◇2022年(R4年)の木造建築士試験問題について、独断と偏見で解説を進めていきます。
◇木造建築士の来年度試験を受験される方の参考になればと思っております。
◇記述するのは解説だけですので、問題文については、公開されています、公益財団法人建築技術者普及教育センターのH.P.をご参照ください。
◇H.P.を開くと、「資格試験」⇒「建築士:木造建築士試験」⇒「(1)受験をお考えの方:(1-6)過去の試験問題等」
の手順で進んでいただければ、「問題と正答表」のダウンロード画面になります。
もし、開けられない場合は、問題文データの下記アドレスを直接クリックしてください(学科Ⅰだけです)。
mk-2022-1st-gakka1_2.pdf (jaeic.or.jp)
〔No.1〕用語の問題で、誤っている記述を選択します。
正答3
1.正しい。令2条一号、同三号:建築物に設ける昇降機は、令2条三号で「建築設備」と定義されており、同一号の「建築物」の定義において「建築設備を含む」と規定して
いるので、「建築物」に該当する。
2.正しい。令2条五号、同十四号:屋内階段は主要構造部(令2条五号該当)であり、主要構造部の一種について行う過半の修繕を、令2条十四号で「大規模の修繕」と定義して
いる。
3.誤り。令2条十三号:建築とは、「新築、増築、改築、移転」をいい、屋根の修繕は、主要構造部(法2条五号に該当)の2/3以上であっても、「大規模な修繕(同十四号)」に
は該当するが、「建築」という定義には該当しない。
4.正しい。法2条四号:居住のために継続的に使用する室に該当する。
5.正しい。法2条二号、令115条の3第三号:床面積10㎡を超える「物品販売業を営む店舗」は、別表第1(4)項に該当し、法27条(特殊建築物の防火規制)などの規制の対象とな
る特殊建築物である。なお、延べ面積200㎡以下なので、法6条の一号建築物には該当しないが、用途上は特殊建築物である。
〔No.2〕図を見て、建築面積を算定する問題です。
正答 5
建築面積の計算。法92条、令2条1項二号:建築物のそれぞれの面積計算については、法92条において、政令に定めるとしており、建築面積については令2条1項二号において、
次のように規定している。
・柱、壁等の中心線で囲まれた部分の面積。
・地階で地盤面上1m以下の部分は建築面積に含めない。
・柱、壁等の中心線から1m以内の部分は、建築面積に含めない。
すなわち、軒の出は含めない、ひさしは、1.5mから1mを除いた部分の0.5mが建築面積に含まれる。
したがって、9×6+4×0.5=56㎡
〔No.3〕全国どこの場所においても、確認済証を必要とする建築物を選択する問題です。木造建築物の場合、法6条1項四号に該当する、「通称:四号建築物」である場合が多く、その場合は、都市計画区域内・準都市計画区域内などを対象とし、かつ「建築(新築・増築・改築・移転)」が対象で、「大規模な修繕・大規模な模様替を含まない」という、その種類分け(境界線)を問う問題となります。
なお、特殊建築物を対象とする一号建築物については、法87条に基づく用途変更の規定が影響してくることへの注意も必要です。
正答 1
1.確認済証が必要。法6条1項一号、別表第1(2)項:共同住宅は、別表第1(2)項に該当する特殊建築物なので、延べ面積が200㎡を超えるものは、法6条1項一号の規定に従い、
確認済証の交付を受けなければ、全国どの場所においても、建築(新築、増築、改築、移転)、大規模修繕、大規模模様替をすることはできない。
2.確認は不要。法6条1項一号、別表第1(2)項、法87条
・寄宿舎への用途変更は、法87条により、変更後の用途について、原則、法6条の規定が準用となる。
・しかし寄宿舎は、別表第1(2)項に該当する特殊建築物であるが、延べ面積が200㎡を超えていない。
・従って、一号には該当せず、高さが9m以下なので二号にも該当せず、四号に該当する。
・四号に該当する建築物は、都市計画区域内等の建築(新築、改築、増築、移転)以外の行為には、確認を必要としないとしている。言い換えれば、行政機関は関与しないの
で、責任をもって法令を遵守してくださいということです。
