2021年(令和3年)の試験問題解説を軸に、過去の出題傾向を踏まえて、重点事項と出題予測推論を加えて解説していきます。
試験問題については、「公益財団法人 建築技術教育普及センター」のホームページで公開されていますので、そちらを参照してください。直接アクセスできるように、アドレスを記載します。 2k-2021-1st-gakka1_2.pdf (jaeic.or.jp)
なお、アクセスできない場合には、「公益財団法人 建築技術教育普及センター」ホームページから、次の手順で入ってください。
①資格試験⇒②二級建築士⇒③(1-6)過去の試験問題等⇒④学科の試験 すると、マトリックスの表が表示されますので、
「令和3年 学科Ⅰ及び学科Ⅱ」と「合格基準点⇒正答肢等」を参照してください。
〔No.17〕図形計算問題で、図中に指示された「A点」の地盤面からの最高高さを求める問題です。この問題では影響はないのですが、注意事項として、道路斜線は前面道路の中央からの高さを計算しますが、回答は地盤面からの高さの要求です。前面道路と地盤面の高さが異なる問題の場合には注意です。
◇ 法56条5項:敷地が異なる用途地域にわたる場合それぞれの高さの制限を適用
・A点は、第一種中高層住居専用地域の高さ制限を適用
・第一種低層住居専用地域の絶対高さ「10m」は適用されない。
・別表第3(は)欄より高さ制限の適用距離20m以内にある
・A点の位置:2+4+2+2+5+2=17m≦20m
◇一応、異なる用途地域への対応計算をします。⇒正答への影響はありませんが・・・。
・敷地面積:第一種中高層住居専用地域は30㎡
第一種低層住居専用地域は90㎡
・容積率:第一種中高層住居専用地域は4×4/10<20/10(道路容積率で算定)
第一種低層住居専用地域は4×4/10>10/10(都市計画容積率で算定)
・別表第3「1」項、同・備考二号、令130条の11
敷地が2以上の区域に渡る場合の高さ制限の適用距離は前面道路に接する地域
ちなみに法52条7項に基づく容積率(面積加重平均)に基づく適用距離の算定
[(4×4/10)×30/(30+90)]+[10/10×90/(30+90)]=11.5/10 ⇒ 20/10以下
⇒ 第一種低層住居専用地域の適用距離:容積率20/10以下の場合「20m」
① 道路斜線:法56条1項一号、同5項、別表第3「1」項、同・備考二号、令130条の11、法56条2項
・第一種低層住居専用地域の適用距離:容積率20/10以下の場合「20m」
・A点の位置:第一種中高層住居専用地域の高さ制限範囲内
・法56条1項一号、別表第3「1」項:(2+4+2+2+5+2=17m)×1.25=21.25m(道路斜線制限)
② 隣地斜線制限(法56条1項二号):20+1×1.25=21.25m
③ 北側斜線制限(法56条1項三号)1×1.25+10=11.25m
∴A点における地盤面からの建築物の高さの最高限度は、北側斜線制限による「11.25m」・・・「3」
◇斜線制限の基本的注意事項
・2方向道路による道路斜線制限の問題が主流なので、各要件の緩和条項の把握が重要。
・正答が、北側斜線となる場合が、結構あることの注意。
・北側斜線には、屋上突出物へ緩和条項(建築面積の1/8緩和)の適用がないことに注意、
(平たく言うと、絶対に斜線制限から出てはいけないということ。)
・出題確率はそれ程ではないが、天空率適用の場合(法56条7項)の測定点の位置は、数値があるので出題し易く、注意です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/17/28/a214b30f008dfc6249032c1bd356320a.jpg)
〔No.18〕日影規制に関する問題で、誤っている肢問を選択する問題です。
1.正しい。法56条の2、別表第4の表の(い)欄:日影規制の地域・地区に、商業地域はない。
2.正しい。法56条の2、別表第4の表の(ろ)欄、令2条1項六号(建築物の高さ)、同七号(軒の高さ)、第4の表の最下欄(平均地盤面からの高さ)。:別表第4参照。
3.誤り。法56条の2第2項:別の建築物としてではなく、一の建築物とみなして規定を適用する。
4.正しい。法56条の2、別表第4の表の(1)項(ろ)欄:表の規制事項参照。
5.正しい。法56条の2第3項、令135条の12第3項一号:条文参照。ちなみに、幅員10m以上道路に接する場合は、反対側の境界線から5mの位置を敷地境界線とみなす。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/56/0e/c254dabf295680ab993ddd43fd53e63d.jpg)
◇日影規制の基本的注意事項は、
・別表第4を参照して回答することに慣れること
・みなし境界線による制限緩和(令135条の12)に注意
・第一種、第二種中高層住居専用地域の日影規制の対象区域内においては、北側高さ制限は適用されないこと。
【蚯蚓の戯言(斜線制限)】
◇H24の斜線制限図形問題と、ほぼ同じ問題で、昨年(R3)の対面講座では、勿論、演習解説をしています。
◇その時に真面目に取り組んだ受講生には、易しい問題で、1問ゲットであったと思います。
◇道路斜線の図形問題では、2方向道路による制限規定(令132条1項)が主流です。
◇でも、いつか出題されると、毎年、H24年問題の解説を続けていました。
◇ようやく昨年(R3)出題で・・・ということは、今年の出題確率は、かなり低い???
