2021年(令和3年)の試験問題解説を軸に、過去の出題傾向を踏まえて、重点事項と出題予測推論を加えて解説していきます。
試験問題については、「公益財団法人 建築技術教育普及センター」のホームページで公開されていますので、そちらを参照してください。直接アクセスできるように、アドレスを記載します。 2k-2021-1st-gakka1_2.pdf (jaeic.or.jp)
なお、アクセスできない場合には、「公益財団法人 建築技術教育普及センター」ホームページから、次の手順で入ってください。
①資格試験⇒②二級建築士⇒③(1-6)過去の試験問題等⇒④学科の試験 すると、マトリックスの表が表示されますので、
「令和3年 学科Ⅰ及び学科Ⅱ」と「合格基準点⇒正答肢等」を参照してください。
〔No.19〕防火地域等に関する規定で、2階建て、200㎡の共同住宅に関する、誤っている記述を選択する問題です。
1.正しい。法61条、令136条の2第三号、法2条八号(防火構造)、令108条(防火性能):準防火地域内の階数が2以下で500㎡以下の木造建築物は、外壁及び軒裏で延焼のおそれの
ある部分を防火構造とすることができる。
法61条では、防火地域内、準防火地域内の建築物の規制について、令109条に定める防火設備の要求と共に、建築規模に応じて、令136条の2に定める技術基準に適合するこ
とを求めている。
◇法61条:① 延焼の恐れのある部分にある外壁開口部に防火設備(令109条)
②必要性能を建物規模別に要求(令136条の2)
◇令136条の2(技術的基準)
一号:「耐火建築物」「延焼防止建築物」を要求する規模を規定
・防火地域内にある建築物で階数が3以上のもの若しくは延べ面積が100㎡を超えるもの
・準防火地域内にある建築物で地階を除く階数が4以上のもの若しくは延べ面積が1,500㎡を超えるもの
二号:「準耐火建築物」「準延焼防止建築物」を要求する規模を規定
・防火地域内にある建築物のうち階数が2以下で延べ面積が100㎡以下のもの
・準防火地域内にある建築物のうち地階を除く階数が3で延べ面積が1,500㎡以下のもの
若しくは地階を除く階数が2以下で延べ面積が500㎡を超え1,500㎡以下のもの
三号:「外壁・軒裏を防火構造とし、延焼のおそれのある部分の外壁開口部に片面防火設備を設けた建築物」要求する規模を規定(木造建築物)
四号:「延焼のおそれのある部分の外壁開口部に片面防火設備を設けた建築物」を要求する規模を規定(木造建築物以外)
2.誤り。法61条ただし書き、令136条の2第五号:準防火地域内で、建築物に附属する高さ2mを超える塀について、木造建築物に付属するものは、令136条の2第五号に基づ
き、延焼防止上支障のない構造としなければならないとしているが、準防火地域内にある木造建築物以外に付属するものは、法61条ただし書きのかっこ書きで「木造建築物等
を除く」としており、準防火地域内にある木造建築物以外に付属する2mを超える塀への制限をしていない。したがって、「当該建築物の構造にかかわらず、しなければならな
い。」という記述は、誤りということになる。
◇木造の塀でよいもの(法61条ただし書き)
・防火地域内:高さが2m以下の門、塀
・準防火地域内:木造を除く建築物に付属する門、塀は、2mを超えてもよい。
3.正しい。法63条:防火地域、準防火地域内の耐火構造の外壁が対象⇒条文参照。
4.正しい。法65条1項:同2項で、防火地域・準防火地域にわたる場合を規定。いずれも、厳しい方の基準適用としている。
5.正しい。法62条、令136条の2の2第一号、同二号:条文参照。
〔No.20〕その他の規定における、誤っている記述を選択する問題です。
1,誤り。法93条、令147条の3(消防同意を必要とする住宅):消防同意を必要とする一戸建て住宅は、住宅以外の用途部分が、床面積の1/2以上、又は住宅以外の用途部分の床面
積が50㎡を超えるものである。
2.正しい。法86条の7第1項(既存の建築物に対する、原則として制限を緩和する規定):ただし、除外する条文に記載のないものは、適用を受けることに注意する。
【例】法22条指定区域の屋根(法22条)、同・外壁(法23条)、etc.
