災害により日程が変更されていた9月議会が閉会しました。
今思うことを書いてみましたので、ご興味がありましたらご覧くださいませ。
少し長いですが、おつきあいください。
「また不認定なの!?」
「不認定の理由はなに?」
議会が平成27年度決算不認定としたあとに、聞いた町民の声です。「災害復旧対応をまずは優先してほしい、そのために議会も町も協力すべきなのになにをしているのか」という町民の方もいました。
平成27年度決算審査については、モヤモヤした思いを消化できずにいました。今一度振り返って自分の考えを整理しておくことが次につながると思いましたので、ここに書き留めておきます。
議案の審議は質疑、討論、採決という順に行われます。平成27年度決算審査は、本会議で予算決算特別委員会に付託され、議長を除く全議員が参加して質疑を行いました。審査は各会計ごとに、決算書および成果の説明書をもとに担当課長が説明を受け、質疑をするという流れです。
付託されたすべての議案の質疑が終わると、一括して討論、採決を行い、委員会としての結果を報告書として議長に提出します。
討論では6人の議員が発言し、反対した議員4人はみな「平成27年度に支払われるべきであった託児委託料が年度をまたいで会計処理されたこと」を理由にしていました。(賛成討論は正村ともう一人の議員の2人です)
問題となった託児委託料は、平成27年度3月分の委託料が年度をまたいで今年の6月分委託料に上乗せされ、団体から請求されたことから発覚しました。
その後、町は平成28年度の委託料に過年度分として会計処理を行い、団体に謝罪をして支払いをしました。不適切な会計処理が組織的に行われたものではなかったことから関係した職員と上司を厳重注意としました。
地方自治体の会計年度は、4月1日から翌年3月31日で、出納閉鎖(一切の現金経理を閉鎖すること)は翌年度の5月31日を期日としています。出納閉鎖後の収入は現年度の歳出としなければなりません。
つまり、年度をまたいだ委託料は平成27年度決算に含まれていないのです。
くどいようですが、年度をまたいだ会計処理については、地方自治法に則り対応しています。以下に関係する地方自治法を記載しますのでご確認ください。
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◎地方自治法第208条
普通地方公共団体の会計年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わるものとする。
各会計年度における歳出は、その年度の歳入をもつて、これに充てなければならない。
◎地方自治法第210条
一会計年度における一切の収入及び支出は、すべてこれを歳入歳出予算に編入しなければならない。
◎第235条の5 普通地方公共団体の出納は、翌年度の五月三十一日をもつて閉鎖する。
◎地方自治法第243の5
歳入及び歳出の会計年度所属区分、予算及び決算の調製の様式、過年度収入及び過年度支出並びに翌年度歳入の繰上充用その他財務に関し必要な事項は、この法律に定めるもののほか、政令でこれを定める。
◎地方自治法令第160条
出納閉鎖後の収入は、これを現年度の歳入としなければならない。前条の規定による戻入金で出納閉鎖後に係るものについても、また同様とする。
◎ 地方自治法令第165条の8
出納閉鎖後の支出は、これを現年度の歳出としなければならない。前条の規定による戻出金で出納閉鎖後に係るものについても、また同様とする。
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決算審査をおこなった特別委員会では、平成27年度決算書に含まれていない託児委託料について質疑がありましたが、委員長はこれを許しました。なぜなら議題の説明を求めた際に、町から年度をまたいだ会計処理の経過説明、その後の対応、そして謝罪があったためです。本来なら議題外の質疑は許可しないところでありますが、委員長の寛容な計らいにより託児委託料についての質疑はすべて許可され、挙手した議員は質疑を行なうことができました。
議員の質疑に対し執行機関は、反省すべきことは反省し、緊張感を持って今後の町政に取り組んでいきたいと述べた上で、それぞれの質疑には真摯な答弁をしていました。ここまで問題とするような町の落ち度はありませんでした。
にもかかわらず、不認定?…
謝罪があり、今後の対応がありましたが、反対したということはそれでもなお不足だという意思を示したもの。
町民がわかりずらいと感じた理由には、反対した議員がなにを求めていたのかがみえないという声が存在したと思います。
議会と執行機関との溝は深い、という意見も。
本来議会がやるべきことがどこかに追いやられ、目の前にあらわれたことに飛びついていないか、
議題外を理由に表決をすることが適切なのか、考えるべきではないのか、
議会としてひとつの結論を導いた責任を考えつつ、モヤモヤした思いが浮かんできます。
決算が不認定になったからといって、なんら法的な拘束力はありません。
しかし「こんなことになるとは思わなかった」で済ませられるほど議決は軽くない。
執行機関と対立することや提案議案を通さないことが議会改革ではないし、まして政局をつくりだすことでもない。
執行機関との政策論争という本来の議会改革とは大きくズレている今の議会のあり方は、
外部から評価されている議会改革と程遠いと感じる。
