ニホンヤモリ(Gekko japonicus) Japanese gecko
ニホンヤモリは身を隠すのが割りと上手で、姿を目にする機会はそう多くなかった。
秋に、アパートの駐輪場に灯る光へ集まってきていた個体も、私が写真を撮らせてもらおうと忍び寄るとすぐにアイビーの茂みへと姿を隠してしまったのだった。
ところが、ヤモリの探し方を聞いてからというもの、これが面白いように見つかるようになった。
例えば私が研究室から構内にある購買へお茶を買いに行く時。100m足らずのこの往復の間に、ヤモリを2個体は見つけられるようになったのだ。
4人くらいで購買へ向かう時には、ヤモリのいそうなポイントの前で立ち止まってジャンケンをする。
そして、このジャンケンで負けた人は「ヤモリチェック」をする。
見事当たればニホンヤモリが居て大はしゃぎ。何も居なければ残念。そしてハズレは、集団越冬するクサギカメムシの成虫達か、ヨコヅナサシガメの5齢幼虫達。
メカ的な怪しさのあるヨコズナサシガメに至っては、全個体が半分シンクロしながら奇妙なウェーブをしているものだから、ハズレ感が満載である。
一見地味なニホンヤモリ。けれど、例えばカメラのレンズを通して見ると、これが中々どうして格好いい。虹彩はカジカガエルのそれのように巧妙な岩肌模様。ツブツブな質感の顆粒状鱗は大小様々で、形も丸いものから多角形なものまで色々ある。そして、ラブカの項でも述べたけれど、ヤモリもまた口角付近が上に「ニッ」と上がっていい顔をしている。
私が少しヤモリから目を離すと、一瞬どこにいったか分からなくなった。実はヤモリ自体は少しも動いてなかったのだけれど、この体色が高度な保護色になって私の目を数秒欺いたのだった。さすが、隠れ身の達人だ。
【2011/11/12/神奈川 Kanagawa,Japan/Nov.2011】
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