日向ぼっこ残日録

移り気そのままの「残日録」

「君子豹変す」

2006年06月28日 18時29分18秒 | 気まま日記
米ソフトウエア大手オラクルの広報担当者は27日、米ハーバード大に約1億ドル(116億円)を寄付する決定をしていた同社のラリー・エリソン最高経営責任者(CEO)が、決定を撤回したことを明らかにした。ロイター通信が伝えた。担当者によると、寄付の対象となっていた医療問題研究プロジェクトに不可欠の存在と考えられていた同大のサマーズ総長が今月末に退任するため、CEOが寄付を考え直したという。米国では26日、投資家ウォーレン・バフェット氏がマイクロソフトのビル・ゲイツ会長夫妻の財団に約370億ドル(4兆3000億円)の寄付を発表し、大きな注目を集めたばかり。余りにも巨額でしたが、その1/370でも巨額に違いない。

「君子豹変す」という言葉がある。ころころと態度を変える……悪い意味で使われがちな言葉だが、本来は違う。豹の毛が季節に合わせて抜け変わり美しい斑文となることから、君子は時代の変化に合わせて自分を素早く的確に変えていけるとの意味である。そこから、君子はたとえ過ちを犯しても素早く善に立ち戻れるなどの意味も生まれた。一方、君子でない者はどうなのか。実は「君子豹変す」の後には「小人(しょうじん)は面(おもて)を革(あらた)む」と続く(『※易経』)。小人も“変われる”が、それは「表面的なもの」にとどまるというのだ。
まあ、偉い人は、「朝令暮改」、「君子豹変す」(素直に、態度をコロコロ変えることと解釈して)は、当たり前です。なんたって偉いんですから。しかし、大手企業のCEOの地位にあり、ましてや寄付を公言しておいて・・。あわれという他ありません。
※江戸時代の学問の基本、四書五経。四書は大学、中庸、論語、孟子で、五経は「※易経」、誌経、書経、春秋、礼記(らいき)。学問は昌平坂学問所を頂点に成り立っているんですが、進級は「素読」「復習」「初学」と進み、学内試験の「大試業」を経てのちに「諸会業」に進み、経史、刑政、天文地理、習字、算術、物産、有職故実(ゆうそくこじつ)を学び、3年に1度の幕府直轄の試験「学問吟味」に合格すれば、輝かしい出世の道があった