町民の声を議会に反映させる、とは言うけれど、このままでは町民との距離は大きくなるばかりだ。
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◎ 地方自治法第96条
普通地方公共団体の議会は、次に掲げる事件を議決しなければならない。
1 条例を設け又は改廃すること。
2 予算を定めること。
3 決算を認定すること。
4 法律又はこれに基づく政令に規定するものを除くほか、地方税の賦課徴収又は分担金、使用料、加入金若しくは手数料の徴収に関すること。
5 その種類及び金額について政令で定める基準に従い条例で定める契約を締結すること。
6 条例で定める場合を除くほか、財産を交換し、出資の目的とし、若しくは支払手段として使用し、又は適正な対価なくしてこれを譲渡し、若しくは貸し付けること。
7 不動産を信託すること。
8 前二号に定めるものを除くほか、その種類及び金額について政令で定める基準に従い条例で定める財産の取得又は処分をすること。
9 負担付きの寄附又は贈与を受けること。
10 法律若しくはこれに基づく政令又は条例に特別の定めがある場合を除くほか、権利を放棄すること。
11 条例で定める重要な公の施設につき条例で定める長期かつ独占的な利用をさせること。
12 普通地方公共団体がその当事者である審査請求その他の不服申立て、訴えの提起(普通地方公共団体の行政庁の処分又は裁決(行政事件訴訟法第三条第2項 に規定する処分又は同条第三項 に規定する裁決をいう。以下この号、第105条の2、第192条及び第199条の3第3項において同じ。)に係る同法第11条第1項 (同法第38条第1項 (同法第43条第2項 において準用する場合を含む。)又は同法第43条第1項 において準用する場合を含む。)の規定による普通地方公共団体を被告とする訴訟(以下この号、第105条の2、第190条及び第195条の3第3項において「普通地方公共団体を被告とする訴訟」という。)に係るものを除く。)、和解(普通地方公共団体の行政庁の処分又は裁決に係る普通地方公共団体を被告とする訴訟に係るものを除く。)、あつせん、調停及び仲裁に関すること。
13 法律上その義務に属する損害賠償の額を定めること。
14 普通地方公共団体の区域内の公共的団体等の活動の総合調整に関すること。
15 その他法律又はこれに基づく政令(これらに基づく条例を含む。)により議会の権限に属する事項
○2 前項に定めるものを除くほか、普通地方公共団体は、条例で普通地方公共団体に関する事件(法定受託事務に係るものにあつては、国の安全に関することその他の事由により議会の議決すべきものとすることが適当でないものとして政令で定めるものを除く。)につき議会の議決すべきものを定めることができる。
今思うことを書いてみましたので、ご興味がありましたらご覧くださいませ。
少し長いですが、おつきあいください。
「また不認定なの!?」
「不認定の理由はなに?」
議会が平成27年度決算不認定としたあとに、聞いた町民の声です。「災害復旧対応をまずは優先してほしい、そのために議会も町も協力すべきなのになにをしているのか」という町民の方もいました。
平成27年度決算審査については、モヤモヤした思いを消化できずにいました。今一度振り返って自分の考えを整理しておくことが次につながると思いましたので、ここに書き留めておきます。
議案の審議は質疑、討論、採決という順に行われます。平成27年度決算審査は、本会議で予算決算特別委員会に付託され、議長を除く全議員が参加して質疑を行いました。審査は各会計ごとに、決算書および成果の説明書をもとに担当課長が説明を受け、質疑をするという流れです。
付託されたすべての議案の質疑が終わると、一括して討論、採決を行い、委員会としての結果を報告書として議長に提出します。
討論では6人の議員が発言し、反対した議員4人はみな「平成27年度に支払われるべきであった託児委託料が年度をまたいで会計処理されたこと」を理由にしていました。(賛成討論は正村ともう一人の議員の2人です)
問題となった託児委託料は、平成27年度3月分の委託料が年度をまたいで今年の6月分委託料に上乗せされ、団体から請求されたことから発覚しました。
その後、町は平成28年度の委託料に過年度分として会計処理を行い、団体に謝罪をして支払いをしました。不適切な会計処理が組織的に行われたものではなかったことから関係した職員と上司を厳重注意としました。
地方自治体の会計年度は、4月1日から翌年3月31日で、出納閉鎖(一切の現金経理を閉鎖すること)は翌年度の5月31日を期日としています。出納閉鎖後の収入は現年度の歳出としなければなりません。
つまり、年度をまたいだ委託料は平成27年度決算に含まれていないのです。
くどいようですが、年度をまたいだ会計処理については、地方自治法に則り対応しています。以下に関係する地方自治法を記載しますのでご確認ください。
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◎地方自治法第208条
普通地方公共団体の会計年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わるものとする。
各会計年度における歳出は、その年度の歳入をもつて、これに充てなければならない。
◎地方自治法第210条
一会計年度における一切の収入及び支出は、すべてこれを歳入歳出予算に編入しなければならない。