◇条項の記載場所が特殊(別表第3備考欄⇒令130条の11参照)なので、気にしていたのです。
◇内容は、用途地域が異なる場合の道路斜線の制限適用距離は、道路に接する敷地に従います。
◇試験では、斜線勾配に影響する用途地域の組み合わせになっていないので、間違うことはないです。
◇しかし、制限勾配が異なる地域とか、制限距離が異なる地域の場合、原則、答えに影響してきます。
◇二級に合格して、一級をすぐに目指す人は、要注意です。
◇一級の試験では、制限適用距離が異なる用途地域の組み合わせで出題してくると推察します。
◇あと気になるのが、法56条2項の建物後退による緩和規定の適用に関して、当該建築物に該当しない(法56条2項を適用しない)建築物の部分として、令130条の12に定めるもの
が規定されている。
◇H23年に出題例があるが、影が薄く、でも、そろそろ気になる部分です・・・。
2022年3月23日 by SHRS(シュルズ) 建築基準適合判定資格者、一級建築士
試験問題については、「公益財団法人 建築技術教育普及センター」のホームページで公開されていますので、そちらを参照してください。直接アクセスできるように、アドレスを記載します。 2k-2021-1st-gakka1_2.pdf (jaeic.or.jp)
なお、アクセスできない場合には、「公益財団法人 建築技術教育普及センター」ホームページから、次の手順で入ってください。
①資格試験⇒②二級建築士⇒③(1-6)過去の試験問題等⇒④学科の試験 すると、マトリックスの表が表示されますので、
「令和3年 学科Ⅰ及び学科Ⅱ」と「合格基準点⇒正答肢等」を参照してください。
〔No.17〕図形計算問題で、図中に指示された「A点」の地盤面からの最高高さを求める問題です。この問題では影響はないのですが、注意事項として、道路斜線は前面道路の中央からの高さを計算しますが、回答は地盤面からの高さの要求です。前面道路と地盤面の高さが異なる問題の場合には注意です。
◇ 法56条5項:敷地が異なる用途地域にわたる場合それぞれの高さの制限を適用
・A点は、第一種中高層住居専用地域の高さ制限を適用
・第一種低層住居専用地域の絶対高さ「10m」は適用されない。
・別表第3(は)欄より高さ制限の適用距離20m以内にある
・A点の位置:2+4+2+2+5+2=17m≦20m
◇一応、異なる用途地域への対応計算をします。⇒正答への影響はありませんが・・・。
・敷地面積:第一種中高層住居専用地域は30㎡
第一種低層住居専用地域は90㎡
・容積率:第一種中高層住居専用地域は4×4/10<20/10(道路容積率で算定)
第一種低層住居専用地域は4×4/10>10/10(都市計画容積率で算定)
・別表第3「1」項、同・備考二号、令130条の11
敷地が2以上の区域に渡る場合の高さ制限の適用距離は前面道路に接する地域
ちなみに法52条7項に基づく容積率(面積加重平均)に基づく適用距離の算定
[(4×4/10)×30/(30+90)]+[10/10×90/(30+90)]=11.5/10 ⇒ 20/10以下
⇒ 第一種低層住居専用地域の適用距離:容積率20/10以下の場合「20m」
① 道路斜線:法56条1項一号、同5項、別表第3「1」項、同・備考二号、令130条の11、法56条2項
・第一種低層住居専用地域の適用距離:容積率20/10以下の場合「20m」
・A点の位置:第一種中高層住居専用地域の高さ制限範囲内
・法56条1項一号、別表第3「1」項:(2+4+2+2+5+2=17m)×1.25=21.25m(道路斜線制限)
② 隣地斜線制限(法56条1項二号):20+1×1.25=21.25m