3.確認は不要。法6条1項四号:四号に該当する建築物なので、都市計画区域内等の建築(新築、改築、増築、移転)以外の行為である、大規模の模様替工事には、確認を必要
としない。
4.確認は不要。法6条1項一号、別表第1(1)項、法87条かっこ書き、令137条の18第一号
・演芸場への用途変更は、法87条により、変更後の用途について、原則、法6条1項の規定が準用。
・しかし、法87条かっこ書きにおいて、政令に定める用途間の変更については確認を要しないと規定。
・映画館から演芸場への用途の変更は、令137条の18第一号に該当する類似用途変更で、確認対象外。
5.確認は不要。法6条1項四号:患者の収容施設がある診療所なので、用途的には特殊建築物であるが、延べ面積が200㎡を超えていないので一号には該当せず、高さが9m以
下なので二号にも該当せず、四号に該当する建築物なので、都市計画区域内等の建築(新築、改築、増築、移転)行為には、確認を必要としない。
〔No.4〕法制度手続きについて、誤っている記述を選択する問題です。
正答 5
1.正しい。法6条1項、令9条七号、水道法16条:令9条に定める建築基準関係規定は、法6条1項において、適合することを求めており、水道法に基づく、給水装置の構造及び
材質の規定(水道法16条)は、建築基準法施行令9条七号において建築基準関係規定として定められている。
2.正しい。法15条:「建築工事届」の規定で、提出義務は建築主(クライアント)としているが、施工者に提出義務がある「建築物除去届」についても規定されており、同様に建築
主事経由としている。
3.正しい。法85条2項:仮設建築物への制限緩和規定(条文の前段を参照)。
4.正しい。法6条8項:確認済証のない工事を制限している規定で、法6条1項に規定する確認済証を必要とする建築物が対象(条文参照)。
5.誤り。法5条の6第4項:法6条1項に定める確認済証を必要とする工事において、建築士である工事監理者を定めなければならないのは、工事施工者ではなく、建築主(クライアン
ト)である。
2022年9月25日 by shrs(シュルズ) 建築適合判定資格者、一級建築士
◇木造建築士の来年度試験を受験される方の参考になればと思っております。
◇記述するのは解説だけですので、問題文については、公開されています、公益財団法人建築技術者普及教育センターのH.P.をご参照ください。
◇H.P.を開くと、「資格試験」⇒「建築士:木造建築士試験」⇒「(1)受験をお考えの方:(1-6)過去の試験問題等」
の手順で進んでいただければ、「問題と正答表」のダウンロード画面になります。
もし、開けられない場合は、問題文データの下記アドレスを直接クリックしてください(学科Ⅰだけです)。
mk-2022-1st-gakka1_2.pdf (jaeic.or.jp)
〔No.1〕用語の問題で、誤っている記述を選択します。
正答3
1.正しい。令2条一号、同三号:建築物に設ける昇降機は、令2条三号で「建築設備」と定義されており、同一号の「建築物」の定義において「建築設備を含む」と規定して
いるので、「建築物」に該当する。
2.正しい。令2条五号、同十四号:屋内階段は主要構造部(令2条五号該当)であり、主要構造部の一種について行う過半の修繕を、令2条十四号で「大規模の修繕」と定義して
いる。
3.誤り。令2条十三号:建築とは、「新築、増築、改築、移転」をいい、屋根の修繕は、主要構造部(法2条五号に該当)の2/3以上であっても、「大規模な修繕(同十四号)」に
は該当するが、「建築」という定義には該当しない。
4.正しい。法2条四号:居住のために継続的に使用する室に該当する。
5.正しい。法2条二号、令115条の3第三号:床面積10㎡を超える「物品販売業を営む店舗」は、別表第1(4)項に該当し、法27条(特殊建築物の防火規制)などの規制の対象とな
る特殊建築物である。なお、延べ面積200㎡以下なので、法6条の一号建築物には該当しないが、用途上は特殊建築物である。
〔No.2〕図を見て、建築面積を算定する問題です。
正答 5
建築面積の計算。法92条、令2条1項二号:建築物のそれぞれの面積計算については、法92条において、政令に定めるとしており、建築面積については令2条1項二号において、