◎第235条の5 普通地方公共団体の出納は、翌年度の五月三十一日をもつて閉鎖する。
◎地方自治法第243の5
歳入及び歳出の会計年度所属区分、予算及び決算の調製の様式、過年度収入及び過年度支出並びに翌年度歳入の繰上充用その他財務に関し必要な事項は、この法律に定めるもののほか、政令でこれを定める。
◎地方自治法令第160条
出納閉鎖後の収入は、これを現年度の歳入としなければならない。前条の規定による戻入金で出納閉鎖後に係るものについても、また同様とする。
◎ 地方自治法令第165条の8
出納閉鎖後の支出は、これを現年度の歳出としなければならない。前条の規定による戻出金で出納閉鎖後に係るものについても、また同様とする。
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決算審査をおこなった特別委員会では、平成27年度決算書に含まれていない託児委託料について質疑がありましたが、委員長はこれを許しました。なぜなら議題の説明を求めた際に、町から年度をまたいだ会計処理の経過説明、その後の対応、そして謝罪があったためです。本来なら議題外の質疑は許可しないところでありますが、委員長の寛容な計らいにより託児委託料についての質疑はすべて許可され、挙手した議員は質疑を行なうことができました。
議員の質疑に対し執行機関は、反省すべきことは反省し、緊張感を持って今後の町政に取り組んでいきたいと述べた上で、それぞれの質疑には真摯な答弁をしていました。ここまで問題とするような町の落ち度はありませんでした。
にもかかわらず、不認定?…
謝罪があり、今後の対応がありましたが、反対したということはそれでもなお不足だという意思を示したもの。
町民がわかりずらいと感じた理由には、反対した議員がなにを求めていたのかがみえないという声が存在したと思います。
議会と執行機関との溝は深い、という意見も。
本来議会がやるべきことがどこかに追いやられ、目の前にあらわれたことに飛びついていないか、
議題外を理由に表決をすることが適切なのか、考えるべきではないのか、
議会としてひとつの結論を導いた責任を考えつつ、モヤモヤした思いが浮かんできます。
決算が不認定になったからといって、なんら法的な拘束力はありません。
しかし「こんなことになるとは思わなかった」で済ませられるほど議決は軽くない。
執行機関と対立することや提案議案を通さないことが議会改革ではないし、まして政局をつくりだすことでもない。
執行機関との政策論争という本来の議会改革とは大きくズレている今の議会のあり方は、
外部から評価されている議会改革と程遠いと感じる。
町民の声を議会に反映させる、とは言うけれど、このままでは町民との距離は大きくなるばかりだ。
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◎ 地方自治法第96条
普通地方公共団体の議会は、次に掲げる事件を議決しなければならない。
1 条例を設け又は改廃すること。
2 予算を定めること。
3 決算を認定すること。
4 法律又はこれに基づく政令に規定するものを除くほか、地方税の賦課徴収又は分担金、使用料、加入金若しくは手数料の徴収に関すること。
5 その種類及び金額について政令で定める基準に従い条例で定める契約を締結すること。
6 条例で定める場合を除くほか、財産を交換し、出資の目的とし、若しくは支払手段として使用し、又は適正な対価なくしてこれを譲渡し、若しくは貸し付けること。
7 不動産を信託すること。
8 前二号に定めるものを除くほか、その種類及び金額について政令で定める基準に従い条例で定める財産の取得又は処分をすること。
9 負担付きの寄附又は贈与を受けること。
10 法律若しくはこれに基づく政令又は条例に特別の定めがある場合を除くほか、権利を放棄すること。
11 条例で定める重要な公の施設につき条例で定める長期かつ独占的な利用をさせること。
12 普通地方公共団体がその当事者である審査請求その他の不服申立て、訴えの提起(普通地方公共団体の行政庁の処分又は裁決(行政事件訴訟法第三条第2項 に規定する処分又は同条第三項 に規定する裁決をいう。以下この号、第105条の2、第192条及び第199条の3第3項において同じ。)に係る同法第11条第1項 (同法第38条第1項 (同法第43条第2項 において準用する場合を含む。)又は同法第43条第1項 において準用する場合を含む。)の規定による普通地方公共団体を被告とする訴訟(以下この号、第105条の2、第190条及び第195条の3第3項において「普通地方公共団体を被告とする訴訟」という。)に係るものを除く。)、和解(普通地方公共団体の行政庁の処分又は裁決に係る普通地方公共団体を被告とする訴訟に係るものを除く。)、あつせん、調停及び仲裁に関すること。
13 法律上その義務に属する損害賠償の額を定めること。
14 普通地方公共団体の区域内の公共的団体等の活動の総合調整に関すること。
15 その他法律又はこれに基づく政令(これらに基づく条例を含む。)により議会の権限に属する事項
○2 前項に定めるものを除くほか、普通地方公共団体は、条例で普通地方公共団体に関する事件(法定受託事務に係るものにあつては、国の安全に関することその他の事由により議会の議決すべきものとすることが適当でないものとして政令で定めるものを除く。)につき議会の議決すべきものを定めることができる。