7月8日 (土曜日) 晴れ 暑い日!
時代小説の名手・葉室麟(はむろ・りん)さんの
『秋月記(あきづきき)』で、
江戸から故郷・秋月に戻った主人公は思わず「秋月はよいなあ」と、
嘆声を漏らす。
<秋月では目をあげればすぐに青々とした山が見える。
何ものかの懐に抱かれているような気がする>。
緑の濃淡を重ねて連なる木々と山々と、
そこから流れ出る豊かな川がもたらす安堵の念。
こんな俳句も生むような土地なのだ。
<秋月は水よきところぬるみつつ>高浜年尾
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
だが、秋月がある福岡県朝倉市では、
5日からの24時間で、500ミリ以上の雨が降った。
10キロ四方の地に東京ドームならおよそ40杯、
ナゴヤドームなら30杯もの水が一気に注がれ、
いつもは優しく懐に抱いてくれる山が崩れ、
水が牙をむいた。
九州豪雨の犠牲者は増え続け、安否が分からぬ人も多い。
孤立し続ける人も数百人いるという。
家が泥にのまれ、両親の行方が分からぬという男性は捜索を見つめつつ、
こう漏らしたそうだ。
「見つかってくれれば、今はそれだけでいい」。
かけるべき言葉も、見つからない。
~~~~~~~~~~~~~~~~~
『秋月記』では、愛する人を突然失い、
人知れず涙を流し続ける女性の心模様がこう描かれている。
<それでも…どこまでも青々とした山並み、
深い色をした空を見ていると、
不思議に生きていく気力だけは湧いて来た…>
▼せめて、そんな深い色をした空が、被災地の上に広がってはくれないか。
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時代小説の名手・葉室麟(はむろ・りん)さんの
『秋月記(あきづきき)』で、
江戸から故郷・秋月に戻った主人公は思わず「秋月はよいなあ」と、
嘆声を漏らす。
<秋月では目をあげればすぐに青々とした山が見える。
何ものかの懐に抱かれているような気がする>。
緑の濃淡を重ねて連なる木々と山々と、
そこから流れ出る豊かな川がもたらす安堵の念。
こんな俳句も生むような土地なのだ。
<秋月は水よきところぬるみつつ>高浜年尾
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だが、秋月がある福岡県朝倉市では、
5日からの24時間で、500ミリ以上の雨が降った。
10キロ四方の地に東京ドームならおよそ40杯、
ナゴヤドームなら30杯もの水が一気に注がれ、
いつもは優しく懐に抱いてくれる山が崩れ、
水が牙をむいた。
九州豪雨の犠牲者は増え続け、安否が分からぬ人も多い。
孤立し続ける人も数百人いるという。
家が泥にのまれ、両親の行方が分からぬという男性は捜索を見つめつつ、
こう漏らしたそうだ。
「見つかってくれれば、今はそれだけでいい」。
かけるべき言葉も、見つからない。
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『秋月記』では、愛する人を突然失い、
人知れず涙を流し続ける女性の心模様がこう描かれている。
<それでも…どこまでも青々とした山並み、
深い色をした空を見ていると、
不思議に生きていく気力だけは湧いて来た…>
▼せめて、そんな深い色をした空が、被災地の上に広がってはくれないか。
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