山野草はオフシーズンなので、暇つぶしに2022年を回顧してみました
昨年撮影した、環境省の定める絶滅危惧種のⅠA類(CR)およびⅠB類(EN)の植物から選出してみました
種名に関しては、検索防止の為漢字表記としています
2022年回顧録 その16(2023年2月16日)
学名:Odontochilus hatusimanus Ohwi et T.Koyama
和名:初島蘭
ラン科 イナバラン属
環境省絶滅危惧ⅠA類
撮影 2022年7月
一時環境省のレッドリストで絶滅とされていたが、1999年大隅半島で行われた調査で再発見された
論文には、分布は鹿児島県と大分県となっているが、レッドリストを見ると、福岡県にも分布している
ネットの情報をもとに探しに行ったら、幸いにも開花株を見つける事ができたのだ
初島蘭の花を逆さまにしてみると、バルタン星人に見えてきた
バルタン星人は、母星を狂った科学者の核実験で破壊され、宇宙を放浪していたところ、立ち寄った地球を気に入り侵略を開始したのだった
バルタン星人は、身体をバクテリア程のサイズに縮小させたり、1万メートル先の小さな物を視認できたり、マッハ5で飛行できたりと、とんでもない能力を有している
そして、驚く事に瞬間移動をも体得しており、それはまるで分身の術のようだというのだ
ちなみに、ウルトラマン自身もテレポーテーションと称する瞬間移動を行う事ができるが、自身の身に危険が及ぶもので多用する事はできない
瞬間移動などというのは、SF映画の中のものだと思っているかもしれないが、人類はすでに瞬間移動を実現しているのである
これは、私の空想物語などではなく、現実の話なので誤解がないように
量子力学の実験によると、もつれ状態にある量子を利用して、原子レベルのものを瞬間移動させる事ができるというのだ
これは、量子テレポーテーションと言われ、実際には移動しているのではなく、転送元の原子が壊れ、転送先で再生成されるというものだ
でも、結果的には移動しているのと同様だという事ではないか
今のところ原子レベルの事だが、物質は原子で構成されているのだから、研究が進めば人間だって瞬間移動できるのかもしれない
もっとも、肉体は移動できても、意識、精神、記憶がもとのままなのかという問題はあるのだろう
しかし、それらは結局神経細胞のつながり方じゃないかと私は思っているので、それを含めて再構成する事ができれば、意識等も含めて転送できるのではないのか?
それにしても量子テレポーテーションを含め量子の挙動、働きというのは、とても不思議で現実の出来事だとは思えない
やはり、この宇宙は、だれかが創造した仮想現実の世界ではないかと思えてくるのである
ちなみに、量子は人が見ている時は、粒子であるが、見ていないときは実態のないものであるという不思議な話は、量子だけの現象ではなく、この宇宙の全てのものがそうであるとの主張もある
つまり、人が見ている場面だけ映像化(実体化)し、そうでないものは、シュミレーション装置の負荷を減らす為映像化(実体化)しないという事ではないのか?
我々が楽しんでいるコンピューターゲームでも、演算装置の負荷を減らす為、同様な事を行っているのだ
こんな動画を見てみるのも面白いでしょう
画像アップロード 2023年02月16日
2022年回顧録 その15(2023年2月12日)
学名:Empusa odorata (Willd.) T.C.Hsu
和名:笹葉蘭
ラン科 クモキリソウ属
環境省絶滅危惧ⅠB類
撮影 2022年7月
長崎県ではお馴染みの植物という感じで、昔は多くの草地で見る事ができたが、徐々に姿を消していった
この笹葉蘭は、熊本県で撮影したもので、当県のレッドリストでは最高ランクのCRとなっている
CRとは、Critically Endangeredの略で、ごく近い将来における野生での絶滅の危険性が極めて高いものなのである
もちろん環境省でもENに指定しており、全国的に絶滅が危惧される植物なのである
花はコクランに似ていて、側花弁が線形で下方に伸びるのが特徴的
花を見ていると、潜水艇に見えてきた
深海調査に向かったネコ船長は、水深3000mの海底で水中都市を発見したのだ!