次のように規定している。
・柱、壁等の中心線で囲まれた部分の面積。
・地階で地盤面上1m以下の部分は建築面積に含めない。
・柱、壁等の中心線から1m以内の部分は、建築面積に含めない。
すなわち、軒の出は含めない、ひさしは、1.5mから1mを除いた部分の0.5mが建築面積に含まれる。
したがって、9×6+4×0.5=56㎡
〔No.3〕全国どこの場所においても、確認済証を必要とする建築物を選択する問題です。木造建築物の場合、法6条1項四号に該当する、「通称:四号建築物」である場合が多く、その場合は、都市計画区域内・準都市計画区域内などを対象とし、かつ「建築(新築・増築・改築・移転)」が対象で、「大規模な修繕・大規模な模様替を含まない」という、その種類分け(境界線)を問う問題となります。
なお、特殊建築物を対象とする一号建築物については、法87条に基づく用途変更の規定が影響してくることへの注意も必要です。
正答 1
1.確認済証が必要。法6条1項一号、別表第1(2)項:共同住宅は、別表第1(2)項に該当する特殊建築物なので、延べ面積が200㎡を超えるものは、法6条1項一号の規定に従い、
確認済証の交付を受けなければ、全国どの場所においても、建築(新築、増築、改築、移転)、大規模修繕、大規模模様替をすることはできない。
2.確認は不要。法6条1項一号、別表第1(2)項、法87条
・寄宿舎への用途変更は、法87条により、変更後の用途について、原則、法6条の規定が準用となる。
・しかし寄宿舎は、別表第1(2)項に該当する特殊建築物であるが、延べ面積が200㎡を超えていない。
・従って、一号には該当せず、高さが9m以下なので二号にも該当せず、四号に該当する。
・四号に該当する建築物は、都市計画区域内等の建築(新築、改築、増築、移転)以外の行為には、確認を必要としないとしている。言い換えれば、行政機関は関与しないの
で、責任をもって法令を遵守してくださいということです。
3.確認は不要。法6条1項四号:四号に該当する建築物なので、都市計画区域内等の建築(新築、改築、増築、移転)以外の行為である、大規模の模様替工事には、確認を必要
としない。
4.確認は不要。法6条1項一号、別表第1(1)項、法87条かっこ書き、令137条の18第一号
・演芸場への用途変更は、法87条により、変更後の用途について、原則、法6条1項の規定が準用。
・しかし、法87条かっこ書きにおいて、政令に定める用途間の変更については確認を要しないと規定。
・映画館から演芸場への用途の変更は、令137条の18第一号に該当する類似用途変更で、確認対象外。
5.確認は不要。法6条1項四号:患者の収容施設がある診療所なので、用途的には特殊建築物であるが、延べ面積が200㎡を超えていないので一号には該当せず、高さが9m以
下なので二号にも該当せず、四号に該当する建築物なので、都市計画区域内等の建築(新築、改築、増築、移転)行為には、確認を必要としない。
〔No.4〕法制度手続きについて、誤っている記述を選択する問題です。
正答 5
1.正しい。法6条1項、令9条七号、水道法16条:令9条に定める建築基準関係規定は、法6条1項において、適合することを求めており、水道法に基づく、給水装置の構造及び
材質の規定(水道法16条)は、建築基準法施行令9条七号において建築基準関係規定として定められている。
2.正しい。法15条:「建築工事届」の規定で、提出義務は建築主(クライアント)としているが、施工者に提出義務がある「建築物除去届」についても規定されており、同様に建築
主事経由としている。
3.正しい。法85条2項:仮設建築物への制限緩和規定(条文の前段を参照)。
4.正しい。法6条8項:確認済証のない工事を制限している規定で、法6条1項に規定する確認済証を必要とする建築物が対象(条文参照)。
5.誤り。法5条の6第4項:法6条1項に定める確認済証を必要とする工事において、建築士である工事監理者を定めなければならないのは、工事施工者ではなく、建築主(クライアン
ト)である。
2022年9月25日 by shrs(シュルズ) 建築適合判定資格者、一級建築士