森の時間 SINCE 2002

Le Temps Du Bois

茜空-地球を感じる

2007年12月24日 | 森林・自然・環境教育

「森の時間」に行く予定だった。昨日の天気予報によれば、佐久地方は一日雪。諏訪方面は既にかなり積雪になっているらしい情報があったので、迷わず今週末の「森」行きは中止した。昨夜、「のらくら農場」のHさんに入れたメールに今朝返信があった。15Cm程積雪している。山芋を一列掘り残した状態で雪が降ってしまった。でも、まだ温度は下がっていないので、根雪にならないで解けるだろう。と書いてあった。雪に覆われた「森の時間」はまだ体験していない。行ってみたい気持ちも沸いたが、在宅して机回りの整理と年賀状を作成することにした。

Dsc00007 夕方、休日の日課になっている荒川土手に行った。冬至の日の入りは早い。神社に拍手を打って土手に上がった時には、既に太陽は富士山の肩に沈んでいて、山容が茜空にくっきり浮かんでいた。真っ赤に広がる西の空に、飛行機雲が沈んだ太陽光を受けて閃光のように輝いた。太陽の光が斜めに厚くなった空気を通ると青い色が大気に吸収されるので、赤色が目に入る。だから、夕日、朝日の空は茜色。現在の大気が組成された頃から、地球上の生物は茜色の空を見ていた。

「ビッグバン」で宇宙が発生し、66億年前の爆発で太陽が誕生した。そして46億年前に溶けた岩石の塊りの地球が誕生した。それから10億年。真っ赤な解けた岩石が徐々に冷えて固まりだす。地球大気の主成分は二酸化炭素だった。36億年前、海で原始生命が誕生し海中でアミノ酸等の有機物合成の化学反応を開始する。それから1億年後、光合成を行う生物が出現して酸素を放出し始める。18億年程前までに大気中の酸素濃度(現在21%)が1%に到達し、更に太陽の紫外線を吸収するオゾン(O3 )層が形成されると、生物が地上に上陸し爆発的に進化する。4億年から2.5億年前になると、地球環境、生態系が発達し、哺乳類が出現する。2億年前になると恐竜が出現し、一億年以上の間地上を支配した。この時代の倒木は炭化し石炭になり、生物遺体は石油・天然ガスに変質したと推定されている。6千5百万年前に今のメキシコ地域に大隕石が落下したのをきっかけに、地球気候が大変動し、生物の大絶滅が始まる。6千万年前までには恐竜は絶滅し、哺乳動物が大発展する。その頃、サハラ砂漠は大密林で、温暖だった南極にはハマグリも生息していた。

地球環境の変化に対応できずに絶滅した生物、進化して適合してきた生物。4-5百万年前、乾燥化で減少した森林で暮らせなくなったサルの一群が地上に降りて生活を開始した。2百万年前になると、猿人が二本足歩行を始める。50万年前に原始的人類が出現し、3万年前に我々の祖先になる生物としてのヒト、新人が出現した。新人は道具と火【エネルギー】の利用方法を習得し、ヒトが「人間」になり生物界を支配しながらも、つい数百年前までは自然生態系と共生し、自然からの食料と太陽エネルギーで暮らしてきた。

農業技術が確立されると人口が漸増し、自然資源、木材の大量消費が始まり、再生スピード以上の速さで自然の恵みを搾取し、自然生態系を破壊し、エネルギー・水・食料が枯渇した古代文明、地中海文明、ローマ帝国は滅亡した。中世の社会でも、自然資源、木材資源に恵まれた民族が優位に立ち、より進んだ道具・技術を持って戦いに勝利し、相手側の資源を搾取・略奪する、或いはアニミズムで暮らす農耕民族を征服し、資源・木材エネルギーを手に入れた。増え続ける人間は、生活レベルの向上、より効率的なエネルギーを求め続けた。人間の頭脳は科学技術を発展させ、18世紀後半に始まった産業革命で遂に石炭、更により利用しやすい石油を、地下から採掘して利用し始めた。化石燃料を利用することは、生命を育んだ現在の地球大気の創生期に、地中に固体された炭素を掘り返して、大気中にCO2を戻すことになる。数十億年の時が作り上げた地球の大気と、数億年の時が育んだ自然環境・生態系を、数万年前に登場した人間が地球の支配者となって破壊し始めた。Google_northpole

地球は大きい?世界は広い? 東京-大阪550kmは地球儀で目に見えるくらいの距離。それが新幹線で僅か2時 間半で移動できる。「青梅徒歩き」新宿-青梅42km。7時間ほどで歩ける。飛行機でひと寝入りすれば欧州、豪州、北米。どこにでも行ける。南米でも24時間で大抵のところに行ける。Google Earthで地球を見る。指一本で世界が見える。移動手段が船の時代、地球は広いと感じたかもしれない。それでも、風に乗りヒトの力で一生懸命に漕げば地球を一周できた。地球の表面を覆っている大気の層は10kmから数十km。エベレストの高さは約9km。それより上空では人間が生きてゆける濃い酸素はない。10kmは早歩きで2時間で行ける距離。「不都合な真実」で、ゴア氏が、『大気はこの地球儀に塗ったニスくらいの厚さしかない』と言っている。その大気が、生命が育めるようになるまでに60数億年かかった。人間は、僅か2百年余りで、その大気の組成比率を変えてしまった。CO2、Sox、Noxを好きなように撒き散らし続けている。

By_jaxa_img_071114_02

月を周回する「かぐや」から見た地球。生命にとってかけがえのない青い天体「水の星」。無重力、無酸素の無限の暗黒の宇宙に浮かぶ、小さな小さなGaia。

 

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