思わず、潜水艇から出てしまったのだが、そこは1㎠あたり300Kgの水圧がのしかかる深海
潜水服の耐圧を大幅に超え、中の圧力は人間が耐えられるものではなくなっている
しかし、ネコ船長は巨大惑星からやって来た異星人
その惑星の大気圧は非常に高く、圧力に順応した肉体を得ているのだ
惑星の大気圧は、その大きさや大気の組成により異なり、お隣の金星では90気圧に達するのだそうだ
海底都市を建設するなんて、非現実的だと考えるのが普通だが、清水建設が打ち出した深海未来都市構想「オーシャンスパイラル」なんてものがある
海面近くに建設される、直径500mの球体の居住区には5000人を収容可能
そこから、スパイラル構造物が3000〜4000mの海底まで延び、直径1000mほどのアースファクトリーまで深海ゴンドラが行き交う計画となっているそうだ
深海のアースファクトリーでは、海底に生息するメタン生成菌を利用してCO2から天然バイオガスを生み出すというのだ
自然のなりゆきでは5万年かかるメタンの生成を、人工的に5時間で行う事ができるとの目論見
夢のような計画だが、2030年には実現可能なんて言っている
図中に挿入した海底都市は、上海の外灘で撮影した夜景
知っている方も多いと思うが、夜景の名所として夜も観光客が多く訪れる場所である
仕事名目で日本から遊びに来た社員や関連会社の面々をよくアテンドで連れてきたものだ
彼らの旅費はもちろん会社の経費で、アテンドする我々の方は自腹を切る事も多い
なんともばかばかしい仕事?であったのだ
画像アップロード 2023年02月12日
2022年回顧録 その14(2023年2月09日)
学名:Herminium angustifolium (Lindl.) Benth. et Hook.f.
和名:零余子草
ラン科 ムカゴソウ属
環境省絶滅危惧ⅠB類
撮影 2022年7月
長崎県では、私が度々訪れる草原に自生しているという話だったのに、私の前には現れなかった
樫原湿原でも探したが見つからず、私だけおいてけぼりになったような気分だった
大分県や熊本県では見る事ができたのだが、なんだか納得できない
草に紛れて生えていると、目立たず見逃してしまいそう
花は緑で派手さがなく、小さくて距がない妙な形
ランとは言え、全くもって人に好かれる要素はないのだが、珍しいものなので、必死に探し回る人もいる
零余子草やニラバランのように、渋い花を咲かせる奴が好みなんて言う人もいたが、自分としてはもう少しキモさがある方が良いな
花はまるでおばけや妖怪といった感じなので、化け猫やいったんもめんをあしらってみた
モヤの立ち込める月夜の墓場では、妖怪の集会が開かれていた
誰が一番人間を怖がらせる事ができるのかと、自慢話に花が咲くのであった(-_-)
妖怪の実在を信じる人は少ないと思われるが、神や霊の存在を信じる人は結構多いのではないだろうか?
前回述べたように、この宇宙が仮想現実だとしたら、それを造った(プログラミングした)者はまさに創造神である
そして、霊というのはプログラムのバク的なもので、仮想現実の証明につながるものかもしれない
大多数の人間は仮想現実など馬鹿馬鹿しい妄想だと笑うだろうが、科学者や有識者の中にはそれをまじめに論じる者がいる
かのイーロンマスクは、私達の世界が現実である可能性はほとんどないと語っているし、ホーキング博士も仮想現実世界の可能性に言及している
そして最近では、東京大学が発表した、この宇宙は量子もつれを利用し、2次元に記録された情報が3次元に投影されたホログラムのようなものだという発表が話題となっている
もうなにがなんだかわけがわからない
前回述べた量子の不可思議が挙動や、ホログラフィー原理については、元量子力学の研究者の方のこの動画を見ると参考になりますので、興味のある方はどうぞ
さて、あなたは自分が高度な文明によりプログラミングされた実態のないものである事を信じるだろうか?
