コアオアシシギ(Tringa stagnatilis) Marsh Sandpiper
アメリカコハクチョウを見た後、私達は農耕地へ向かった。
香しき芳香漂う牛舎の近くには、おびただしい数の牛舎好きのムクドリが群れで採餌していて、その中に3羽のホシムクドリが混ざっていた。まるで冬の空いっぱいに散りばめた天体を纏ったかのような美しい羽衣をした冬羽のホシムクドリは、ムクドリの大群の中でわき目も振らずに採餌していて、少しもこちらを見てくれなかった。そのうち思い立ったように群れは飛び立ち、電線に少しとまった後、今度は鳥の体が全て隠れてしまうほどの草丈の休耕地に吸い込まれていった。
この辺りには広大な芦原が多いせいか、なんてことはない農耕地にもチュウヒが凄く多くて、何か猛禽が飛んでいると思えば、その殆どが翼をV字に傾けて飛んでいる。
蓮田には4羽のタシギが眠そうに休んでいた。また泥水にしか思えない蓮田の浅くなった場所の水では、無限供給されるムクドリが交代で水浴びを楽しんでいた。
エリマキシギ(Philomachus pugnax) Ruff
別の蓮田にはオオハシシギが大勢で休んでいて、皆入念に羽繕いをしている。その群れの中心に、2羽のエリマキシギが混ざっていた。
ヨーロッパトウネン(Calidris minuta) Little Stint
また別の蓮田では、田に入って農作業をしている人がいた。けれど、ここのシギ達はそんなことは慣れっこな様子で、鳴きながら飛び立ってもまた同じ田に舞い戻ってくる。よほど蓮田がお気に入りな様子。
蓮田の最奥部、タカブシギがちらほら歩く区画で、尾を斜め上に向けて採餌する小さなヨロネンが2羽いた。この2羽はひとしきり餌を探した後、蓮田の仕切りに上がって休みの体勢をとり始めた。しめしめ、これで採餌していた時には見えなかった脚の長さがわかる。
辺りが薄暗くなり、そろそろ引き上げようと歩き出した時。アカウキクサ属の水生シダが水面に繁茂して、まるで上品な赤色の絨毯が敷き詰められたような舞台を、スタスタとテンポよく3羽で採餌する細く美しいコアオアシシギに出遭った。コアオアシシギ達は餌探しに夢中なためかすぐ近くまで歩いてきて、そのうちの1羽がふとこちらに目線をよこした。
【2010/12/21/千葉 Chiba,Japan】
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