to Heart

~その時がくるまでのひとりごと

上海の伯爵夫人

2008-03-22 00:54:34 | the cinema (サ行)
  あなただけが、私の光。―
原題 THE WHITE COUNTESS
製作年度 2005年
製作国・地域 イギリス/アメリカ/ドイツ/中国
時間 135分
脚本 カズオ・イシグロ
監督 ジェームズ・アイヴォリー
出演 レイフ・ファインズ / ナターシャ・リチャードソン / 真田広之 / ヴァネッサ・レッドグレイヴ / リン・レッドグレイヴ / マデリーン・ダリー

名匠ジェームズ・アイヴォリー監督が、レイフ・ファインズ、ナターシャ・リチャードソンで描く
30年代を生きる大人のラブストーリー。

上海でクラブのホステスとして働き、家計を支える美しいロシア人ソフィア(ナターシャ・リチャードソン)は、愛する家族を失い、視力さえもなくした元外交官のアメリカ人ジャクソン(レイフ・ファインズ)と出会う。ジャクソンは長年の夢だったバー、“白い伯爵夫人”をオープンさせ、ソフィアを“店の華”として雇うことに決める。(シネマトゥデイ)

舞台は1936年、激動の上海。
愛する者と視力を失い、絶望の淵に踏みとどまっている元外交官が
上海の夜の社交場を遊び歩くうち、ある夜
自分の思い描くクラブの象徴とする、理想の相手と出会う。

伯爵の未亡人が数多くひしめく上海のクラブで働くソフィアのおかれた立場は、
ロシア革命後の貴族の嫁の、報われない理不尽極まるものだった。
彼女の稼ぎで生計が成り立っているのに、子供の前で平気で侮辱する貴族という血。
その神経に対する腹立ちを抑えながら、もう惹きこまれるが
物語が動き出すのはもっとずっとあと・・・
               
ロシアからの亡命貴族ソフィアとの唯一度の出会いで、
彼女の容姿や、私生活などを知る事もなく夢の店の顔とするジャクソンの決断は、
見えることによって表面的なことに惑わされ、
実は物事の本質を何も観ていない嘗ての同僚たちへの挑戦ともいえるよう。
夢だったバー"白い伯爵夫人"は盛況をみせていた。

それでも、
絶望と諦めの日々をただ生き過ごすふたりだったが、
かつてジャクソンと夢を語り、友情を感じた謎の男、マツダの出現により
ジャクソンの厚いドアに仕切られた外の世界も大きく変ろうとしていて・・・

                

そしてついに訪れた運命の日。
ギリギリの精神状態で崩れそうな彼女をふるいたたせたのは
いつも温かく見守ってくれていたユダヤ人の隣人であり
世を捨てようとしているジャクソンに、次の世界で生きよと背中を押したのはマツダだった。

暗い当てのない道の途中で、もう一度生きるために、一歩を踏み出せるのか―
静かに描かれる大人の為のラブストーリー

序盤の起伏のない、背景の説明的部分が長かった気もするけど、
本作でも親子共演を果たしていたバネッサ・レッドグレーヴと娘ナターシャ・リチャードソン
ミステリアスな日本人マツダの真田さんも堂々の存在感で、
こちらは劇場観賞できなかったのが悔やまれる良作でした


余談ですが、真田さんのYahoo!インタビューで語られる撮影秘話。
ブリティッシュ・イングリッシュをレイフに現場で指導を受けたとか
毎回違うアドリブで返されたとか、なかなか興味深い内容でした。
 http://movies.yahoo.co.jp/interview/200610/interview_20061023001.html