画像アップロード 2023年02月09日
2022年回顧録 その13(2023年2月07日)
学名:Euphorbia pekinensis Rupr. subsp. asoensis T.Kuros. et H.Ohashi
和名:阿蘇大戟
トウダイグサ科 トウダイグサ属
環境省絶滅危惧ⅠB類
撮影 2022年7月
阿蘇大戟の子房の形は、宇宙文明を持つ種族のなにかしらの装置のようなものを想像させる
レベル3の銀河文明に達したニャンコ星人のエネルギー転送装置
ダイソン球で恒星から集めたエネルギーを母星に転送する装置なのだが、調子が悪い
ネコ船長の必死の修復作業も難航し、目を丸くしてお手上げ状態なのだった
ちなみに現在の人類は、レベル1の惑星文明にも達しておらず、レベル0.7程度だと言われている
人類がレベル1に達するには、数百年を要するとされており、宇宙に存在する文明の中では、非常に遅れたものなのだ
レベル1の文明が消費するエネルギーは、主に核融合により得ており、現在人類が得ているエネルギーの10000倍に達している
ニャンコ星人のレベル3は、所属する銀河全体の恒星からエネルギーを得ており、恒星を取り囲むダイソン球がその役割を担っている
ワームホールを用いて銀河全域に移動する事ができ、移住先の惑星の環境に適応できるよう、自己の遺伝子を編集したり、身体の一部を機械化していたりもする
ニャンコ星人の一部は、ある惑星の環境に適応できるよう遺伝子を操作した結果、ネコのような外見に変化してしまったのだ
一般の人類は、この宇宙が実在する事に何の疑問も持っていないだろうが、一部の人は量子の不可思議な挙動を例に挙げ、この世界は仮想現実だと主張している
信じられないだろうが、人類が存在するこの宇宙は、レベル3文明のニャンコ星人が作ったシュミレーションの中の存在で、実在している訳ではないのだ
ニャンコ星人は、まるでゲームでもしているような感覚で、人類の一挙手一投足を楽しんでいる
ニャンコ星人は、創造主にでもなったように自分達の高度な文明を誇らしく思っていたのだが、ある時自分達は、レベル4文明が造った仮想現実の中の存在だと気づき愕然としたのだ
そのレベル4もその上の高度な文明のシュミレーションの中の存在で、そのまた上にも創造主がいる
結局、すべては最上位のレベル7の文明が創造したシュミレーションの世界の中の存在で、実体のないものであったのだ
レベル7の文明は、この宇宙を含む多元宇宙ばかりか、高次元の世界をも創造する事ができるもので、全ての創造主であったのだ
かれらは肉体を持たず、意識だけの存在で、我々がその存在や力を想像する事などできないものなのだ
以上述べた事は、あながち空想の物語ではないのである
興味のある方は、ご自分でいろいろと調べてみると良いでしょう
特に量子の二重スリット実験や量子もつれは、現実の世界のものとは思えない現象なのである
こんな記事を読んでみるのもよいのではないでしょうか?
画像アップロード 2023年02月07日
2022年回顧録 その12(2023年2月05日)
学名:Scutellaria shikokiana Makino var. pubicaulis (Ohwi) Kitam.
和名:毛深山波来
シソ科 タツナミソウ属
環境省絶滅危惧ⅠB類
撮影 2022年7月
大分県に移住する前から自生地は把握していたが、移住後多くの自生地を発見した
長崎県では登山の際、時々ミヤマナミキを見つけていたが、大分県では毛深山波来ばかりで普通のミヤマナミキは一度も見つけていない
不審に思い、大分県のレッドリストを閲覧してみると、なんと絶滅危惧ⅠB類なのだった
しかし大分県絶滅危惧ⅠA類の毛深山波来を見つける事ができたのに、ⅠB類のミヤマナミキが見つからないのはくやしい
今年は是非とも大分県でミヤマナミキをみつけたいものだ
毛深山波来はミヤマナミキと比較して毛が多いだけではなく、節間が短い事で草丈が低く見え、また葉身の形態や鋸歯の様子も異なっているように思える
私にはミヤマナミキの変種というより、系統樹上ではもう少し離れた近縁種のように思える
毛深山波来の名の由来は、波打ち際に生息するナミキソウに似ている事
深山に住んでいる毛深山波来君は、己の名の由来である海に初めてやってきました
波打ち際で感慨にふけっていると、どざえもんが流れてきてビックリ仰天
慌てふためいて、大騒ぎしているのであります
画像アップロード 2023年02月05日
2022年回顧録 その11(2023年2月03日)
学名:Lilium concolor Salisb. var. partheneion (Siebold et de Vriese) Baker
和名:姫百合
ユリ科 ユリ属
環境省絶滅危惧ⅠB類
撮影 2022年6月
姫百合は長崎県には分布せず、大分県に移住して初めて観察できたのだが、想像より小さくて可愛らしい花だった
