霧のおじいさん(4)

2015-08-20 21:21:25 | 童話
その時
『ごめんごめん、びっくりしたかい?』
と大きな声が聞こえた。

だけれど、近くには誰もいない。

『ここだよ。』
と聞こえる上の方を見ると、白いヒゲを生やしたおじいさんの大きな顔が有った。

『あなたはだ~れ?』
『わしは霧のおじいさんだよ。わしが現われると霧も出てくるんだよ。』
『なぜ霧が出るの?』
『霧の中には夢が詰まっているんだよ。だから、みんなに夢をあげるために、霧がでるんだよ。大人の人も霧の中の景色をきれいだと感じる人が多くいるんだよ。中国の「桂林(けいりん)」や北海道の「釧路(くしろ)」という霧の景色がきれいな所へ、旅行する人も多くいるんだよ。』

『ふぅ~ん。僕も大きくなったら「けいりん」や「くしろ」へ行きたいな。』

『そうだね、きれいだから行ったほうがいいよ。』