毎年1月10日は「えべっさん」である。オオサカジンにとって最大且つ厳粛な祭礼であろう。具体的には大阪市にある「今宮戎神社」の祭礼であり、商都大阪の1年間の繁栄を願う儀式であるのだが、どちらかというと完全なお祭りと言っても過言では無いのかなと。典型的なのは交付される福笹や吉兆を求め、自宅に持帰り飾り付けて祭壇扱いを行う事だろう。無論、願うのは商売繁盛。漁業の神であるえべっさんに何故商人であるオオサカジンがと長年疑問であったが、えべっさんは①漁業の神、と②商売繁盛の神、との二面性を持つ多角経営であったそうな。
無論、末社というか同じ仲間というか、各地に同様の恵比寿様を祭る神社は多々あるようだ。当地の千早赤阪村にもえべっさんが存在すると言ったら不思議だろうか。当然ながら山村の故漁業とは関係なく、狙うのは商売繁盛の方だろう。いわゆる商売人は少ないが、商売=生業、と理解すれば納得できるかと。村のえべっさんは正式名称を「藤野森神社」と呼び「出合戎」とも呼称されている。
所在は村役場のお隣で、空いていれば役場に駐車が一番便利かなと(村長さん、ごめんなさい)。神社自体は神職は無常住であり規模も小さい。当然ながら祭礼の規模も小規模で、賑やかさは控えめだろう。運営は神職では無く氏子集団の模様だ。昨日、⒐日に訪問してみたのだが、運営に当たる氏子集団の方々が準備中の様子だった。
えべっさんは信仰の対象であり、神仏混淆の伝統の故か他の宗派とは摩擦無く共存されているようだ。師匠宅も某宗派の信者であられるが、えべっさんも祭っておられる。農作業中に師匠夫人が来訪され、ニンジンとダイコンを茎が着いたまま頂戴な・・・・・・とのご要望。不思議に思っていたら、茎が着いたままのダイコンとニンジンをえべっさんにお供えするのが地域の慣わしだとか。
民俗学者の宮本常一氏は歩いて全国を旅されたとか。氏の著書を何冊か拝読したが、えべっさんのお供えに触れた記述には遭遇出来なかったような気がする。或いは当地には来られなかったのかも。