3.正しい。法88条、令138条2項三号:法88条に該当する政令で指定する工作物は、法20条の規定が適用になり、観覧車は、政令(令138条2項三号)で指定する工作物(遊戯施設)
である。
なお、令138号1項で指定する工作物は、数値の基準を含んでいるので、注意が必要。問題文の記述でいえば、例えば、高さが2mの擁壁は、法20条(構造耐力)の規定が適用さ
れるかといえば、「超える」と条文にあるので、「2mの擁壁には適用されない」ことになる。
一号 高さが6mを超える煙突
二号 高さが15mを超える鉄筋コンクリート造の柱、鉄柱、木柱その他これらに類するもの
三号 高さが4mを超える広告塔、広告板、装飾塔、記念塔その他これらに類するもの
四号 高さが8mを超える高架水槽、サイロ、物見塔その他これらに類するもの
五号 高さが2mを超える擁壁
4.正しい。法85条6項、同7項(国際会議場等の使用許可):条文参照。
5.正しい。法98条2項、同1項二号、同三号:設計者又は工事施工者だけでなく、当該建築主も、3年以下の懲役、又は300万円以下の罰金に処する対象となる。
【蚯蚓の戯言(防火地域等その他規定)】
①防火地域等の規定
◇R1改正でなんとなく面倒な条文になった気がしますが、慣れると意外と習得しやすいのがわかります。
◇令136条の2(技術的基準)の理解促進が、キーポイントです。
◇国交省の資料で、この技術基準をまとめた表があり、意外とシンプルであることが理解できます。
◇受験講座の各機関でも、表にまとめたものを提供していると思います。
◇かつ、法62条から法64条は、条文参照で理解できる範疇で、かつ、出題率も高いので、注意が必要。
◇特に法64条の屋上に設ける広告塔等の場合、高さに関係なく規制され、屋上以外の場合には、高さ3mを超えるものを規制していることに注意する。
②その他既定
◇その他既定は、法85条の仮設建築物の緩和、法88条の工作物の準用規定の出題率が高い、
◇いずれも数値基準を持ち、適用条項の指定があるので、出題のし易さがあると推察します。
◇なかなか記憶するのが難しい分野なので、法令集との参照訓練が重要だと心得ます。
◇ついでですので、今まで出題率は高くはないですが、今後が気になる法3条をまとめます。
法3条1項:国宝等に関する適用の除外
法3条2項:既存不適格建築物⇒ 法86条の7(既存の建築物に対する制限の緩和) 令137条~令137条の16
法3条3項:改正法の適用除外対象とならない既存不適格建築物
一号:改正前の法令に違反している。
二号:改正前の地域地区等の制限に違反している。
三号、四号:改正法施行後の増築、改築等
五号:改正法に、いったん適法となったもの。
2022年3月25日 by SHRS(シュルズ) 建築基準適合判定資格者、一級建築士
試験問題については、「公益財団法人 建築技術教育普及センター」のホームページで公開されていますので、そちらを参照してください。直接アクセスできるように、アドレスを記載します。 2k-2021-1st-gakka1_2.pdf (jaeic.or.jp)
なお、アクセスできない場合には、「公益財団法人 建築技術教育普及センター」ホームページから、次の手順で入ってください。
①資格試験⇒②二級建築士⇒③(1-6)過去の試験問題等⇒④学科の試験 すると、マトリックスの表が表示されますので、
「令和3年 学科Ⅰ及び学科Ⅱ」と「合格基準点⇒正答肢等」を参照してください。
〔No.19〕防火地域等に関する規定で、2階建て、200㎡の共同住宅に関する、誤っている記述を選択する問題です。
1.正しい。法61条、令136条の2第三号、法2条八号(防火構造)、令108条(防火性能):準防火地域内の階数が2以下で500㎡以下の木造建築物は、外壁及び軒裏で延焼のおそれの
ある部分を防火構造とすることができる。
法61条では、防火地域内、準防火地域内の建築物の規制について、令109条に定める防火設備の要求と共に、建築規模に応じて、令136条の2に定める技術基準に適合するこ
とを求めている。
◇法61条:① 延焼の恐れのある部分にある外壁開口部に防火設備(令109条)
②必要性能を建物規模別に要求(令136条の2)
◇令136条の2(技術的基準)
一号:「耐火建築物」「延焼防止建築物」を要求する規模を規定
・防火地域内にある建築物で階数が3以上のもの若しくは延べ面積が100㎡を超えるもの
・準防火地域内にある建築物で地階を除く階数が4以上のもの若しくは延べ面積が1,500㎡を超えるもの
二号:「準耐火建築物」「準延焼防止建築物」を要求する規模を規定
・防火地域内にある建築物のうち階数が2以下で延べ面積が100㎡以下のもの
・準防火地域内にある建築物のうち地階を除く階数が3で延べ面積が1,500㎡以下のもの
