製作年度 2006年
上映時間 111分
原作 松田正隆
監督 黒木和雄
音楽 松村禎三
出演 原田知世/永瀬正敏/松岡俊介/本上まなみ/小林薫
『美しい夏キリシマ』『父と暮らせば』などで知られる黒木和雄監督の遺作となる人間ドラマ。
現代演劇の旗手・松田正隆の同名戯曲を原作に戦争に引き裂かれる恋と、庶民の日常を淡々と描く。
昭和20年、東京大空襲で両親を亡くし、兄夫婦と暮らす悦子(原田知世)は縁談を勧められる。相手は密かに想いを寄せる明石少尉(松岡俊介)の親友、永与少尉(永瀬正敏)。当日、緊張のあまりしどろもどろになりながらも、真摯(しんし)な愛情を示す永与に悦子は好感を抱く。数日後、悦子は明石の特攻隊出撃が決まったことを知らされる。(シネマトゥデイ)
これはとっても良かったです。
まるで舞台をみてるような回想シーンに入ってからは、
土手のこちら側にある1本の桜の木のある悦子の暮らす家だけで繰り広げられる、
静かに胸をたたく反戦映画であり、秀逸なラブストーリーでした。
昭和20年の紙屋悦子は、両親を亡くし鹿児島の兄夫婦とともに慎ましく生きている。
兄の安忠(小林薫)が妹の帰りを待つ間に交わされる夫婦の会話で、
彼が愛する妹の親友ふさ(本上まなみ)と結婚したことが明かされ、
この家の食卓に上がる惣菜などで当時の食糧事情などが、
鹿児島弁でコミカルに語られる。
しかし、その明るい会話の中に戦争はちゃんとあって、悲しみと不安を隠し今を生きようとする
当時の人々が丁寧に描かれています。
うららかな春、同じ航空隊の同期・永与少尉を伴って紙谷家にやってくる明石少尉。
しかし、なぜか無人の家にて待つ羽目になり・・・と、
この時のふたりの、おはぎを前の会話にも
永与の不器用さ、純粋さ。明石の男気、秘めた想い、決意を垣間見ることになる。
やがて悦子本人を前にして、ひと時穏やかな3人の若者の時間を映し・・・
亡くなった父の土産のお茶と、大切に取って置いたあずきでこしらえたおはぎで
目を輝かす明石と、緊張しまくりの永与
しかしここも、明石のどうしても託したい意志と、その想いを飲み込んだ純朴な永与がいる。
出撃前夜、一人で挨拶に来て満開の桜の下を通って土手の向こうに去って行く明石―
密かな想いは一度も言葉にされることはない。。。そして、
数日後、勤務地が変わることを告げ、土手の向こうに去って行く永与。
僅かな間に重きものを受け継ぐ、ふたりの男女の姿が淡々と描かれます。
これは紙屋悦子の青春であり、
同時に、永与少尉の青春であり、明石少尉の青春でもある。
ふつうに今考えれば、とても重い友情であり、
量りきれない愛の重さであるけれども、
託し託された男同士の友情もまた、この時代にこそ似合う絆によって決然と描かれ
戦争の残酷さを思わずにはいられません。
この作品の中で、狂言回し的な位置にいるのが兄嫁のふさ役の本上まなみ。
彼女の映画はあまり記憶にないのですが、
飄々として一家を切り盛りし、義妹に対しても母のようにその心情を察し背中を押し、
ゆるりとした鹿児島弁で女心も見せる。とっても良かったです!
「弁当箱、四角かですね~」
モノがない時代。得意の技術でプレゼントをしたいと目論む永与が、弁当箱を何に変身させるのかは
明石との会話の中にあり、
彼がその弁当箱をゲットした瞬間の顔はツボでした♪
脚本の丁寧さと、役者の演技が光る、とても静かな感動作でした
上映時間 111分
原作 松田正隆
監督 黒木和雄
音楽 松村禎三
出演 原田知世/永瀬正敏/松岡俊介/本上まなみ/小林薫
『美しい夏キリシマ』『父と暮らせば』などで知られる黒木和雄監督の遺作となる人間ドラマ。
現代演劇の旗手・松田正隆の同名戯曲を原作に戦争に引き裂かれる恋と、庶民の日常を淡々と描く。

これはとっても良かったです。
まるで舞台をみてるような回想シーンに入ってからは、
土手のこちら側にある1本の桜の木のある悦子の暮らす家だけで繰り広げられる、
静かに胸をたたく反戦映画であり、秀逸なラブストーリーでした。
昭和20年の紙屋悦子は、両親を亡くし鹿児島の兄夫婦とともに慎ましく生きている。
兄の安忠(小林薫)が妹の帰りを待つ間に交わされる夫婦の会話で、
彼が愛する妹の親友ふさ(本上まなみ)と結婚したことが明かされ、
この家の食卓に上がる惣菜などで当時の食糧事情などが、
鹿児島弁でコミカルに語られる。
しかし、その明るい会話の中に戦争はちゃんとあって、悲しみと不安を隠し今を生きようとする
当時の人々が丁寧に描かれています。
うららかな春、同じ航空隊の同期・永与少尉を伴って紙谷家にやってくる明石少尉。
しかし、なぜか無人の家にて待つ羽目になり・・・と、
この時のふたりの、おはぎを前の会話にも
永与の不器用さ、純粋さ。明石の男気、秘めた想い、決意を垣間見ることになる。
やがて悦子本人を前にして、ひと時穏やかな3人の若者の時間を映し・・・
亡くなった父の土産のお茶と、大切に取って置いたあずきでこしらえたおはぎで
目を輝かす明石と、緊張しまくりの永与

しかしここも、明石のどうしても託したい意志と、その想いを飲み込んだ純朴な永与がいる。
出撃前夜、一人で挨拶に来て満開の桜の下を通って土手の向こうに去って行く明石―
密かな想いは一度も言葉にされることはない。。。そして、
数日後、勤務地が変わることを告げ、土手の向こうに去って行く永与。
僅かな間に重きものを受け継ぐ、ふたりの男女の姿が淡々と描かれます。
これは紙屋悦子の青春であり、
同時に、永与少尉の青春であり、明石少尉の青春でもある。
ふつうに今考えれば、とても重い友情であり、
量りきれない愛の重さであるけれども、
託し託された男同士の友情もまた、この時代にこそ似合う絆によって決然と描かれ
戦争の残酷さを思わずにはいられません。
この作品の中で、狂言回し的な位置にいるのが兄嫁のふさ役の本上まなみ。
彼女の映画はあまり記憶にないのですが、
飄々として一家を切り盛りし、義妹に対しても母のようにその心情を察し背中を押し、
ゆるりとした鹿児島弁で女心も見せる。とっても良かったです!
「弁当箱、四角かですね~」
モノがない時代。得意の技術でプレゼントをしたいと目論む永与が、弁当箱を何に変身させるのかは
明石との会話の中にあり、
彼がその弁当箱をゲットした瞬間の顔はツボでした♪
脚本の丁寧さと、役者の演技が光る、とても静かな感動作でした