長崎県が一大産地となっている野姫百合には黄花が存在するが、姫百合にも黄姫百合があって、極稀に野生のものが見つかるという
黄花野姫百合がレッドデータに記載されているのに対して、黄姫百合はformaなのでリスト外
しかし、その希少性は、黄花野姫百合よりも高いのではないかと思っている
話は変わるが、分類における節という概念は古い分類体系のものだと思っていたが、DNA解析により、姫百合がエゾスカシユリ、オウゴンオニユリ、コオニユリ、スカシユリ、野姫百合と共にスカシユリ節にまとまったとの論文を見て、認識を改めた
新しいAPG分類の時代においても、節という概念は残っていたのだ
そういえば、スミレの分子系統樹を拝見した時も節にまで細分されていて、ツクシスミレとマルバスミレ、コミヤマスミレがツクシスミレ節にまとまっていたのは印象的だった
調べてみると、節という分類は古くリンネが提唱したものだが、国際藻類・菌類・植物命名規約によると、現在でも属と種の間に、節と列のクレードが設けられている
まぁ~ 素人がそんな細かいところにまで興味を持ってもしかたないのだが、勉強になりました
姫百合という名を聞くと、姫百合の塔が思い浮かぶ
沖縄観光の際、立ち寄った事があるが、実物は塔というような代物ではなかった
姫百合の塔の由来は、沖縄の学校の愛称であり、実際姫百合という植物は沖縄に自生していない
塔と言えば、上海暮らしが長かった私は東方明珠塔が馴染深い
高さ468mで当時は大変高いものだと思っていたが、今では近くに上海中心(632m)等の高層ビルが林立し、立場がない
イラストは、東方明珠塔の上から姫百合のように可愛い雌猫を発見して、パラシュート降下するストーカー猫でした
画像アップロード 2023年02月03日
2022年回顧録 その10(2023年1月30日)
学名:Platanthera brevicalcarata Hayata subsp. yakumontana (Masam.) Masam.
和名:筑紫千鳥
ラン科 ツレサギソウ属
環境省絶滅危惧ⅠB類
撮影 2022年6月
雨交じりの強風が吹き荒れるくじゅうの自生地にて撮影
手持ちの図鑑には、筑紫千鳥や新高千鳥は記載されておらず、論文も見当たらない
筑紫千鳥は、台湾の新高山で発見された新高千鳥の亜種とされたが、結局同種扱いとなった
Ylistでは、Platanthera brevicalcarata Hayata subsp. yakumontana (Masam.) Masam. と記載され、やはり新高千鳥の亜種とされているが、Platanthera brevicalcarata Hayata が広義の新高千鳥と表記されているので、筑紫千鳥も含めるものと解釈した
新高山といえば、標高3,952mの台湾最高峰の山で、ニイタカヤマノボレという真珠湾攻撃を指示する暗号文にちなんだ山である
台湾が日本の統治下だった時代には、富士山を抜き日本の最高峰であったのだ
太平洋戦争の開戦を意味するこの電信は、私の故郷である佐世保の針尾無線塔で中継された
針尾島に残る3本の無線塔は、高さ136mで今でもその異様な姿を見る事ができる
今では、観光地となり近くで見学する事ができ、私は塔の内部まで入らせてもらった事がある
飛び交う千鳥の群れを捕食しようと、猛禽類やネコ科の肉食獣が虎視眈々と狙っています
図中のハヤブサは、初めて清水畑登攀に挑戦した際、清水畑の前衛峰で撮影したものです
清水畑本峰の登攀ルートがわからず撤退した苦い思い出がよみがえってきます
ハヤブサは環境省のレッドリストを確認すると、絶滅危惧Ⅱ類となっていて、種の保存法では国内希少野生動植物種に指定されている
鳥には詳しくないのでよくわからないが、ハヤブサは珍しいものなんだね
ネコの方は、故高倉健最後の主演映画の撮影地、平戸市薄香の路地で出逢った奴
目つきが悪く可愛げのない奴だったが、存在感は抜群だった
画像アップロード 2023年01月30日
2022年回顧録 その9(2023年1月28日)
学名:Hemipilia gracilis (Blume) Y.Tang, H.Peng et T.Yukawa
和名:雛蘭
ラン科 ヒナラン属
環境省絶滅危惧ⅠB類
撮影 2022年6月
長崎県や佐賀県では毎年自生地訪問を楽しみにしていたが、大分県でも2か所で出会いがあった
岩場の藪漕ぎが大好きな私は、とある山系の崖を登っている最中偶然見つけたものだ
それともう一か所は、意外にも人が多く訪れる場所で、人の目があるので盗られずに残ったのだろうか
撮影した画像を拡大してみると可愛らしい花姿を確認できるが、自生地で実際目視する限りでは小さすぎて良く見えない
この小さくて可愛らしい花が雛蘭という名の由来であるようだ
雛蘭の小さな花をひな人形の着物に見立ててみました
こうしてみると、実に違和感のない仕上がりに見えませんか?
