11月に見つけた野草の花
キイイトラッキョウ(紀伊糸辣韮)
Allium kiiense (Murata) Hir.Takah. et M.Hotta
ヒガンバナ科 ネギ属
花 期 : 10~11月
生育地 : 川岸の岩場
分 布 : 愛知、和歌山、三重、岐阜、山口
RL指定 : 環境省絶滅危惧Ⅱ類
はじめにお断りしておきますが、ここに掲載した植物の画像は、とある渓谷に自生するキイイトラッキョウではないかと聞き及んでいたものであり、その真偽は不明なものであります
まず、キイイトラッキョウの形態について以下に示します
Allium virgunculae(イトラッキョウ)は、A. virgunculaeとA. kiiense(キイイトラッキョウ)に分けられ、さらにA. virgunculaeは、var. virgunculae(イトラッキョウ)、var. yakushimense(ヤクシマイトラッキョウ)、var. koshikiense(コシキイトラッキョウ)の3変種に分割されました
A. virgunculae の変種とされていた A. kiiense(キイイトラッキョウ)は、多くの花の特徴において A. virgunculae とは異なり、別種とされた経緯があります
最も顕著な特徴の 1 つは花の向きで、A. virgunculaeの花は上向きに開き、A. kiiense の花は横または斜め下向きに開きます
これは、それらが異なる受粉メカニズムを持っていることを示唆していると論文で述べられています
ここに自生するものに関して、私自身確認した限りでは、キイイトラッキョウの特徴を有していると思いましたが、雄蕊基部の歯牙に関しては、存在していません
その事をもって、この個体群がキイイトラッキョウではないと断言はできないのですが、公表された論文を調べても、当所のキイイトラッキョウに関する新産地報告など提出されておらず、専門家の見解においても、これらの個体群は、キイイトラッキョウではなく、ヤマラッキョウの範囲内であるとの結論だっただろうと推測しております
(当所の個体には歯牙がみられない)
「兵庫県のヤマラッキョウの地域的変異」という資料を拝見すると、自生地によるヤマラッキョウの形態変異が大きい事が述べられており、ここのものは渓流の岩場という環境下で形態変化したヤマラッキョウという事で、私なりの結論にしようと思います
参考資料)
Taxonomic Revision of the Allium virgunculae Complex (Alliaceae)
HIROSHI TAKAHASHI AND MITSURU HOTTA
初版 2016年11月20日
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