和歌山から机・棚を搬入することになっていた。輸送費を軽くするために搬入日指定なしで依頼していたが、出張予定が迫って来たので、先方の都合でこの日に搬入してもらう事になった。机と引出しキャスターのセット11個と棚3個。全て吉野杉の地元の大工さんのオリジナル。間伐材ではあるが、杉の銘木「吉野杉」の無垢の家具。私の働く会社の和歌山事業所では、
これらの引取り手が居ないので廃棄処分にすると言うのだ、「モッタ イナイ」。 再利用の道を模索し、のらくら農場の事務所や学習机、更にお知り合いの方々に輸送費だけを負担して頂き、利用してもらうことになった。一部は来春引取に来るまで、小屋の屋根下に積んでおくことにしたので、搬入箇所を指示せねばならず、その為に、どうしても現場に行かねばならなくなった。
前夜、長野方面は雪が降った。 路面積雪になっていないことを祈りつつ、内山峠ルートで向かった。冬のウイークデイ、しかも雪・雨予報の暗い一日。内山峠に向かう車は殆どない。峠の上りにさしかかると、たった一台の前方を行く車が路肩に寄せて止まってしまった。路面に雪の轍が目立つようになり、スリップし始めていた。私の車も滑り止めは着けていない。ちょっと躊躇ったが、雪交じりの雨に変っており、峠にかかる霧の状態、外気温の上昇具合からすると、これ以上は降雪することはないと思えたので、止まらずに峠に向かった。 峠に向かう車は全くない。降りてくる車も殆どない。
「森の時間」は雪混じりの雨。時折、強く降る。朝方までは雪が降っていたそうで、大地の一部が白く覆われている。取り残したカリフラワーにザラメの雪。薄暗い曇天の中、飯田市の中継地から中型トラックが到着した。雨の中の荷降ろし作業。間もなく冬至の曇天の一日。 搬入作業が完了し、机・棚にシートを掛け終わる頃には、すっかり暗くなっていたが、 雪の混じる冷たい雨に打たれながらも、来たついでに小屋の周囲を整頓した。そして、小屋の中で一休み。暖かいお茶で一休み。冬を迎える里奥はシーンと静まり返っている。時折強く降る雨音が屋根を叩くだけの無音の世界。暖まったホットカーペットの上、そのまま眠り込んでしまいそうだったが、屋根を打ちつける雨音が連続するようになった。
大雨になると、足元がぬかるんで車が小屋のまでのパスから抜けられなくなる。それ以上に心配なのは、内山峠の雪。帰れなくなる恐れがあるので、しっかりと戸締り、入口に二重のチェーンをかけ、急ぐように家路についた。
「森の時間」は、この日から冬眠に入った。