年末年始の慌ただしさから解放され、やっと落ち着いた今日この頃。
先日、会社の水産OB会なるものが催された。
今まで、どの部門もOB会なるものが存在しなかったのに、何故水産だけがOB会を作ることになったのが不思議だったが、とにかく出席してみることにした。
幹事はO氏。まだ定年前だと思っていたが、今月でめでたく定年になり、そのまま幹事になったという。
相変わらず食欲旺盛で会場はすき焼き食べ放題の店であった。
行ってみると、皆まだ私と同じで、ほとんどが定年延長で仕事をしている身だったが、その中で一人だけ病気を理由に退職した奴がいた。
それはS氏だったのだが、在職中からC型肝炎で、常に点滴などの治療で病院に掛かっていた。それが原因でやむなく退職していたのであった。
そのS氏が、宴会が始まると、皆と同じように普通にビールを飲んでいる。
一瞬皆の目が、そのS氏に注がれた。それはそうだ。今までS氏は、宴会の席ではアルコール類は一切飲まなかったのだから。
どういうことかと聞いてみると、C型肝炎は完全に治ったという。なんでも道内で一人の医者しか扱えない新薬が出て、金額的にはかなり高かったが、それを使ったら見事に治ったそうだ。
今の薬はすごいなと思った。あれだけ30年以上も肝炎で苦しんでいたのに、今では普通の生活をしている。
本人は、体調も良いので、また復職するつもりだという。
ただ、宴会の終わりにポツリと言っていた。
「もっと早く治っていたら、俺の人生も変わっていたろうになぁ~」
と。
彼のこの言葉が、今も頭の片隅に残っている。