姉から電話が来た。
昔から一方的に喋って人の話は聞かない彼女だけれど、そんでもって長電話だけれど、身体が不調でなかなか外に出られない彼女を思って、いつも最後まで話を聴く。
いつも内容は、自分の体調不良の話と大昔の話。
令和の時代の話をしていたと思っていたら、昭和40年代に飛んでいたりするので、こちらが混乱する。
あっちに飛び、こっちに飛びの話し方は若い時からそうだから、私は諦めてお付き合いする。で、延々と彼女の過去も含めた体調不良の話を聞く羽目になるのだ。
私だって癌治療中で、色々大変なのよ~って、言いたいけれど、いつも彼女の「貴方は大丈夫よね」の一言で終わってしまう。
大丈夫じゃないって!(心の声)
母が今も存命なのか二人とも知らない、と言う話になった。
姉と私は幼児期に両親に養育放棄された。
私の中ではとっくに昇華してしまった両親との過去を彼女はまだ引きずっていた。
あたかも目の前に母がいるかのように、怒りを吐き出す姉に少したじろぐ。
1歳違いの姉は、もの心もついて私よりも傷つくことが多かったのかもしれない。
過去は取り戻せない。それでも、誰かに怒りをぶつけることで、姉の中でカタルシスとなれば良いか。
姉の、母に対する恨み、つらみを聞きながら、そんな風に思った。
ちなみに、100歳くらいになるであろう母は、だいぶ前に風の便りで要介護で施設に入所していると聞いた。
さすがに、もうこの世にはいないんじゃあないかなと思った。
私が知らない母の人生はどんなものだったのだろう。
長時間、一方的に喋って姉の電話は終わった。
姉の事は好きだけれどね。
痛む右肩をさすりながら、次からは、もう少し短くしてもらおうって思っちゃった