先日、娘がとうとう嫁いでいった。
娘が生まれた時の事が、まるで昨日のように思い出される。
あんなに小さく、笑顔一杯だった女の子が、気がつくと一人の立派な女性になっていた。
本当に、あっという間の25年間だった。
娘と腕を組み、厳かな賛美歌の流れる中、二人でヴァージンロードを歩いた。
不思議と緊張感はない。
その先に、旦那となる彼氏の姿が見える。
この時、ふと、「ああ、これで終わってしまう」そういう不思議な感覚に陥ってしまった。
娘を彼氏に渡す時、娘の顔を見ると笑顔で頷いていた。
娘も分かっているのであろう、私もゆっくりと頷き、娘を彼氏に渡した。
この時、父親としての役目は、もう終わったんだ。
ふと、そう思ってしまった。
何故か、嬉しさ半分。いや、それ以上に強い寂しさが込み上げてきた。
式も披露宴も無事に終わり、家に帰ってくると、娘が生まれた時に植えたサクランボが鈴なりの紅い実をつけていた。
このサクランボの木も、本当に大きくなったものだ。
そして、旦那となった彼氏のお母さんから頂いたバラの花が、満開に咲き誇っている。
これを見た時、何故か良い旦那さんに巡り会うことができた。
安心して娘を託すことができる。
ふと・・・ そう思った。