若しくは地階を除く階数が2以下で延べ面積が500㎡を超え1,500㎡以下のもの
三号:「外壁・軒裏を防火構造とし、延焼のおそれのある部分の外壁開口部に片面防火設備を設けた建築物」要求する規模を規定(木造建築物)
四号:「延焼のおそれのある部分の外壁開口部に片面防火設備を設けた建築物」を要求する規模を規定(木造建築物以外)
2.誤り。法61条ただし書き、令136条の2第五号:準防火地域内で、建築物に附属する高さ2mを超える塀について、木造建築物に付属するものは、令136条の2第五号に基づ
き、延焼防止上支障のない構造としなければならないとしているが、準防火地域内にある木造建築物以外に付属するものは、法61条ただし書きのかっこ書きで「木造建築物等
を除く」としており、準防火地域内にある木造建築物以外に付属する2mを超える塀への制限をしていない。したがって、「当該建築物の構造にかかわらず、しなければならな
い。」という記述は、誤りということになる。
◇木造の塀でよいもの(法61条ただし書き)
・防火地域内:高さが2m以下の門、塀
・準防火地域内:木造を除く建築物に付属する門、塀は、2mを超えてもよい。
3.正しい。法63条:防火地域、準防火地域内の耐火構造の外壁が対象⇒条文参照。
4.正しい。法65条1項:同2項で、防火地域・準防火地域にわたる場合を規定。いずれも、厳しい方の基準適用としている。
5.正しい。法62条、令136条の2の2第一号、同二号:条文参照。
〔No.20〕その他の規定における、誤っている記述を選択する問題です。
1,誤り。法93条、令147条の3(消防同意を必要とする住宅):消防同意を必要とする一戸建て住宅は、住宅以外の用途部分が、床面積の1/2以上、又は住宅以外の用途部分の床面
積が50㎡を超えるものである。
2.正しい。法86条の7第1項(既存の建築物に対する、原則として制限を緩和する規定):ただし、除外する条文に記載のないものは、適用を受けることに注意する。
【例】法22条指定区域の屋根(法22条)、同・外壁(法23条)、etc.
3.正しい。法88条、令138条2項三号:法88条に該当する政令で指定する工作物は、法20条の規定が適用になり、観覧車は、政令(令138条2項三号)で指定する工作物(遊戯施設)
である。
なお、令138号1項で指定する工作物は、数値の基準を含んでいるので、注意が必要。問題文の記述でいえば、例えば、高さが2mの擁壁は、法20条(構造耐力)の規定が適用さ
れるかといえば、「超える」と条文にあるので、「2mの擁壁には適用されない」ことになる。
一号 高さが6mを超える煙突
二号 高さが15mを超える鉄筋コンクリート造の柱、鉄柱、木柱その他これらに類するもの
三号 高さが4mを超える広告塔、広告板、装飾塔、記念塔その他これらに類するもの
四号 高さが8mを超える高架水槽、サイロ、物見塔その他これらに類するもの
五号 高さが2mを超える擁壁
4.正しい。法85条6項、同7項(国際会議場等の使用許可):条文参照。
5.正しい。法98条2項、同1項二号、同三号:設計者又は工事施工者だけでなく、当該建築主も、3年以下の懲役、又は300万円以下の罰金に処する対象となる。
【蚯蚓の戯言(防火地域等その他規定)】
①防火地域等の規定
◇R1改正でなんとなく面倒な条文になった気がしますが、慣れると意外と習得しやすいのがわかります。
◇令136条の2(技術的基準)の理解促進が、キーポイントです。
◇国交省の資料で、この技術基準をまとめた表があり、意外とシンプルであることが理解できます。
◇受験講座の各機関でも、表にまとめたものを提供していると思います。
◇かつ、法62条から法64条は、条文参照で理解できる範疇で、かつ、出題率も高いので、注意が必要。
◇特に法64条の屋上に設ける広告塔等の場合、高さに関係なく規制され、屋上以外の場合には、高さ3mを超えるものを規制していることに注意する。
②その他既定
◇その他既定は、法85条の仮設建築物の緩和、法88条の工作物の準用規定の出題率が高い、
◇いずれも数値基準を持ち、適用条項の指定があるので、出題のし易さがあると推察します。
◇なかなか記憶するのが難しい分野なので、法令集との参照訓練が重要だと心得ます。
◇ついでですので、今まで出題率は高くはないですが、今後が気になる法3条をまとめます。
法3条1項:国宝等に関する適用の除外
法3条2項:既存不適格建築物⇒ 法86条の7(既存の建築物に対する制限の緩和) 令137条~令137条の16
法3条3項:改正法の適用除外対象とならない既存不適格建築物
一号:改正前の法令に違反している。
二号:改正前の地域地区等の制限に違反している。
三号、四号:改正法施行後の増築、改築等
五号:改正法に、いったん適法となったもの。
2022年3月25日 by SHRS(シュルズ) 建築基準適合判定資格者、一級建築士