6月に見つけた野草の花
キヨスミウツボ(清澄靫)
Phacellanthus tubiflorus
ハマウツボ科 キヨスミウツボ属
花 期 : 6~7月
生育地 : 山地の湿った樹林下
分 布 : 日本全国
RL指定 : 長崎県、大分県で絶滅危惧Ⅱ類
撮影 6月 長崎県 大分県
キヨスミウツボは、草丈5~10cmの寄生植物
カシ類、アジサイ類、マタタビ類の根に寄生し、地中に伸ばした寄生根が寄主の根をとりこんで、養分を吸収して生きており、葉緑体は持たない
はじめは全草白色だが、次第に黄色味を帯びる
初夏、苞葉に包まれた芽が地上に現れ、その後花茎を伸ばし、開花、結実して地上部が枯死した後、夏、秋には地下部の根に栄養を蓄積しながら生長し、冬は休眠して越冬する
1年で寿命を終える株が多いが、7年以上生育している株も認められた
花は芳香型と無香型があり、芳香型は柱頭の位置が雄しべより高く、虫媒花
一方無香型は柱頭が雄しべより低い位置にあり、自家受粉
両者の交配による中間型も存在し、かすかな芳香があり、花粉には稔性が無い
また、有香型が2倍体であり、無香型が4倍体であることがわかっている
キヨスミウツボの花は、糖度約10%の薄い蜜を多量に分泌しているが、これは寄主から吸収した師管液を流用したものであると推測されている
主要な送粉者としてはトラマルハナバチが知られているが、糖度の低い蜜を多量に分泌するのはスズメガ類を送粉者として利用する植物の特徴であり、ガによる送粉が行われている可能性も指摘されている
果実は卵形の液果で、中に洋梨形の小さい種子が多数入っており、種子は小動物に捕食され、散布されると考えられる
北海道における観察では、訪花昆虫としてエゾトラマルハナバチの訪花が確認され、その大部分が女王であった
エゾトラマルハナバチの女王は訪花時、蜜だけでなく花粉も採取しており、利用されていると考えられる
エゾトラマルハナバチの女王が頻繁に訪花していた花では、結実率が約90%にのぼったが、未訪花ではまったく実を結ばなかった事から、最も重要なポリネイターと考えられる
引用)
・キヨスミウツボの生活 神戸市押部谷町木見新池での保全のとりくみから
・キヨスミウッボの送粉者としてのエゾトラマルハナバチ
初版 2014年6月19日
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