雛人形の顔がネコちゃんなのはご愛敬
背景の桜は、長崎県佐々町の佐々川沿いに設けられた、桜づつみ遊歩道に植えられた河津桜
3月上旬~中旬にかけて、花見に多くの方が訪れます
ひな人形には桜の花を添えて飾りますが、桜には魔除け、邪気払いの力があると考えられ、子の健やかな成長を願ったものだそうです
画像アップロード 2023年01月28日
2022年回顧録 その8(2023年1月26日)
学名:Lecanorchis virella T.Hashim.
和名:緑無葉蘭
ラン科 ムヨウラン属
環境省絶滅危惧ⅠA類
撮影 2022年5月
宮崎県には、自生地が点在しており、大分県境の延岡市でも2か所で標本が採取されているようだ
論文によると特徴は、花が平開せず、萼片と側花弁上部が外側に強く湾曲、唇弁が横長の方形で縁が内曲し、唇弁上部に黄色毛を有するとの事
九州に自生するムヨウラン属の中では、素人目にはウスギムヨウランの形態に近いように思えるので比較してみる
ウスギムヨウランの唇弁の毛の先端は赤紫色なのに対して緑無葉蘭は黄色一色、またウスギムヨウランの花茎は茶褐色だが、緑無葉蘭は黒緑色
論文に記されているように、ウスギムヨウランと比べると、萼片と側花弁先端が外側に反り返っている
観察地では、緑無葉蘭としての特徴が弱い個体が多く見られ、ウスギムヨウランとの交雑が発生しているのではないかと推測した
といっても、ムヨウラン属は自殖がほとんどなので、交雑が発生する確率は大変低いのである
怪獣のような緑無葉蘭の花を見ていると、炎に包まれ現れるキングギドラが脳裏をよぎった
キングギドラの頭は3つなのだが、この緑無葉蘭は2つだけでちょっと迫力に欠けるかな?
下段の画像はヤマタノオロチにも見えてくる
キングギドラの出現に、目を丸くして固まってしまう化け猫君なのだった
画像アップロード 2023年01月26日
2022年回顧録 その7(2023年1月24日)
学名:Sedum drymarioides Hance
和名:毛万年草
ベンケイソウ科 マンネングサ属
環境省絶滅危惧ⅠA類
撮影 2022年5月
ちょっと早い自生地訪問であったが、開花している株も見られ安堵した
この植物に関しては、ほとんど自生地を訪れる事がなかったので、状況が良くわかっていないが、種の存続が危機的な状況となっているようだ
ベンケイソウ科によく見られるCAM植物なのだが、状況によりC3型光合成も行っている
また、アルカロイドを生産しており、医薬品等の資源として活用される可能性もあるとの事
国内では、長崎県の極限られた地域のみに自生し、以前知られていた場所から次々と姿を消している
自生地の環境や気候の変化により生長しずらい状況となっているのだろうか?
毛万年草は、かつて国外に分布するハコベマンネングサの変種で、固有種とされていたが、今では区別しないのが定説となっている
Sedum stellariifolium Franch.(ケマンネングサ)は、Sedum drymarioides Hance(ハコベマンネングサ)と同一という事です
絶滅へのカウントダウンはすでに始まっている(◎_◎;)
マリア様に見守られながら天に召されます アーメン
画像アップロード 2023年01月24日
2022年回顧録 その6(2023年1月20日)
学名:Indigofera kirilowii Maxim. ex Palib.
