こんなにも患者さんの気持ちの揺れに、とことん付き合ってくれる医師がいる。
患者さんが自分の生き方を考えて、必要な医療を選び取って自立することを支えてくれる。
「がんを抱えて、自分らしく生きたい〜がんと共に生きた人が緩和ケア医に伝えた10の言葉」
西智弘 PHP研究所
がんにならなければ、私はこの本を手に取らなかったと思う。
がんを抱えて生きるなんて怖いし考えたくもなかったから。
何が、生きる力を高め、そして逆に奪っていくのか。
どう生きていくのか、について考える本。
がんを抱えても抱えていなくてもだと思う。
自分らしく生きるために。
著者は、抗がん剤の専門家、緩和ケアの専門家として、多い時では年間4000件の生と死の物語を見てきた緩和ケア医。
とても濃くて深くて温かい本。
緩和ケアは私も、がんと診断された時から、いつでも受けられると外来や病棟で紹介された。
緩和ケアって末期に回される病棟と思い込んでいたけれど、そうじゃなかった。
末期じゃなくても身体や心が痛い時、辛い時にケアを受けられる。
それだけでも安心感があった。
西智弘さんてどんな人?
2005年北海道大学医学部卒。室蘭日鋼記念病院で家庭医を目指して初期研修中、がんで苦しむ患者さんが「魔法のように」元気になっていく緩和ケアの技術を目の当たりにして緩和医を志す。
川崎市立井田病院 かわさき総合ケアセンター腫瘍内科/緩和ケア内科 医長(日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医)一般社団法人プラスケア代表理事、リレーショナルアーティスト
街中のカフェのような雰囲気で、病気の相談ができる「暮らしの保健室」や「社会的処方研究所」の運営を中心に地域での活動に取り組む。
地域コミュニティを緩和ケアの観点から育んでいく活動、マギーズ東京や暮らしの保健室は、とても魅力的で行ってみたい場所となった。
本の帯は、写真家、元狩猟家、血液がん患者でもある幡野広志さん。