一人想うこと :  想うままに… 気ままに… 日々徒然に…

『もう一人の自分』という小説を“けん あうる”のペンネームで出版しました。ぜひ読んでみてください。

2006-07-15 16:12:50 | 日記・エッセイ・コラム
Kari13
 暑くなっても一人で出られない日々が続いた。
家の窓は開いていても外側の網戸はしっかりとガムテープで固定されている。
「一人で遊びに行きたいよ~」と言うが、奥様は相変わらず心配してだめと言う。
そこで僕は徹底して抵抗することにした。
家中の網戸という網戸をすべてぶち抜いてしまった。
とうとう根負けした奥様は、また僕を一人で出してくれるようになった。
Kari23
「やったー、やっと自由だ!」
僕は一人で庭の中を歩き回っていた。
すると、何かの気配がする。
庭の隅で「バサバサッ」と羽音がした。
Kari33
「なんだ!?」
と思って振り向くと、ブルーベリーの木の根元に何かいるようだ。
僕は息を殺し、そーっと近づいた。
抜き足、差し足、忍び足。
「いたーッ!!」
僕は迷わず飛びかかった。
「つかまえたよー!」
僕は喜び勇んで奥様に見せに行った。
すると・・・
それを見た奥様は、
「どうしてこんな可愛そうなことをするの!!」
思いっきり怒られた。
奥様は僕が捕まえた獲物を手の中でさすっていたが、しばらくして息絶えてしまった。
それはヒヨドリの幼鳥だった。
そう、冬の間ベランダに置いてあったリンゴを食べに来ていた野鳥の幼鳥だ。
どうやら近くに巣があるようだ。
「可愛そうに」
奥様は幼鳥を庭の隅にそーっと埋めていた。
そこに一輪の花をさして・・・
 ご主人様が帰って来たので奥様は僕のしたことを訊いてみた。
すると、
「そんなの仕方ないだろう。猫なんだから・・・」
あっけなく言う。
「どうしてそうなの? かわいそうでしょ!
生まれたばっかりの雛なのに・・・」
どうも納得のいかない奥様は息子にも同じことを訊いてみた。
すると、
「猫だもあたりまえだろ!」
これもあっけなく言われてしまった。

 ニセコに棲む猫族はシマリスを捕食しているという。
知人の話では、ごく当たり前のことらしい。
猫はやっぱり猫だった・・・!

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

さくらんぼ

2006-07-11 17:23:22 | 日記・エッセイ・コラム
Sakuranbo13
 裏庭のさくらんぼが熟してきた。
紅い実を枝いっぱいにつけている。
実の重さで枝がしなるほどだ。
今日はご主人様がさくらんぼを採るようだ。
Sakuranbo23
 物置から籠を出してきた。
この籠は実家で使っているものだ。
「早くこの籠、いっぱいにしろよ!」
僕は覗き込んだ。
ご主人様はチラッとこっちを見ると、梯子に登りせっせと採りだした。
Sakuranbo33
 小1時間、二つの籠がいっぱいになった。
枝にはまだたくさんのさくらんぼがなっている。
とてもうちだけで食べきれる量ではない。
奥様は近所に配りに行った。
その時、
「Kさんとこにはいっぱい持ってってくれ」
ご主人様は言った。
奥様が帰ってくると、
「Kさん居たか?」
「うん、お父ちゃまによろしく。て言ってた」
ご主人様がニヤッと笑った。
どうやらご主人様には下心がありそうだ。
「これで秋にはさんまが来る」
「さんまが食べたくてあんなこと言ってたの?」
いつもながら奥様はあきれていた。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする