僕は自転車(2)

2015-08-23 09:17:34 | 童話
急に僕がグラグラして転んでしまった。
お父さんが手を離したのだ。

男の子は血のにじんだ膝を見ながら泣くのを我慢している。
『少し乗れるようになってきたから、もう少しだよ。』
お父さんが励ましているが、男の子は膝が痛くて仕方がない。

『男だろっ、頑張れ。』
男の子は
『僕は男でなくてもいい。』
と思った。

そこへ、男の子の友達が自転車でやって来て
『なんだ、まだ乗れないのかよ。』
と言った。

自転車の僕は男の子が乗れるように頑張ることにした。
グラグラしていても、僕が倒れないようにすればいいのだ。

僕は男の子に
『一緒に頑張ろうよ、僕も倒れないようにするから。』
といって励ました。
『うん、頑張る。』
と言って、友達の前で僕を漕ぎ始めた。僕はグラグラしながらも倒れないように男の子を支えた。