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Les Cultes Des Goules

2009-11-17 11:57:29 | 禁断の書物

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「中世末期のフランスに存在していた邪宗門の総合目録。食人の禁忌を冒し、不老不死の実現を望む人外の教義のカリキュラム」


・フランスの貴族、ポール・アンリ・ダレット伯爵(フランソワ=オノール・バルフォアという説もある)が16世紀に著した「Les Cultes Des Goules(屍食教典儀)」は、フランス国内において降霊術や人肉嗜食、屍体性愛に耽っていた淫祠邪教を目録化し、これらの教団の教義や行動について詳述した本である。


・当時、一般的な刊行物であった四つ折り判の装丁で、1702年もしくは1703年に出版されたらしい。


・人肉食の実践による不老長寿の秘法について触れている衝撃的な内容から、直ちにカトリック教会による発禁処分を受けたが、その後も密かに出回っていたようである。


・フランス文学の研究者の中には、「サド伯爵」の通り名で知られるドナティアン・アルフォンス・フランソワ・ド・サドの著作中に、明らかに「Les Cultes Des Goules(屍食教典儀)」の影響が見られると指摘する者もいる。


・「Les Cultes Des Goules(屍食教典儀)」が刊行されてより数年後、イギリスのバッキンガムシャー州で生れ、後にこの本の所有者になったと思われるイギリス貴族のフランシス・ダッシュウッド卿は、18世紀の中頃にセックスと黒魔術を中心教義とする「地獄の火クラブ」という秘密結社を設立し、大蔵大臣の地位に就いたとされる1762年に暴露されるまで、10年以上に渡り狂乱の宴を続けていた。


・著者であるダレット伯爵自身について余り多くのことが知られていないが、ダレット伯爵家は、その後ドイツのバイエルンに移住して家名を「ダレース」に改め、更に新大陸アメリカに渡り、1919年に亡くなったミヒャエル・ダレースの代まで爵位を保持していた。


・1939年にアメリカのウィスコンシン州にて怪奇小説専門の出版社アーカムハウスを設立した郷土文学者オーガスト・ウィリアム・ダレースはミヒャエルの孫にあたる。


・「Les Cultes Des Goules(屍食教典儀)」原本の現存数は14部だと言われ、少なくとも4部がミスカトニック大学附属図書館に蔵されている。



「マクベス」 舞台内容 三幕二場~三幕三場

2009-11-16 10:45:41 | 「マクベス」

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・三幕二場
 前場と同じく宮殿内、マクベス夫人が従者を引き連れて登場する。
彼女も夫と同じように、バンクォーの存在が自分たちの運命の享楽に影を落としていると感じていた。
 'Nought's had, all's spent,
   Where our desire is got without content:
   'Tis safe to be that which we destroy,
   Than, by destruction, dwell in doubtful joy.'
 (望みは達せられても、
 満ち足りた安らぎが得られなければ、
 何もならない、全てが無駄になってしまう。
 一層殺された方が、まだ気楽です、
 殺しておいて、あやふやな喜びの中で暮らすよりは)


 悔恨の情は、マクベスより彼女の方に起こりやすく、とかく二人が一緒にいる時は、快活な顔を見せるのは夫人である。




 ダンカン国王殺害以来、マクベス夫妻は少しずつ心が離れていく。バンクォーに対する陰謀も、マクベスは妻に相談することなしに企てた。


 それどころか、彼は故意に彼女から隠している。バンクォーに対する接待について、陰謀を企てているのに優待するように言う。
 'Let your remembrance apply to Banquo;
   Present him eminence, both with eye and tongue.'
 (バンクォーの前では、十分に気をつけて
 目も口も敬意を忘れぬようにしてくれ)


 マクベスは黙っているつもりだったが、用心しながら、これから起こるであろう事件(バンクォー親子の暗殺)のことについて話し始めてしまう。


 妻は、それを聞いて驚くが、その驚きをマクベスは、彼の賢さと決断に対する賛美と受け取るのだった。
 'Thou marvellest at my words: but hoid thee still;
   Things bad begun make strong themselves by ill.'
 (お前は俺の言葉に驚いているな、大丈夫だ、安心しろ。
 一度悪事に手を着けたら、最後の仕上げも悪の手に委ねることだ)


 目的のためには手段を選ばない。




 彼の幸運は、尽きておらず、ダンカンは彼の居城に訪れ、杜撰な殺人の計画は成功し、マルカムとドナルベインは逃亡して国王殺害の嫌疑を掛けられた。


 バンクォー親子は遠乗りに出掛け、陰謀のチャンスを与えられたのだ。これらはマクベスが運命の寵児であることを現わしていた。



・三幕三場
 宮殿近くの森の中、坂道は宮殿に続いていたが、宮殿からは少し離れている。
三人の刺客たちがバンクォー親子を待ち伏せをしていた。


 刺客たちの予想通り、バンクォーと息子のフリーランスは、馬から降りて徒歩で城へと向かう。
バンクォーと、松明を持ったフリーランスが、坂道に差し掛かった時、攻撃が加えられた。


 バンクォーは刺客たちの手によって殺害されるが、幸か不幸か、刺客の一人が松明の明かりを消してしまったため、フリーランスを取り逃がしてしまったのだった。
 'Banquo is down, Fleance is fled.'
 (バンクォーは斃(たお)れ、フリーランスは逃げ延びた)


 マクベスの思惑は、半ば成功し、半ば失敗した。
 これはマクベスの手落ちではない。彼は万全を期するため刺客の数を増やし三人でバンクォー親子を襲わせたのだが、第一の刺客のへまにより、フリーランスを取り逃がしてしまう。

 しかし、これこそが運命の寵児であったマクベスの運命の変わり目であったのだ。





The King in Yellow

2009-11-14 15:34:16 | 禁断の書物

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「人の精神には耐えられないほどおぞましい美を描き出し、読む者にして狂気と破滅へと駆り立てる禁断の戯曲」


・読んだ者を狂気へと追いやる「The King in Yellow(黄衣の王)」は、「Carcosa(カルコサ)」という名の古代都市を舞台にした戯曲の題名である。


・著者と成立年代は共に不明。原本は蛇の皮で装丁されており、表紙には「黄色の印」の模様が描かれている。


・カシルダやカミラといった人物が登場し、牡牛座のヒアデス星団やハリ湖のことが謳い込まれていることが知られている。


・具体的な内容は謎めいており、カシルダの「黄衣の王は私から取り上げてしまった。夢の行く方を定める力も、夢から逃れる力も」といった断片的な台詞の幾つかが記録されているのみである。


・戯曲において中心的な役割を果たすのは、題名の由来ともなっている謎の存在「黄衣の王」であり、登場する黄衣の王は常人の倍ほどの背丈で、蒼白の仮面を着けている。


・異様な彩りをした襤褸(ぼろ)を身にまとい、翼を備えているように見えることもあれば、後光が射していることもある。


・「The King in Yellow(黄衣の王)」を構成する二幕の内、第一幕は無害のものであるが、童子の口上から始まる第二幕の内容は、慄然と言う言葉でも生易しい狂気の満ちたものであり、内容を知ってしまった者は破滅に至る運命にある。


・かつて「The King in Yellow(黄衣の王)」を読んだヒルドレット・カステインは、自分が黄衣の王の従者としてアメリカの王になるという妄想に取り憑かれ、支離滅裂な手記を残し精神病院で死んでいる。


・「帝王たちに仕える王」と呼ばれ、皮肉たっぷりに聖書の語句を引用しながら人間に語りかけてくる黄衣の王の正体は、「The Unspeakable(名状しがたきもの) Hastur(ハスター)」の顕現に他ならない。


・1895年頃、黒く薄い八つ折判の装丁の「The King in Yellow(黄衣の王)」が英語版にて刊行されているが、翻訳者名などの詳細は一切不明である。



「マクベス」 舞台内容 三幕一場

2009-11-13 11:31:52 | 「マクベス」

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 数週間という時間が経過した。フォレスの宮殿謁見の間、バンクォーが登場する。
マクベスにとって魔女たちの予言が全て実現したということは、バンクォーにも当てはまる。
 ここまではマクベスが予言を実現していったプロセスを見てきた。
ここからは、その予言に逆らっていこうとするマクベスの姿を見ていくのだ。




 当然マクベスは気にならない筈もなく、特に「マクベス様より小さいが、それでいてずっと大きい。それほど幸運ではないが、遥かに幸運だ。あなたは国王にはなれないが、子孫が国王になる」により、バンクォーの息子フリーランスの動静を知りたがる。
 'Ride you this afternoon ?'
 'Is't far you ridee ?'
 'Goes Fleance with you ?'
 (昼から何処かへ出掛けるのか?)
 (遠方へお出掛けか?)
 (フリーランスも連れて行くのか?)