③ 北側斜線制限(法56条1項三号)1×1.25+10=11.25m
∴A点における地盤面からの建築物の高さの最高限度は、北側斜線制限による「11.25m」・・・「3」
◇斜線制限の基本的注意事項
・2方向道路による道路斜線制限の問題が主流なので、各要件の緩和条項の把握が重要。
・正答が、北側斜線となる場合が、結構あることの注意。
・北側斜線には、屋上突出物へ緩和条項(建築面積の1/8緩和)の適用がないことに注意、
(平たく言うと、絶対に斜線制限から出てはいけないということ。)
・出題確率はそれ程ではないが、天空率適用の場合(法56条7項)の測定点の位置は、数値があるので出題し易く、注意です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/17/28/a214b30f008dfc6249032c1bd356320a.jpg)
〔No.18〕日影規制に関する問題で、誤っている肢問を選択する問題です。
1.正しい。法56条の2、別表第4の表の(い)欄:日影規制の地域・地区に、商業地域はない。
2.正しい。法56条の2、別表第4の表の(ろ)欄、令2条1項六号(建築物の高さ)、同七号(軒の高さ)、第4の表の最下欄(平均地盤面からの高さ)。:別表第4参照。
3.誤り。法56条の2第2項:別の建築物としてではなく、一の建築物とみなして規定を適用する。
4.正しい。法56条の2、別表第4の表の(1)項(ろ)欄:表の規制事項参照。
5.正しい。法56条の2第3項、令135条の12第3項一号:条文参照。ちなみに、幅員10m以上道路に接する場合は、反対側の境界線から5mの位置を敷地境界線とみなす。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/56/0e/c254dabf295680ab993ddd43fd53e63d.jpg)
◇日影規制の基本的注意事項は、
・別表第4を参照して回答することに慣れること
・みなし境界線による制限緩和(令135条の12)に注意
・第一種、第二種中高層住居専用地域の日影規制の対象区域内においては、北側高さ制限は適用されないこと。
【蚯蚓の戯言(斜線制限)】
◇H24の斜線制限図形問題と、ほぼ同じ問題で、昨年(R3)の対面講座では、勿論、演習解説をしています。
◇その時に真面目に取り組んだ受講生には、易しい問題で、1問ゲットであったと思います。
◇道路斜線の図形問題では、2方向道路による制限規定(令132条1項)が主流です。
◇でも、いつか出題されると、毎年、H24年問題の解説を続けていました。
◇ようやく昨年(R3)出題で・・・ということは、今年の出題確率は、かなり低い???
◇条項の記載場所が特殊(別表第3備考欄⇒令130条の11参照)なので、気にしていたのです。
◇内容は、用途地域が異なる場合の道路斜線の制限適用距離は、道路に接する敷地に従います。
◇試験では、斜線勾配に影響する用途地域の組み合わせになっていないので、間違うことはないです。
◇しかし、制限勾配が異なる地域とか、制限距離が異なる地域の場合、原則、答えに影響してきます。
◇二級に合格して、一級をすぐに目指す人は、要注意です。
◇一級の試験では、制限適用距離が異なる用途地域の組み合わせで出題してくると推察します。
◇あと気になるのが、法56条2項の建物後退による緩和規定の適用に関して、当該建築物に該当しない(法56条2項を適用しない)建築物の部分として、令130条の12に定めるもの
が規定されている。
◇H23年に出題例があるが、影が薄く、でも、そろそろ気になる部分です・・・。
2022年3月23日 by SHRS(シュルズ) 建築基準適合判定資格者、一級建築士