花*小紋日記

出張着付師kyoさんの奮闘記

車椅子の着付け。

2016-02-09 11:58:07 | 着付け技術
2月に入り、暦は立春
とはいうのものの、まだまだ寒いですね~。

あまりの寒さのせいで体調がひどく悪化
もともと、心臓が悪いので、かなり寒さが響いています
とにかく、仕事以外は安静にする事を心掛けていたら、ようやく回復してきました
無理がきかなくなっていると、つくづく感じるこの頃です

さて、先日の18:00頃に一本の電話が入りました

「急なんですが、明日着付けをお願いできないでしょうか????」


まさかの、明日ですか~


今までも、「明日お願い」のご依頼は何度かありましたが、前日の夕方のお問い合わせはめずらしいです
お申込み者はご主人様。そして奥様が車椅子とのお話でした。


それを聞いた瞬間、「やらなければ」と使命感up
さすがに1人で車椅子の着付けは難しいかも・・・と判断しすぐに出来るスタッフさんがいないか確認

しかし・・・前日の夜ともなると皆予定が入っていて厳しい状況でした。
1人でもなんとか頑張ってみようと覚悟していると・・・・
そんな中、スタッフさんからOK連絡あり

ありがとうございますっっっっ嬉しい助っ人


そして、翌日にご依頼場所のホテルにご訪問させて頂きました。
ご主人様にもお手伝いして頂く関係から、ホテル側で広く綺麗な個室を用意してくださりありがたかったです

さらにお話を伺うと・・・・

着物をレンタルしていたお店に車椅子の件を伝え忘れ、前日に連絡したところ


「できません」と断られてしまったそうです。
そして、なんと、この日はホテルの美容室も定休日

困って、探していたところ、出張着付けを見つけたとの事でした
ご訪問できて本当に良かったです

実は大人の車椅子の着付けは今回が初めてでした
車椅子のお子様の着付けは経験していたのと、大人の車椅子の着付けも知識はありましたので、完成イメージは出来ていました。
それでも、実際には色々な部分で考えさせられる事がありました。


ヘアメイクにつていは車椅子で全く問題なし
ただ、着付けについては、やはり車椅子ならではの問題が発生。


まず、一番大事なのは、お客様によって体調が異なる事かもしれません。
短時間でも立位が取れるのか、難しいのか、座位はどのくらいとれるか・・・

立位が難しいお客様に関しては、いかに立ち時間を少なくする事がポイントでした。

今回はお着物を腕から羽織って頂き、ご主人様に抱きかかえてもらっている間に、着物の裾を車椅子にセットさせて頂きました。

しかし、短時間でも奥様にはつらそうでしたので、一旦他の椅子に移っていただき、その間に車椅子に着物をセットしてその上から座っていただく方法が良かったかな・・・・と反省

他にも

座り姿勢の関係で襟あわせの部分が浮きやすいので、胸の補正は多めに入れる。コットンが胸元から出てこないようにガーゼで押さえておくと安心。

車椅子の背もたれが長いと衣紋を後ろから押してしまい、前の襟が浮きやすいので、衣紋は少な目に控える

座り姿勢は裾がはだけやすいので、上前は深めにかぶせる

などなど・・・・

裾合わせと、襟あわせが一番難しい部分だったと感じました
特に襟あわせは、座り姿勢の関係でどうしても浮きやすいので、何度も下から引いて体に沿わせました。
スタッフさんと二人で確認しながら進める事ができたので、なかなか綺麗に仕上がったと思います


ただ、お客様の体を持ち上げる関係で、男性や、介護に慣れた方のご協力がないと体力的にちょっと難しく、スタッフ1名体制では厳しいお支度だと感じました。
また、他の場所で着付けてからの車移動も、着崩れの面で不安が多く、現地での着付けが絶対条件だと思いました

後日、ご主人様からレンタル小物の返却時に「楽しく過ごすことが出来ました」とお言葉を頂きましたのでホッといたしました。

まだまだ、研究しなければいけない部分もありますが、どのようなお客様がいらっしゃっても快適にお支度できるよう、勉強していきたいと思っております

本日のお写真は、結婚式にご列席されるご友人2人組のお客様です。
お二人ともとても明るく可愛らしく、楽しくお話させて頂きながらお支度させて頂きました
雰囲気の異なるお着物でしたので、並んだ時に華やかで素敵でした~

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