 バンクォーが出掛けるため、その場から退出すると、今得た情報を早速活用する。
彼は従者に命じ、彼の命令を極秘裏に遂行する者たちを呼び寄せる。つまりバンクォー親子の殺害である。
           'To be thus, is nothing;
   But to be safely thus:――Our fears in Banquo
   Stick deep; and in his royalty of nature
   Reigns that which would be feared: 'tis much he dares;
   And, to that dauntless temper of his mind,
   He hath wisdom that doth guide his valour
   To act in safely. There is none but he
   Whose being I do fear……
   …………
   They hailed him father to a line of kings:
   Upon my head they placed a fruitless crown,
   And put a barren sceptre in my gripe,
   Thence to be wrenched with an unlineal hand,
   No son of mine succeeding.'
         (ただこうしているだけでは、
 何もならぬ、何ら不安なしにいられるのでなければ。
 ――怖ろしいのはバンクォーだ、
 生まれながらの気品というやつ、俺はそれが恐い。
 あの男には、どんなことでもやり遂げる不屈の魂、
 それに加えて、己の勇気を巧みに御する分別を兼ね備えている。
 奴ほど俺にとって恐い存在はいない……
 ……
 魔女たちは、奴に子孫が代々王になると
 祝いの言葉を浴びせかけた、
 この俺は、頭上に実らぬ王冠を載せ、
 手には不毛の笏を握らせた、
 つまりは赤の他人にもぎ取られ、
 一代限りで終わらせようとする魂胆か)


 バンクォーに対するマクベスの敵意は、現在における恐怖と未来に対する羨望から来ているのだ。


 'For Banquo's issue have I filed my mind;
   For them the gracious Duncan have I murdered――
   ……
   Only for them.'
 (バンクォーの子孫のために、俺はこの手を汚し、
 奴らのために、慈悲深いダンカン国王を殺したということ――
 ……
 ただ奴らのために)


 もしマクベスが、冷静で論理的な判断が出来ていれば、違った対処もあった筈であるのだが、ここは魔女の予言に反して運命に逆らうのだ。


 'Rather than so, come, fate, into the list,
   And champion me to the utterance.'
 (その手は食わぬぞ、運命め、さあ、姿を現せ、俺と勝負しろ、
 最後の決着をつけてやる)


 二人の刺客が登場する。何れもマクベスの腹心で、策はすでに授けてあった。
そしてバンクォーと共に息子のフリーランスも確実に殺害するように念を押す。


 刺客はこの場を去り、
 'It is concluded: ――Banquo's flight,
   If it find heaven, must find it out to-nibht.'
 (これで決まった、――バンクォー、
 もし貴様の魂が天国行きをお望みならば、
 今夜のうちに道を探し出さねば間に合わぬぞ)





Liber Al vel Legis

2009-11-12 11:06:39 | 禁断の書物

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「魔術の実践と研究に生涯を費やしたオカルトの怪人、20世紀最後にして最大級の魔術師、アレイスター・クロウリーの聖書」


・1875年10月12日に、イギリスのウォリックシャーのレミントンにて生れたアレイスター・クロウリー(本名はエドワード・アレクサンダー・クロウリー)は、マスコミから「黒魔術師」、「世界最大の悪人」などの渾名で呼ばれた20世紀イギリス最大の魔術師の一人である。


・プリマス・ブリストン派というキリスト教の宗派を奉ずる裕福な家庭に育ったクロウリーは、厳格な教義に反発して神秘学に興味を持った。


・ケンブリッチ大学トリニティ・カレッジに進学したものの、学内で様々な問題を引き起こし、卒業を目前にして中退。


・19世紀末に結成された魔術結社「黄金の夜明け団」に入団し、稀代の魔術師としての人生を歩み始める。


・「Liber Al vel Legis(法の書)」は、クロウリーがエジプトのカイロに滞在していた1904年に、エイワス、もしくはスト=トートと名乗る地球外知的生命から授かった、「汝の意思するところを行なえ。これこそ法の総てとならん」、「全ての男女は星である」等の220の宣託を書きとめて、一冊の書物に纏めたもので、厳密な意味ではクロウリーの著書ではなく、彼が受け取った声を人間の言葉に翻訳し、編纂した霊界通信文書というべき書物である。


・クロウリーの弟子であり、後の魔術結社「O∴T∴O(東方聖堂騎士団)」のグランド・マスターとなったケネス・グラントは、「Abdul Alharzed(アブドゥル・アルハザード)」の「NECRONOMICON(死霊秘法)」と、「Liber Al vel Legis(法の書)」をはじめとするクロウリーの著書の中で言及されている神々の蛮名や秘儀の数々が同一のものであると指摘している。


・邪神復活を目的とするアメリカの「S∴T∴(銀の黄昏錬金術会)」と、クロウリーの結成した魔術結社「銀の星」との接触を伝える手紙の存在が確認されており、この一致は偶然な物ではないといわれている。