和名:朝鮮庭藤
マメ科 コマツナギ属
環境省絶滅危惧ⅠA類
撮影 2022年5月
朝鮮庭藤は、九州北部に分布するマメ科の木本で、ニワフジの変種のように思われるかもしれないが、学名を見るとそうではない
木本とは言っても、丈は非常に小さく、なよなよしていて一見草本に見える
最高クラスの絶滅危惧種なのだが、黒髪山系のルート開拓の際、結構頻繁に発見していたのだ
とは言っても簡単に到達できるような場所ではない
種の特徴に関しては、以前詳しく解説しているので、興味のある方はココを見てください
良く知られている朝鮮庭藤の自生地には、かつて雛蘭や黒髪蘭も自生していたのだが、すっかりなくなってしまった
イワヒバもろとも盗掘されたようで、悲惨な状況となっている
久しぶりに訪れた黒髪山系なので、屏風岩にでも登ってみたかったのだが、ギアを持ってこなかったので、あきらめた
黒髪山系は、岩場のスケールという点では国東に及ばないが、そこにある植物は非常に興味深く、何度訪れても飽き足らない
朝鮮庭藤と言えば、最近お騒がせしているあの国を連想してしまう
不謹慎ながら、あの国が打ちまくっている飛翔体をパロってみました
兵器ではなく、ネコちゃんも楽しめるアトラクションなんか造ってみたら、あの国の印象も変わるのですがね
画像アップロード 2023年01月20日
2022年回顧録 その5(2023年1月17日)
学名:Chionographis japonica Maxim. var. kurokamiana H.Hara
和名:黒髪白糸草
シュロソウ科 シライトソウ属
環境省絶滅危惧ⅠA類
撮影 2022年5月
これも種の保存法により、国内希少野生動植物種に指定されている植物
佐賀県の黒髪山系に固有で、もともと多く産するものではなかったのだが、盗掘によりさらに個体数の減少を招いたとの事
私は3か所の自生地を把握しているのだが、すべて既知の場所だった
黒髪山系では、多くの藪漕ぎルートを開拓してきたのだが、結局自力で自生地を発見するには至らなかった
この植物に関する論文は見つけられず、その特徴に関してよくわからないところであるが、手持ちの図鑑によると、シライトソウの変種で、糸状の花被片の先端が太くならないとの事だ
一見した印象では、シライトソウよりチャボシライトソウに似ており、以前この山系のものはチャボシライトソウとして認識されていたようだ
余談だが、普通のシライトソウは西日本に広く分布し、大分県では極普通に見られる植物なのだが、私の故郷の長崎県では最高ランクの絶滅危惧種に指定されている
以前、長崎県北部の自生地を教えてもらったのだが見つけられず、ついに長崎県では一度もシライトソウを見る事がなかったのだ
黒髪白糸草を盗掘から守るためニャンコ隊がパトロールしています
引き抜いて持ち去ろうものなら化け猫になって襲い掛かってくるかもしれませんよ
自生地は本当に化け猫でも出てきそうな不気味なところなのです
画像アップロード 2023年01月17日
2022年回顧録 その4(2023年1月15日)
学名:Asarum hexalobum F.Maek. var. controversum Hatus. et Yamahata
和名:志々伎寒葵
ウマノスズクサ科 カンアオイ属
環境省絶滅危惧ⅠA類
撮影 2022年5月
長崎県平戸島固有の希少なカンアオイの仲間
種名から志々伎山の固有種と思っている方も多いのではないかと思いますが、そうではありません
学名を見てみると、var. controversum となっており、controversusが疑わしいとの学名で使用されるので、疑問ある変種とでも訳すのだろうか
var. perfectumがキンチャクアオイ var. hexalobumがサンヨウアオイなので、これらは、広義のサンヨウアオイの変種関係だと解釈した
種の保存法により、国内希少野生動植物種に指定され、販売・頒布目的の陳列・広告、譲渡し、捕獲・採取、殺傷・損傷、輸出入等が原則として禁止されています
譲渡し等(販売を含む)には環境大臣の特別な許可が必要なのですが、園芸用として広く流通している
実生により増殖した個体という名目で、簡単に販売の許可がおりるようだ
こんな調子なので、盗掘したものが流通していたとしても、摘発される事などないのだろう
カンアオイの花は地中に埋もれている事で種子散布が貧弱で、分布拡大速度が1万年で1~10Km程度だと論文に記されている
よって、地域分化が著しく、志々伎寒葵のような地域固有種が多く誕生するのだと思われる
この希少なカンアオイの花の形や色合いを見ていると、う〇ちを連想してしまう
ネコ氏の頭にはなぜかう〇ちが!!
不思議な思いで凝視する親友のネズミ君なのだった
画像アップロード 2023年01月15日
2022年回顧録 その3(2023年1月13日)
学名:Serissa japonica (Thunb.) Thunb.
