オオマシコ(Carpodacus roseus) Pallas's Rosefinch
朝一番、誰も居ない静かな林道。
1月の、しかもこれほどの山に分け入ったなら、日中でも日陰になる斜面にはまだ所々雪が残っていて、吐息までもが凍りつきそうなほどに寒い。林道の入り口ではジョウビタキの雄が「ヒッ、ヒッ」と鳴いて、林の奥へと私達をいざなってくれたおかげで早速楽しい気持ちになった。
そして私達はまださほども歩かないうちに、林道沿いの地面でカサコソ動く小鳥の群れに出逢うことになった。その小鳥達を双眼鏡で捉えるなり、この日の目標はすぐに達せられた。
色の無い冬朝の地面に際立つ上品な撫子色の全身、それに顔の一部にまるで雪が積もっているかのような銀白色の羽が入り、その美しさを完成させていた・・・オオマシコの雄成鳥だ!
私達が凍った地面に座り込んで観察していると、群れは餌を探しながらこちらの方に近づいてきて、やがて私達はオオマシコ達に取り囲まれてしまった。彼らは枯葉や雪の乗った苔の中に埋もれた種子を探し出すのに夢中で、わき目も振らずといった感じだ。
この時三脚に触れた手は凍りそうに冷たかったけれど、私の心は一気に温まっていた。
【2011/01/22/山梨 Yamanashi,Japan/Jan.2011】
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