電車の気持ち(1)

2016-10-08 10:39:39 | 童話
僕は電車が大好きです。
だから電車に乗ると、先頭の車両に行き、電車とお話しをします。
『電車さん、こんにちは。』
『やあ、また乗ってくれたね。ずっと待っていたんだよ。』
『電車さんは僕が乗ってうれしい?』
『ああ、すごくうれしいよ。』
『どれくらいうれしいの?』
『いっぱいうれしいよ。』
『そう、僕と同じだね。』
『そうだね。』
『今日はどこへ行くの?』
『今日はね、お母さんと一緒に遊園地へ行くんだ。』
『遊園地で何に乗るの?』
『ジェットコースターと観覧車とメリーゴーランドに乗るんだよ。』
『楽しみだね。』
『うん、楽しみだよ。』

『君は大きくなったら何になるの?』
『僕は電車の運転手さんになりたいなあ。』
『そうなると、私と一緒にお仕事ができるね。』
『うん、そうだね。そうなるとうれしいなあ。』
『もうすぐ君の行く遊園地のある駅だよ。』
『うん、降りるよ。また帰りに乗るからね。』
『ああ、待っているよ。』

僕はお母さんと観覧車に乗り、ジェットコースターとメリーゴーランドには僕一人で乗りました。
そして、お昼ごはんは、お母さんはスバゲッティで僕はお子様ランチでした。

『もう帰るわよ。』
『うん、いっぱい遊んで楽しかったね。』
『そうねえ、楽しかったわよね。』
『今度はいつ来るの?』
『次はお父さんに連れて来てもらいなさい。お父さんならジェットコースターも一緒に乗ってくれると思うわ。』
『そうだね、前に来た時にお父さんと一緒に乗って楽しかったよ。だけれど、お父さんはメリーゴーランドには乗らなかったよ。』
『お父さんはメリーゴーランドが恥ずかしいのよ。』
『どうしてかなあ、僕は恥ずかしくないよ。』
『子供だからよ。』
『ふぅ~ん、大人になると恥ずかしいんだ。』
『さあ、帰りましょう。』