今週はひどい雨続きで、予定していた書画の虫干が出来なかった。
ついでに盂蘭盆の行事も洗濯もサボってしまった。
楽しみに見ていた庭の露草も風雨でだいぶやられたが、切株の脇にいくつか咲き残っていた。
切株に棲みついている青蜥蜴も、写真には写せなかったが元気そうだった。
小花を何輪か摘んで文机に活けよう。
少しは涼しげになるだろう。
露草は小さいので小壺か竹籠にしか合わない上に、弱いので摘んで1〜2時間しか持たない。
(古越前お歯黒壺 江戸時代 古九谷急須 茶杯 幕末頃)
秋の草花はこの手のいわゆる「蹲る」壺に最も良く似合う。
外はまだまだ残暑が酷いが、露草を活けた古壺からは秋気が湧き出すようだ。
江戸時代の文人達に習い湯冷ましで淹れたぬるい煎茶を味わってみると、冷蔵庫でキンキンに冷えた飲物よりも優しい感じはする。
近年は夏の花は5〜6月に初秋の花は7月に咲いてしまい、8〜9月の残暑の時期に咲く花が乏しくなっている。
(古備前壺 江戸時代 竹編鳥形合子 清朝末期)
水引の花は微細ながらもこの厳しい残暑の庭に、数少ない彩りとなっている。
この小さな赤い粒は写真ではほとんど見えないほど地味だ。
花持ちは良いので、流派花の添え物としては重宝しているようだ。
こんな花でも案外隠者には似合っていて十分楽しめるのだ。
ーーー水引が朱を点じたる荒庭の 嵐の後の緑猛りてーーー
荒庭は言うまでもなく風雨に乱れている方が風情があるので手入れが楽だ。
今後も彼岸過ぎ迄は暑さも疫病禍も続くので、隠者は極力引き篭ってこのような密かな悦楽に浸るべきだろう。
©️甲士三郎