出題傾向を踏まえて、重点事項と出題予測推論を加えて解説していきます。
試験問題については、「公益財団法人 建築技術教育普及センター」のホームページで公開されていますので、そちらを参照してください。直接アクセスできるように、アドレスを記載します。 2k-2021-1st-gakka1_2.pdf (jaeic.or.jp)

なお、アクセスできない場合には、「公益財団法人 建築技術教育普及センター」ホームページから、次の手順で入ってください。
①資格試験⇒②二級建築士⇒③(1-6)過去の試験問題等⇒④学科の試験 すると、マトリックスの表が表示されますので、
 「令和3年 学科Ⅰ及び学科Ⅱ」と「合格基準点⇒正答肢等」を参照してください。

〔No.12〕道路の定義、接道義務、道路内建築制限に関する記述で、誤っているものを選択する問題です。
1.正しい。法43条2項二号:2mの接道義務に関して、道路に2m以上接しなくても、建築審査会の同意を得て特定行政庁が許可する制度。従前よりある特定行政庁による許可
 制度ですが、注意が必要なのは、同条2項一号に規定する、認定制度の方です。省令(規則)で道路の基準(規則10条の3第1項)、建築物の基準(規則10条の3第3項)が定められてお 
 り、建築確認審査同様に、基準との照合で、事務的に審査ができるようにしている条項です。技術基準の数値があるので、出題され易い事項です。
  ①施行規則10条の3第1項(道の基準)
   一号:農道その他これに類する公共の用に供する道
   二号:令144条の4第1項(私道の基準)各号に掲げる基準に適合する道
      ※私道基準が絡んでいて複合問題が容易なので、併せて私道基準の把握が必要です。
  ②施行規則10条の3第3項(建築物の基準)
   延べ面積200㎡以内の一戸建住宅(同一敷地内に2以上の建築物がある場合にあっては、その合計)
2.正しい。法43条3項:各号に該当する建築物への条例による制限を付加する制度。
  一号:特殊建築物
  二号:階数が3以上の建築物
  三号:政令(例144条の5)で定める無窓居室
  四号:延べ面積が1,000㎡を超える建築物
3.誤り。法85条2項:工事を施工するために現場に設ける事務所においては、原則、第3章の規定は、適用しないとしているので、法43条の接道義務(道路に2m以上接しなけら
 ばならない)の適用はない。
  法85条の仮設建築物への緩和規定は、No.20においても出題の多い部分ですので、重ねて注意が必要な条項です。現場仮設事務所についての試験問題の範疇での留意事項
 は、あくまで現場敷地内であることと、法20条の構造耐力規定は除外されていない(鉄骨2階建てであれば、原則、構造計算規定の適用がある)ことです。
4.法42条1項五号、令144条の4第1項一号ニ:幅員6m以上の場合、終端に自動車の回転広場がなくても、法42条1項五号に基づき、袋地状の私道として、特定行政庁から位置の
 指定を受けることができる。
  私道として特定行政庁から位置指定を受けるための技術基準(令144条の4)の中で最もシンプルな定義が、この「令144条の4第一号ニ」です。細かい技術基準を示している中
 で、幅員6m以上であればよいとしている。私道基準の規定は、法43条2項一号に基づく施行規則10条の3第1項(道の基準)と連携する技術基準ですので、複合問題に注意で
 す。
5.法42条2項:「通称:2項道路」と称される道で、建築基準法上「道路」であるが、敷地面積算定の場合には注意する。
 令2条1項一号の敷地面積の条項で、法42条第2項の規定により道路の境界線とみなされる線と道との間の部分の敷地は、敷地面積に算入しない。
  ①反対側が宅地の場合には、道路の中心線から、それぞれ2m後退した位置
  ②川や線路敷地の場合は、その境界線から4m後退した位置

◇道路定義で重要なその他事項
 ①法44条の道路内の建築制限
  ・原則、道路内への建築制限をしているが、ただし書きで除外しているものがある。
  ・特に法44条ただし書き一号の「地盤面下に設ける建築物」は、特定行政庁の手続きを必要としない、事務的処理ができる事項なので、出題も多い事項。
 ②接道義務(法43条)と道路内建築制限(法44条)の違いへの注意
  法68条の7第4項で予定道路が指定された場合には、道路とみなして法44条の規定(道路内の建築制限の規定)を適用するが、法43条(接道義務)の規定の適用には触れてい 
  ない。従って、接道義務は2年以内に執行予定の事業決定が必須条件。
 ③法47条(壁面線による建築制限):壁面線により建築規制しているのは、建築物の壁、柱、高さ2mを超える門、塀であり、屋根、庇は規制対象としていない。庇は壁面線を超 
  えて建築できるので、特定行政庁の許可を必要としない。

【蚯蚓の戯言(内装制限)】
◇法43条の認定道路の規定が新設されて、そろそろ、試験問題に反映される頃かと推察します。
◇規則(省令)で具体的数値が示されているので、試験問題が作り易い。
◇法43条の接道義務と法42条の道路定義は、複合問題として出題し易い部分。
◇法44条の道路内建築制限も、法42条の道路定義との複合問題が出題し易い部分。
◇この分野は、法42条の道路定義の条項を、しっかり理解することに尽きる気がする(下記の表参照)。


2022年3月18日 by SHRS(シュルズ) 建築基準適合判定資格者、一級建築士
コメント
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