馬鹿も一心!

表題を変えました。
人生要領良く生きられず、騙されても騙されも
懸命に働いています。

無名画家の遺作。

2013-04-23 16:54:02 | 日記

4月22日(月)午後 

スワロスキーボールペンを レーザー彫刻するため

レーザー工房に出かけた。

彫刻が完成するまでに時間があるので

2ヶ月に一回整髪する床屋が近くなので覗いた。

客はおらず、お上さんが納税白色申告のため、伝票を整理していた。

3年前 銀座線稲荷町駅で倒れ亡くなったマスターがいないので

予約制にした。

私が来たのでドトールでコーヒーを買い会話した。

4月になり客が途絶えた。

ドトール、小諸蕎麦屋も客の入りが悪いと言う。

床屋も800円で散髪する店まである。

お上さんは嘆いた。

「アベノミクスなんて私たちには恩恵はない」

「あんなのは一部の人だけでマスコミが煽るだけ」

「この辺のサラリーマンなんか立ち食い蕎麦も食べられない」

鮨屋の若い衆など短髪する金ないから

髭剃り用の電動シェーバーで頭刈って怪我した。

 

これから店の家賃支払いが苦しいから

近くの床屋が経営行き詰まり閉めるので

そこの親父と私とで、この場所で共同経営することにした。

床屋で髪刈る人は50代以上の人。

団塊世代が死んだら床屋は日本に殆ど無くなる。

 

「今店内を整理しているのよ」。

 

突然お上さんが言い出した。

「亡くなった旦那は絵画が好きで

貧しい絵描きを育てようとして、援助したの」。

「スポンサーをしていてその青年が

やっと絵画展に入選するようになって

少しずつ認められ絵が売れるようになった」。

それから、まもなく癌になり

あっけなく死んでしまった。

残った絵は殆どあげてしまった。

画材はこれから捨てる。

お上さんが戸棚から長い長方形の箱を取り出した。

これが唯一残された作品なの。

掛け軸になった巻物を広げた。

「この絵は他の人に渡せないし公開もできない」。

「男と女の七福神」よ!

見つめた当初、理解出来なかった。

 

春画だった。

江戸時代に流行った春画のようだ。

 

製作年 昭和48年 

  

七福神を男女の色でデフォルメした。

 

うちのマスターは画家に投資したが死んでしまって失敗。

 

私が死んで棺桶に入れてもらう訳にもいかず

一人娘に引き渡すことも出来ない。

 

絵画を究めようとした青年画家

志半ばで病死。

残されたのは世に出せない春画のみ。

 

人生は最後まで道半ば!