言の葉花壇

何度聞いても美しい日本語に、今日もマナ女とカナ女がにぎやかに呟きます。ぜひお気に入りを見つけてください。

ここだ愛しき

2022年07月14日 | 万葉集

#ここだ愛しき……★☆ 多摩川に さらす手作り さらさらに なにぞこの子の ここだ愛しき: 詠み人知らず : 歌意:多摩川で手織りの布をさらさらとさらしている。更に更にどうしてこの子はこれほど愛しいく可愛いんだろう。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ #万葉集 第十四巻より■□■

 

みんなぁ、元気ぃ~?

読み方やでぇ~

たまがはに さらすてづくり さらさらに なにぞこのこの ここだかなしき

みなさん、お元気?

昔、多摩川の河畔流域では、手織りの麻布をとして朝廷に収めていたのよ。

現在の調布という市の名称は昔の税金を意味する調(その土地の特産物を納める)で、布を納めていた場所なのでついた名前だそうよ。

調布市内には布田(ふだ)、とか染地(そめち)など布にかかわる地名があるのはそんな理由からかもしれないね。

このころの税法は中国から取り入れた方法で、『租庸調』といって、租(そ)は穀物、庸(よう)は兵役、調(ちょう)は地域の特産物を国家に収めていたんやろ。

あら~、よく知ってるわね。

えへへへ

均田法』(きんでんほう)といって土地は国家の持ち物でそれを人々に貸して、そこで取れた物を徴収していたのよ。

そんな昔から庶民は税金を納めていたんやなぁ。

そうやね。

この歌はどちらかというと男性が女性を恋しいと思う気持ちよりも、苦労して作った麻布を愛しい、可愛いと思い、兵役で男性がいない家や村を守っていた女性たちが、税として麻布を手放すことを自分たちに見立てて「どうしてこんなに愛しくて可愛いのか」と歌っているような気がするわね。

税金として納める大切な大切な布を思って「ここだかなしき」なんやね。

今も昔も一生懸命働いて収める税金やから、国に大事に使ってほしいと思う気持ちは変わらへんのやなぁ。