昨日やっと狩野永徳さんの生涯を描いた歴史小説「花鳥の夢」を読み終わりました。
毎日、通勤の電車の中で読んでいたので、少しずつしか読めなくて、時間がかかりました。
それでも、面白かったので、家に帰っても寝転びながら読んだりしていました。
狩野永徳と言えば、室町末期から安土桃山時代に活躍した狩野派の絵師でした。
狩野一門の家に産まれて、狩野派を背負って生きていかなければいけない立場にありました。
時の権力者から絵を描いてくれと頼まれて、命を削りながら、絵を描く姿が印象的でした。
室町将軍の足利義輝に頼まれた「洛中洛外図」は有名です。
私もぜひ一度見たいと思うのですが、信長に献上した後、越後の上杉家に贈答されたということで、現在は米沢市に本物があるそうです。
京都市内でも、復元されたものが展示してあるそうなので、とりあえずはそれを見てみたいと思っています。
戦国の戦乱の中、焼けた絵も数多く、残っていないものが多いようです。
物語の中では、織田信長に頼まれて安土城の全室に絵を描いたことになっていますが、当然安土城は残っていません。
豊臣秀吉の依頼で大阪城にも絵を描きましたが、大阪城も当時のものは残っていません。
信長や秀吉と狩野永徳のやり取りも楽しくやみましたが、何より永徳自身が自分に問いかける部分が、興味深く絵師としての悩みが描かれているのが、良かったと思います。
終盤には、永徳のライバルとして描かれる長谷川等伯が登場します。
狩野派とは違った絵を描く長谷川等伯に対して、永徳は強いライバル心を持ちました。
狩野派のプライドをかけて、等伯に立ち向かっていくのでした。
さて、このお話も読み終わりました。
次に読もうと思っているのは、永徳のライバルである「長谷川等伯」の物語です。
長谷川等伯は能登出身の絵師で、京へ上りたくて仕方がありません。
苦労して、京へやってくるというお話みたいです。
この「等伯」という小説は、くしくも狩野永徳の「花鳥の夢」と同じ時期に発表された小説だそうです。
二人の作家が同時期にライバルと思われる二人を題材として小説を発表するというのは、面白いものですね。
長谷川等伯の絵は智積院に「桜図・楓図」というものがあります。
息子の久蔵が「桜図」を描いて、父が「楓図」を描いたそうです。
昨年に見に行って、見とれてしまいました。
長い時間を経て、長谷川等伯さんと対面したような気分です。
その人の物語を読むと思うと、嬉しく思います。
明日の通勤の行きかえりから、読み始めようと思って楽しみにしています。