---花越しに交す默礼秘めやかに 雨の兆しの薔薇園の径---
(薔薇の銀貨 ギリシャ 紀元前2〜3世紀 著者蔵)
鎌倉は文学館と大船植物園と教会と、いくつか薔薇園がある。
数日天気が荒れ模様らしいので、花が傷む前に植物園に行ってきた。
薔薇は四季咲きで絵も通年で飾れるので人気が高く、私の得意な画題でもある。
東洋での古名は長春花と言い、江戸時代の狩野派の絵も残っている。
しかし前々回の牡丹に比べれば薔薇は西洋文化のイメージが強い。
写真はエーゲ海ロードス島で作られた、表が太陽神ヘリオスで裏が薔薇の古代ギリシャのコインで、持っていれば花のスケッチ時に加護がありそうだ。
私の画学生時代はギリシャ彫刻のデッサンを何百枚もやって美の規範を身に付けたので、思い入れが強い。
---奥庭の錆びて開かぬ門の中 貴色の薔薇を俗世に隠し---
薔薇も最新のバイオテクノロジーなどで新種がどんどん出て来て、色の違いで花言葉も違うそうだ。
俗に言う花言葉の殆どは花卉業界の販売促進用に19〜20世紀に作られた物で、古代から続く隠者の世界では認めていない。
それよりギリシャ ローマ以来の伝説やイコノグラフを信用したい。
ヴィーナスやドロテアの薔薇、受胎告知の白百合などだ。
中世カトリック教会は薔薇の美しさと香りが人心を惑わすとして禁止し、香油の生産を修道院が独占した。
ローマ時代「アンダー ザ ローズ」と言えば「秘密」の暗喩で、それが中世修道院の薄暗さと結び付き、重厚で謎めいたイメージが出来上がったようだ。
20世紀の園芸家の夢だった紫の薔薇も大輪の花を咲かせている。
平日の曇り日でも花園は奥様方の一団で賑わっていて結構だが、大声のお喋りの内容が下劣なゴシップなのは勘弁願いたい。
イヤホンの荘重な音楽で俗世の騒(ぞめき)を消すとしよう。
私は何処の取材でもなるべく人の少ない日に行くが、薔薇園なら実は秋の方が空いていて断然良い。
ヨーロッパ風の庭園には季節が衰退して行く時季の風情が似合う気がする。
それこそ没落の極みの隠者がうろつくのにふさわしい。
©️甲士三郎
(薔薇の銀貨 ギリシャ 紀元前2〜3世紀 著者蔵)
鎌倉は文学館と大船植物園と教会と、いくつか薔薇園がある。
数日天気が荒れ模様らしいので、花が傷む前に植物園に行ってきた。
薔薇は四季咲きで絵も通年で飾れるので人気が高く、私の得意な画題でもある。
東洋での古名は長春花と言い、江戸時代の狩野派の絵も残っている。
しかし前々回の牡丹に比べれば薔薇は西洋文化のイメージが強い。
写真はエーゲ海ロードス島で作られた、表が太陽神ヘリオスで裏が薔薇の古代ギリシャのコインで、持っていれば花のスケッチ時に加護がありそうだ。
私の画学生時代はギリシャ彫刻のデッサンを何百枚もやって美の規範を身に付けたので、思い入れが強い。
---奥庭の錆びて開かぬ門の中 貴色の薔薇を俗世に隠し---
薔薇も最新のバイオテクノロジーなどで新種がどんどん出て来て、色の違いで花言葉も違うそうだ。
俗に言う花言葉の殆どは花卉業界の販売促進用に19〜20世紀に作られた物で、古代から続く隠者の世界では認めていない。
それよりギリシャ ローマ以来の伝説やイコノグラフを信用したい。
ヴィーナスやドロテアの薔薇、受胎告知の白百合などだ。
中世カトリック教会は薔薇の美しさと香りが人心を惑わすとして禁止し、香油の生産を修道院が独占した。
ローマ時代「アンダー ザ ローズ」と言えば「秘密」の暗喩で、それが中世修道院の薄暗さと結び付き、重厚で謎めいたイメージが出来上がったようだ。
20世紀の園芸家の夢だった紫の薔薇も大輪の花を咲かせている。
平日の曇り日でも花園は奥様方の一団で賑わっていて結構だが、大声のお喋りの内容が下劣なゴシップなのは勘弁願いたい。
イヤホンの荘重な音楽で俗世の騒(ぞめき)を消すとしよう。
私は何処の取材でもなるべく人の少ない日に行くが、薔薇園なら実は秋の方が空いていて断然良い。
ヨーロッパ風の庭園には季節が衰退して行く時季の風情が似合う気がする。
それこそ没落の極みの隠者がうろつくのにふさわしい。
©️甲士三郎