私的海潮音 英米詩訳選

数年ぶりにブログを再開いたします。主に英詩翻訳、ときどき雑感など。

灰の水曜日  六部20~24行目

2009-10-09 23:17:39 | 英詩・訳の途中経過
Ash-Wednesday T.S.Elliot

Ⅵ[ll.20-24]

This is the time of tension between dying and birth
The place of solitude where three dreams cross
Between blue rocks
But when the voices shaken from the yew-tree drift away
Let the other yew be shaken and reply.


灰の水曜日        T・S・エリオット

  Ⅵ[20-24行目]

 死と生のはざまのはりつめるこのとき
ひとりたつ場所にみたりの夢がまじわる
蒼ざめた岩のはざまに
けれど 声どもがイチイの木から揺りおとされ漂うとき
ほかの木を揺すりこたえせしめよ



  ※「~せしめよ」なる命令形が私はたいへん好みのようです。原因はおそらく伊東静雄。「私が愛し/そのため私につらいひとに/太陽が幸福にする/未知の野の彼方を信ぜしめよ」……。彼の荒野はエリオットの荒れ地とよく似ている気がします。

 ※行の数え間違い発見。10日訂正。×20~25行目。○20~24行目。