和名:白丁花
アカネ科 ハクチョウゲ属
環境省絶滅危惧ⅠB類
撮影 2022年5月
白丁花といえば、ハクチョウゲアブラムシ
アブラムシ退治には、アルコールという事で、酒を携えやって来たものの、酔っぱらってしまったネコ君なのであった
日本に生息する白丁花は、栽培品の逸出とされていたが、長崎県の特定の地域のものは、周辺の状況から在来のものである可能性が高い
環境省のカテゴリーでは絶滅危惧ⅠB類に分類されている事から、在来群落の存在を認めているものと思われる
志々伎山のものは、古くから知られており、中腹の登山道にあるものは、自生ではないのかとの意見もある
山頂の祠のものは、中腹のものが人為的に持ち込まれたものではないかとかってに推測している
長崎県では、他の地域にもあきらかに自生と思われる群落が存在し、私も何度か訪問している
白丁花に寄生するハクチョウゲアブラムシは、ワタアブラムシの夏季矮小個体と同一とされたが、実験と観察からワタアブラムシの白丁花への寄生性は低く、また形態的な差が認められ別種とされた
現在、昆虫の種名にハクチョウゲアブラムシというのは存在しておらず、いまだ明らかになっていないアブラムシなのだろう
画像アップロード 2023年01月13日
2022年回顧録 その2(2023年1月11日)
学名:Elaeagnus epitricha Momiy. ex H.Ohba
和名:久万山茱萸
グミ科 グミ属
環境省絶滅危惧ⅠA類
撮影 2022年5月
1月11日は鏡開きの日だそうだ
実際鏡開きなど行った事はないのだが、せっかくなのでネコちゃんの額に飾っている鏡餅を割って食べてみましょう
美味しそうに実った久万山茱萸も餅と一緒にいかがですか?
といっても、実がなるのは5~6月ごろなので、鏡開きの時期とは異なります
久万山茱萸の果肉の味は、実際食した方の感想によると、渋みが少なく甘いようだ
きれいな実がなる時期には、その存在に気付くのだが、地味な花は気に留める事がない
今年は、花の時期に訪れてみようかな
分布は四国~九州で、四国や九州南部の一部の地域では多く見られるようだが、環境省は最高ランクの絶滅危惧種に指定している
私の行動範囲の中では、非常に稀な植物なのだが、気づいてないだけなのかもしれない
今回は広範囲を撮影した画像からトリミングして果実付近を拡大しており、残念ながら果実には合焦していなかった
グミの仲間内では、最も早く着果する種であるようで、撮影した個体は5月下旬に実を付けていた
大分県においては、鹿の食害が深刻で、幼木が被害にあっているとの事
最新の大分県レッドデータブックでは、絶滅危惧Ⅱ類に分類されている
霧島茱萸とも呼ばれているように、霧島あたりには多く産するようだ
久万山茱萸に関する論文は少なく、今回興味深いトピックは見つからなかった
画像アップロード 2023年01月09日
2022年回顧録 その1(2023年1月9日)
学名:Thalictrum toyamae Ohwi et Hatus.
和名:領布振唐松
キンポウゲ科 カラツソウ属
環境省絶滅危惧ⅠB類
撮影 2022年5月
久しぶりに訪れた佐賀県の自生地で撮影
ちょっと遅い自生地訪問であったが、まだ花は残っていてくれた
長崎県及び佐賀県に自生していて、ぽつりぽつりと自生地が点在している
長崎県のへんぴな自生地には結局一度も訪問する事はなかったが、今思えば一度ぐらいは行ってみるべきであったかな
カラマツソウの仲間には、開花期に萼片が落下するものと、残っているものがあるのだが、領布振唐松は開花してもほんのりピンクがかった萼片が残っている
長崎県に希産するカラマツソウの仲間に触れておくと、領布振唐松の他に紫唐松と大深山唐松が挙げられる
大深山唐松については、以前環境省の絶滅危惧ⅠB類に分類されていたが、紫唐松と混同され除外された
ところが、紫唐松と大深山唐松は異なる自生地にて住み分けしている事が判明し、私も撮影に出向いている
紫唐松と大深山唐松は、国内では長崎県のみに分布し、まさに当県の宝ともいうべき植物ではないか
話は、領布振唐松から脱線してしまったが、当植物に関しては参照する資料が少なく、記述する事があまりないんだよね
ところで、領布振唐松の画像になぜスーパーマン?
以前、この自生地には盗掘者が良く出没していたという事で、悪党を懲らしめるスーパーマンの登場です(^O^)
画像アップロード 2023年01月09日